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落書き帳(旧「皇居の落書き」)

皇室評論家に騙されるな

男系派の狙い、利用される秋篠宮家

2025-06-06 21:21:18 | 皇室の話(3)
令和7年6月6日15:19、産経新聞より配信の「国民民主・玉木代表、悠仁さままで皇位の男系継承が「わが党の考え」 山尾氏への批判受け」と題する記事がある。

国民民主党の玉木代表の言っているのは、自民党、政府の有識者会議の報告書と同じということのようだが、せっかく同党の擁立者の中に山尾氏のような方も出てきているというのに、まったく自分の頭で考えようとしないのだろうか。

以下の記載がある。
-----引用開始-----
悠仁さま以降の皇位継承については「具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させる懸念がある。予断を与えるような議論には慎重であるべきだ」と書き込んだ。
-----引用終了-----

国民民主党の玉木代表によるXへの書き込みとのことだが、悠仁親王殿下以降の皇位継承につき、「具体的に議論するには現状は機が熟しておらず」とは、いったいどういうことなのだろう。

筆者としては、女性・女系拡大支持であるけれども、世の中には男系継承の維持が何よりも大事だと考える人がいるというのも理解はできる。

ただ、その考え方に立つのであれば、現状、将来の世代を担う男系男子皇族は悠仁親王殿下お一人なのだから、悠仁親王殿下以降の男系継承が確保されるよう、今からでも手立てを講ずるべきなのではないか。

自民党もそうだけれども、男系派の国会議員は、悠仁親王殿下までの男系継承を強調しつつ、その後のことは「機が熟しておらず」などと言って、先延ばしにしようとする。

しかし、悠仁親王殿下はこの9月には19歳となられる。

悠仁親王殿下以降の男系継承を確保するためには、悠仁親王殿下が結婚をして、妻となる方に男子を産んでもらう必要がある。
生まれる子が男子とは限らないわけだから、男子の確保のためには、早めに結婚していただき、妻となる方にはできるだけ多くの子を産んでいただくことが重要となる。

そのためには、今からでも、出会いの場をどうするか、妻となる方のプレッシャー軽減をどうするかなど、検討するべき課題は多い。

何もせずに、悠仁親王殿下が結婚するのを待ち、子が生まれるかどうかの状況を見て、仮に、女の子ばかりが生まれたり、子が全然生まれないという事態になった段階で、やおら議論を始めるとでも言うのだろうか。

それでは、妻となる方の負担があまりに過酷であり、結婚自体がおぼつかなくなるのではないか。
悠仁親王殿下におかれても、人生に前向きになれなくなってしまうのではないか。

筆者の感覚からすれば、このような姿勢というのは、あまりに無責任で残酷であり、とても尊皇派と言えるものではない。

結局のところ、自民党にしても、その他の国会議員にしても、現在の皇室の総入れ替えがしたいというのが本音なのではないか。

そんな風に思えてしまう。

平成17年の議論の状況は、まさにそうであった。

現在は、悠仁親王殿下がおられるが、悠仁親王殿下の存在についても、ただただ、女性・女系の議論をつぶすために利用するばかりで、悠仁親王殿下の子(男子)による皇位継承を、特に望んでいるようには思えない。

男系派が主張しているのは、「旧11宮家の男系男子を養子に迎える案」ばかりである。

令和7年6月5日20:10、朝日新聞より配信の「皇族数の確保策、「養子案の棚上げはまかりならない」 麻生氏が訴え

男系派としては、悠仁親王殿下がお一人にならないように、という言い方のようであるけれども、男系継承の永続を願うのであれば、これからの最も正統な男系男子の担い手は秋篠宮家であるのだから、まずは秋篠宮家を盛り立てるための方策の議論を展開し、旧宮家の養子の話というのは補助的なものとして展開するのが筋なのではないか。

にもかかわらず、秋篠宮家を盛り立てるための方策についての議論をしている様子が全然見られないので、いくら悠仁親王殿下がお一人にならないようにと言ってみたところで、嘘くさく感じられる。

そもそも、男系継承をゆるがせにしたくないのであれば、その最大の脅威は愛子天皇待望論であるはずだから、それに対抗するべく文仁天皇待望論を展開してもよさそうなのに、そういう声は聞こえてこない。

「悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」という言い方はされるけれども、秋篠宮殿下の名前は「流れ」の中に埋没させられており、注目している人が全然いないかのようである。

