【時事(爺)放論】岳道茶房

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独法仕分け 公務員制度と一体改革を

2010年04月30日 | 社説
独法仕分け 公務員制度と一体改革を

 政府の行政刷新会議による独立行政法人(独法)を対象にした「事業仕分け」第2弾の前半日程が終わった。

 対象の47法人151事業のうち、36事業を廃止と判定した。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の1兆3500億円をはじめ、剰余金の国庫返納も求めた。

 この中でファミリー企業との癒着ぶりや、お手盛りの高額な給与実態が明らかになった。配偶者を秘書に起用するといった「なれあい体質」も発覚した。独法は天下り官僚の受け皿となってきたが、所管官庁とのもたれ合いで国民の目が届きにくかった。事業仕分けによって、病巣の一端にメスが入った意義は大きい。

 だが、事業の無駄の洗い出しだけでは不十分だ。業務規模を縮小する以上、職員数を含め組織をスリム化させるのは当然である。統廃合などで組織を衣替えしても、天下りが続くのでは同じだ。補助金などカネの流れだけでなく、人事面にも切り込まなければ非効率な運営体質は改善しない。

 鳩山由紀夫政権は「天下りの根絶」を掲げながら、いまだに公務員制度改革の全体像を示せない。行政刷新会議は今回の結果を踏まえ、6月にも独法改革案をまとめる考えだが、これではうまくいかないだろう。公務員制度改革と同時に進める必要がある。

 はっきりしない仕分けもある。昨年の第1弾では目先の歳出削減効果を優先して中長期の国家戦略を見失ったことが批判を招いた。今回も“場当たり”の印象だ。

 例えば厚生労働省からの出向が多い医薬品医療機器総合機構は、独立性に疑問符が付きながら、審査業務などが「規模拡充」となった。第1弾で国民の反発が強かった科学技術分野では、個別の研究内容に踏み込まなかった。

 日本万国博覧会記念機構は19年の独法整理合理化計画で廃止が決まっていたものだ。そもそも対象に含める必要があったのか。

 これでは「政治ショー」と言われても仕方があるまい。結果をどう改革案に生かすか、対象としなかった独法をどう扱うかなど「整理基準」を明らかにすべきだ。

 重複事業などを大胆に見直すのは当然だが、必要な事業がより効果を上げるように組織の在り方を考えることこそ改革の意味であろう。鳩山政権は、独法をどんな組織に再生させるのか。早急に青写真を示さなければならない。

2010.4.30 産経新聞 主張


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