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菅新政権人事 「脱小沢」よりも政策だ

2010年06月08日 | 社説
菅新政権人事 「脱小沢」よりも政策だ

 きょう発足する菅新政権の内閣・民主党役員人事が固まった。要所に「反小沢派」を配し、内閣・党への支持率がV字回復しているが、大事なことは「脱小沢」ではなく、国民のための政策遂行だ。

 菅直人新首相による内閣・党人事の目玉は、仙谷由人官房長官、枝野幸男幹事長の起用だろう。両氏とも小沢一郎前幹事長に批判的言動を繰り返す「反小沢派」だ。

 また、小沢氏の下で廃止された政策調査会の復活と、「反小沢派」の玄葉光一郎、安住淳両氏の政調会長、選挙対策委員長起用からは、菅氏が小沢氏と距離を置く姿勢が読み取れる。

 鳩山政権は、小沢氏が首相に勝るとも劣らぬ強い権力を握る「二重権力構造」が批判され、鳩山由紀夫首相と小沢氏の「政治とカネ」と、米軍普天間飛行場移設問題の迷走が退場の引き金となった。

 菅氏が「脱小沢」を印象づけて清新なイメージを売り込み、七月予定の参院選で敗北必至とされた情勢の好転を図ろうとするのは理解できなくもない。

 菅新首相選出後の報道各社の世論調査をみると、菅氏への期待度は高く、10%台だった内閣支持率から大幅に回復。民主党支持率も増加し、首相交代と「脱小沢」は有権者に好感されているようだ。

 とはいえ、菅新政権が目指すべきは、国民の暮らし、社会をよりよくするための政策遂行である。

 共同通信の世論調査では、優先して取り組むべき課題の上位三位は「景気・雇用対策」「税金の無駄遣い一掃など行財政改革」「年金制度改革など社会保障」だ。

 鳩山政権当時の「小沢支配」からの脱却は急務だが、それはこれら国民が期待する政策の実現のためでなくてはならない。

 小沢氏や同氏を支持する特定の個人、グループの排除が目的であってはならないし、党内抗争にうつつを抜かすなら、有権者は参院選で厳しい判断を下すだろう。

 民主党は、内閣の下に政策決定を一元化するため、与党議員が百人以上、政府に入って政策立案・決定を担うとしてきたが、そのための態勢整備はほぼ手つかずだ。

 それ故か、鳩山政権では政策を決断できない首相の指導力不足や、小沢氏の意向で政府決定が覆る光景を度々見せられてきた。

 菅新政権には、民意に十分配慮した、責任のある政策決定を期待する。政策調査会の復活と政調会長の閣僚兼務は、そのための第一歩と受け止めたい。

2010年6月8日 中日新聞 社説


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