かつて東宮バッシングの激しい時期においては、「秋篠宮が天皇になる日」(保阪正康氏)、「皇太子殿下、ご退位なさいませ」(山折哲雄氏)が述べられることがあった。

しかし、今は、男系派からこのような声は聞こえてこない。

秋篠宮殿下は、何かを潰すためとか、ネガティブな仕方で利用されるばかりで、ずいぶんと気の毒な印象である。
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河西秀哉氏のよい記事

2025-06-06 21:19:49 | 皇室の話(3)
令和7年6月5日20:48、ヤフーニュースより「「皇族数の確保」の問題はどうなるのか? #エキスパートトピ」と題する記事が配信されている。

このブログでは、やや冷淡に扱ってきた河西氏であるが、よい記事だ。

-----引用開始-----
 しかし、世論の状況は異なっています。女性天皇や女系天皇を賛成する国民は多く、こうした世論と国会での議論の乖離が、実は決まらない要因ともなっています。本来はそれも含めて議論を展開すべきです。
-----引用終了------

最近の男系派の狂いぶりは異常だ。
そのような中、実にまっとうな指摘である。

-----引用開始-----
 さらに、こうした決まらない要因を立憲民主党に押し付けようとしているのが、3つ目の『産経新聞』の記事です。決まらない理由は本来は保守派にあるところ、自身に批判の目が向けられないようにしているとも言えます。
-----引用終了------

「決まらない理由は本来は保守派にある」
本当にその通りだ。
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愛子天皇の実現こそが世襲の本義にかなう

2025-06-05 20:57:42 | 皇室の話(3)
世襲とは、子孫が代々受け継ぐことを言う。

天皇陛下を心から尊敬し、大事に思う人々において、大御心を受け継ぐ御子にこそ、皇位継承を願うは当然のこと。

これこそが、まさに世襲の本義である。

何よりもまず、このような人々の思いと願いなくしては、皇室の歴史は紡がれてこなかった。

かつて、公は男子が担うものと、意識の強い時代もあった。

けれども、現在、そして将来も、象徴天皇として、人々が支持するのは、民を慰め、励まし、その幸福を祈るお姿であり、そこに男女の別はない。

今、大御心を受け継がれる御存在は、愛子内親王殿下をおいてほかにない。

その光輝はいやますばかりである。

よって、愛子内親王殿下が皇太子となり、いずれ即位されて、人々の支持が揺らぐことはない。

将来、愛子天皇に御子がお生まれになり、男子であっても女子であっても、大御心が受け継がれていくのであれば、それで何も問題ない。

男系継承は、世襲の本義ではない。

それが本義であったならば、皇祖天照大御神の神話が、古来、伝承されてきたはずがない。

遠く過去にさかのぼる、傍系継承をめぐる空しい議論。

それが意味を持つのは、天皇陛下に御子がなく、どこかから来ていただく必要のある場合であろう。

今は、その時ではない。

大御心を受け継ぐ愛子内親王殿下がおられる中、他の方に継承させようなどとは、とんでもない間違いである。

速やかに皇室典範を改正し、因習を打破して、今こそ愛子内親王殿下の立太子を実現し、皇室と国民の絆を強固なものとするべきではないだろうか。


ーーーーーー
今、皇位継承の在り方に関心を有する方は、それぞれの思いを文章にしてみるというのも、有意義なのではないでしょうか。
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世界日報が面白い

2025-06-04 22:05:51 | 皇室の話(3)
世界日報では、いわゆる保守派のような主張が展開されているが、その内容に賛成できるかどうかは別として、なかなか読み応えがあるのである。

書き手の頭脳レベル、知識の広さという点では、産経新聞より上手かもしれない。

最近では、令和7年6月3日09:45、世界日報の「男系男子による皇統の断絶につながる読売の女系容認は危険な提言」と題する記事が配信されている。

今回の世界日報の記事は、令和7年5月30日付け産経新聞「正論」の竹内久美子氏の記事に共感を示す内容となっている。

以下の記載がある。
-----引用開始-----
共産党の「ジェンダー平等社会」にはそういう狙いがある。だから、それに同調する朝日の女系容認論には巨大マイナス点を付けざるを得ないのだ。竹内久美子氏は読売提言に「共産党か!?」と疑っていたが、朝日のそれにはまごうことなく「共産党だ!!」と記さねばなるまい。読売が提言を引っ込めなければ、こちらにも「共産党だ!!」を付すほかない。
-----引用終了-----

