【時事(爺)放論】岳道茶房

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法相第三者機関 検察全体の抜本改革を

2010年11月08日 | 社説
法相第三者機関 検察全体の抜本改革を

 第三者による検察改革の一歩が踏み出されようとしている。

 郵便不正に絡む大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠ぺい事件を受けて、柳田稔法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」が10日、初会合を開く。法曹三者以外も、学者やジャーナリストら幅広いメンバーが、検察のあり方を検討する。

 事件を受け、特捜部解体論が声高に叫ばれる。もちろん、捜査手法を含め特捜部の問題点を洗い出し、抜本的に改革することは必要だ。

 だが、戦後、時に政治権力と厳しく対峙(たいじ)しながら特捜部は一定の役割を果たしてきた。それを全否定するような主張は受け入れ難い。まず解体ありきではなかろう。

 事件が浮き彫りにしたのは、むしろ検察全体が抱える問題である。

 裁判員制度が始まり、裁判官は大きな意識改革が求められた。法曹人口の増加で、弁護士は職域の拡大や競争の激化を迫られた。

 その一方で、司法改革の大波の影響が最も小さかったのが検察官ではなかったか。それが、権力としての検察の高慢と暴走を生んだとも言える。まず、司法改革の原点に立ち、検討会議では、公益の代表者としての検察官の役割を再確認してほしい。その上で、組織を含めて果敢に改革のメスを入れるべきだ。

 法改正を伴う議論も積極的に進めるべきである。

 法的拘束力のある検察官の倫理規定の必要性は改めて指摘したい。米国では、被告に有利な新証拠があった場合、検察官は開示する義務を負う。違反した場合は、法曹資格をはく奪される。被告の正当に裁判を受ける権利を守るためには当然だ。

 原則として証拠の全面的な開示も必要である。透明性がない裁判では、国民に見放されてしまう。

 厚生労働省元局長の村木厚子さんの公判のように、不正発覚後も裁判を続けることがあってはならない。

 取り調べの録音・録画など、可視化も避けられまい。強引な取り調べがあったとして、供述調書の証拠採用が次々と退けられた現実は直視しなければならない。

 法改正を伴わない改革は、よりスピーディーに進めてほしい。

 特捜部など検察が独自に捜査する場合の内部チェックの厳格化もその一つである。捜査の軌道修正ができるような組織運営のあり方も議論されるべきだろう。

 また、深夜までわたるむちゃな長時間の取り調べはどう防ぐか。警察では捜査と留置の部署が明確に分かれているのは一つの参考になる。

 一部の検察官がエリート意識を抱くような人事システムも見直さねばならない。

2010年11月8日 毎日新聞 社説


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