「「共産党だ!!」を付すほかない。」としている根拠としては、
-----引用開始-----
こうした共産党と朝日の「共闘」で思い出すのは、共産党の熱烈な支持者だった憲法学者の奥平康弘氏(15年死去)の言だ。かつて女系天皇容認が「天皇制」廃止の突破口になると主張していた(『世界』04年8月号)。
-----引用終了-----
とあるのだが、これをもって「共産党だ!!」とするのでは、レベルの低い言論のようであり、世界日報の記事にしては、ちょっとがっかりな感じである。

この論法が成り立つのであれば、竹内久美子氏、いわゆる保守派、自民党などは、「統一教会系だ!!」と言えることにもなろう。

さて、世界日報で共感を示された竹内久美子氏の記事(5月30日産経新聞「正論」読売「女系容認」論は皇統を壊す)であるが、紙面で確認したところ、以下の記載がある。
-----引用開始-----
 令和3年、政府の有識者会議は以下3項目を結論として当時の岸田文雄首相に報告書を提出した。
一 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する(ただし配偶者と子は皇族としない)
二 皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする。
三 皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とする(旧宮家の皇籍復帰。二が成立しなかった場合の補助案)
 ここで、女性皇族の配偶者と子を皇族にしないという点が重要だ。
-----引用終了-----

嘘はよくない。

一について、報告書の記載は、以下のとおりである。

-----引用開始-----
① 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
悠仁親王殿下の世代に、悠仁親王殿下以外の皇族がいらっしゃらなくなるおそれがあるのは、現行制度が女性皇族は婚姻により皇族の身分を離れることとなっていることに、一つの原因があるものと考えられます。
そこで、この制度を改めて、内親王・女王は婚姻後も皇族の身分を保持することとし、婚姻後も皇族として様々な活動を行っていただくというのがこの考え方です。
これは、明治時代に旧皇室典範が定められるまでは、女性皇族は皇族でない者と婚姻しても身分は皇族のままであったという皇室の歴史とも整合的なものと考えられます。和宮として歴史上も有名な親子内親王(第 120 代仁孝天皇の皇女)は、徳川第 14 代将軍家茂との婚姻後も皇族のままでありましたし、家茂が皇族となることもありませんでした。
また、女性皇族に婚姻後も皇族の身分を保持していただくことは、女性皇族が現在行っておられる様々な公的活動が継続的に行われていくことにつながり、担われる御公務の発展が期待されるとともに、関わっておられる行事や団体などの継続的発展の観点からも望ましいのではないでしょうか。
ただし、この方策に反対する考え方もあります。その代表的なものは、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することが皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないか、というものです。これは、女性皇族の婚姻後生まれてくる子(女性皇族の配偶者が皇統に属する男系の男子でない限り、父方で天皇と血統がつながらないので女系の子となる。)にもしも将来皇位継承を認めることとなれば、それは女系継承になってしまうという考えです。
この点については、女性皇族が皇族でない男性と婚姻しても皇族の身分を保持するという新しい制度を導入した場合、その子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられます。また、配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられます。
以上のような新しい制度とする場合でも、現在の内親王・女王殿下方は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときには皇族の身分を離れる制度(皇室典範第 12 条)の下で人生を過ごされてきたことに十分留意する必要があります。
-----引用終了-----

すなわち、「この点については、女性皇族が皇族でない男性と婚姻しても皇族の身分を保持するという新しい制度を導入した場合、その子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられます。また、配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられます。」ということなのであって、配偶者と子を皇族にしないというのは、あくまでオプションとして示されているにすぎない。

それを「一 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する(ただし配偶者と子は皇族としない)」と断じるのは、間違いであり、意図的であるとすれば悪質である。

また、女系天皇につき、以下の問題点を指摘している。
-----引用開始-----
母方の血のみが皇族につながり、本人が連なるのは皇統ではなく、配偶者の家。こうして皇統の歴史は終わり、新しい王朝が始まる。鈴木王朝、佐藤王朝・・・と。
-----引用終了-----

しかし、日本の皇室には、英国の王室と異なり、姓というものがない。
したがって、女性皇族が民間の男性と婚姻して、男性が皇族となった場合、その男性は姓を失うことになるのではないか。
であれば、「鈴木王朝、佐藤王朝・・・と。」というのはあり得ない。
いったい何の話だろうか、という風にしか思えない。

また、憲法に関して、以下の記載がある。
-----引用開始-----
「憲法で皇位は世襲と決めている。政府も女性天皇は『憲法上可能』と解釈している」
憲法の言う世襲とは男子で継ぐことである。あまりに常識なので敢えて言っていない。そこで皇室典範第一条が「皇位は、皇統に属する男系の男子」とし、念を押しているのだ。「女性天皇は憲法上可能」は詭弁である。
-----引用終了-----

「詭弁である」とあるが、憲法制定時における議論を知らないのだろうか。

第90回帝国議会 衆議院 帝国憲法改正案委員会 第8号 昭和21年7月8日
○酒井委員
  現行憲法では、皇位の繼承は世襲であると云ふ條件と、皇男子孫が之を繼承すると云ふ状態になつて居り、さうして恐らく此の世襲であると云ふことだけは次に出來るであらう所の皇室典範の一つの條件となることと思ひまするが、皇男子孫と云ふものを草案では特に省いたと云ふ理由が何かございますか
○金森國務大臣
  此の憲法の他の條文にもありまするやうに、男女の性から來る諸般の變化は、根本的な支障がない限りは其の差別を置かないと云ふことが、物の本體と思ふ譯であります、そこで皇位の繼承に付きましても、皇位と云ふことの根本の性質と組合せて、如何に此の問題を扱ふかと云ふことは、新しい問題として之を研究しなければならぬと思つて居ります、さう云ふ研究をも含みつつ、此の第二條には其の制限が除かれて居りまするが故に、憲法の建前としては、皇男子、即ち男女の區別に付きましての問題は、法律問題として自由に考へて宜いと云ふ立場に置かれる譯であります、實際どうなるかと云ふことは是からの問題であります、其の意味に於て文字のないことは理由がある譯であります


「詭弁である」という方が「詭弁」なのではないか。
いや、それ以前の事実誤認、無知なのではないか。

竹内久美子氏の主張については、以前、笑いのネタとして書いているのかなと思ったことがあるのだが、本気だとしたら、ちょっと心配な感じである。

それにしても、こんな記事を載せてしまう産経新聞とは、いったい何なのだろう。
何がしたいのだろう。
日本人の思想レベルを劣化させたいのだろうか。
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竹田恒泰氏の異質と壁

2025-05-29 21:32:39 | 皇室の話(3)
令和7年5月27日13:15、日刊スポーツより配信の「竹田恒泰氏“女系天皇”の問題点指摘「認める人と認めない人に分かれちゃう。象徴なのに…」」と題する記事がある。

以下の記載がある。
-----引用開始-----
 竹田氏はさらに、女系天皇誕生による悪影響も危惧。「もし男系の血筋を引かない者が天皇になった時に、認める人と認めない人に分かれちゃうんですよ。例えば、現在の天皇陛下が『天皇であることをおかしい』なんて言う人はいない。ところが、正統性が危ぶまれると、『オレはこんなの天皇として認めない』という人が一定数出てきちゃう。そうすると憲法第1条に『日本国の象徴、日本国民統合の象徴』って書いてあるのに、何割もの人が『こんなもの天皇じゃない』と言い始めたら、それは問題じゃないか」と提示した。
-----引用終了-----

筆者の感想を述べるとすると、これは竹田氏の素直な本心なのだろうと感じた。

竹田氏においては、男系の血筋を引いているということが、自我の核心部分となっているのだろう。
そして、そのような自我をもとに世界観が展開され、女系天皇誕生による悪影響というものを、本心から心配しているのだろう。

ただ、おそらく多くの人にとって、そのような自我というのは異質なものである。
だから竹田氏の心配は当たらないだろうし、むしろ逆なのではないか。
しかし、竹田氏にはそれは理解できないはずであろうし、そこには壁がある。

異質な自我というものは、ユニークさを生じることとなるので、竹田氏は人柄も良さそうだし、話も文章も上手なので、芸人的な存在としてそこそこ成功しているのだろう。

ただ、その成功と引き換えに、旧宮家の人々のイメージに、一定の色を与えてしまっているのは、皮肉なことだろうか。

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男系男子は男尊女卑であり女性差別であることを直視するべき

2025-05-28 22:03:16 | 皇室の話(3)
令和7年5月28日5:00、朝日新聞のサイトにて、「(社説)皇室制度のあり方 女性・女系 将来の道閉ざさずに」と題する記事が掲載されている。

すごくまっとうな内容だと思う。

こういう記事を読むと、今の全体会議の議論というものが、如何にペテンなものであるかが改めて実感させられる。

以下の記載がある。
-----引用開始-----
天皇が憲法1条にうたわれる「日本国民統合の象徴」である以上、天皇やそれを支える制度に、社会が克服しようとしている男女不平等が投影されるのは適切ではないのではないか。女性・女系天皇の可能性も排除せずに、全体として整合性のある議論を進めることが求められる。同時に、対象となる個人の人権にも十分留意する必要がある。
-----引用終了-----

皇室制度の在り方にかかる議論であるならば、このような観点は、大原則として踏まえなければならない。

皇位継承資格を男系男子に限定するのは、以下の点で、明らかな男尊女卑であり、女性差別である。

1 皇位には、女性は即くことはできない。
2 女性の身分は、配偶者となる男性の身分で上書きされるという従属的なものである。皇族女性は民間男性と結婚すれば民間となり、民間女性は皇族男性と結婚すれば皇族となる。
3 子の身分は結婚相手である男性の身分で決まる。女性の血統は、子に対して無価値。


男系派の中には、民間女性は皇族男性と結婚すれば皇族となれるが、民間男性は結婚で皇族となることはないので、男性排除なのであり、女性差別ではない、といった子供じみた屁理屈を言う者がいたりするが、それは上記2の上書きの話なのであり、女性の身分の従属性ということなのであるから、やはり差別というしかない。

現在、立法府の全体会議の議論において、皇族女性は民間男性と結婚しても皇族の身分を保持するという点で、まとまりかけているようだ。

これは、皇族女性の身分の従属性を改め、独立性を付与するというふうにとらえることもできる。
しかし、配偶者となる男性についてはあくまで民間のままという意見が多いようであり、男性の身分は従属的なものではあってはならないという考えが、根底に強くあるのだろう。

また、子の身分は民間とする意見が多いようであり、上記3は相変らずである。

原理レベルでの、かなり強固な男尊女卑、女性差別が組み込まれているということは、疑いようがない。

何故こうなったかについては、やはり儒教の影響が強いのだろう。

その影響については、非常に分かりやすいサイトがあったので、紹介したい。
性別分業と「男性が上」の考え方が広まったのは明治時代

北海学園大学名誉教授である中村敏子氏の説明なのだが、明治という時代の特殊性がよく分かる。

例えば以下の記載がある。
-----引用開始-----
 このように、中国的な考え方では「男性が父として偉い」。西洋的な考え方では「男性が夫として偉い」。いずれにせよ「男女の間では男が上である」という家父長制の考え方だった。この2つの系統の考え方を、明治政府は受け入れようとしました。復古とは、武家支配の前の律令制(律令を基本法とする古代日本の中央集権的政治制度およびそれに基づく政治体制)に戻ることですから、中国的な制度を取り入れることになります。同時に、新しく西洋的な考え方も取り入れたわけです。それが従来の「家」の上にかぶさりました。
-----引用終了-----

中村敏子氏の説明の中には、財布のヒモについての指摘など、女性の強かさ感じさせる面白い箇所もあるが、根の深い問題であると感じさせられる。

しかし、そろそろ、呪縛が呪縛であると気づいた上で、将来を見据えた議論が必要だと思う。
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まさか、皇室の総とっかえをしたいということなのか(自民党には任せられない)

2025-05-27 21:14:52 | 皇室の話(3)
前回の続きである。

皇族数の減少につき、自民党などが言っているのは、「旧 11 宮家の皇族男子の子孫である男系の男子を養子にする」という案であり、外から持ってくればいいという発想なのだが、男系男子を重視するということであれば、悠仁親王殿下を盛り立て、悠仁親王殿下の男系男子孫による継承の確保を期するための議論をするべきではないのだろうか。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議での議論につき、各党・各会派の意見の要点を記した資料が、衆議院のサイトに掲載されている。

これを見ると、有識者会議報告書では、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」とあるのだが、自民党など男系派の意見を見ると、「悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」となっている。

両者は似ているようだが、違いはある。
有識者会議報告書では、ゆるがせにしてはならない流れの範囲として、「悠仁親王殿下までの」とはしていないが、自民党などは「悠仁親王殿下までの」と敢えて記している。

何故、「までの」と言うのであろうか。

悠仁親王殿下までの皇位継承については、現行の男系男子という規定を変えることをしなければ、確保される。
要するに、何もしなくても確保されるのである。

しかし、本当に男系男子による継承を維持したいということであれば、重要となるのは、悠仁親王殿下の次の世代の男系男子の確保ということになるはずである。

そのためには、
・悠仁親王殿下の妃となる方をどのように見つけるか
・妃殿下となる方につき、これまでの代々の皇太子妃の苦境を省みて、どのようにお守りするか
・お世継ぎ誕生のための御生活環境をどのように整えるか
ということも考えるべきではないのか。

すでに悠仁親王殿下は成人となられ、成年式も今年の9月ということなので、これらを考えるのに早すぎるということはないであろう。

これらの問題については、すべてが制度上の問題ではないけれども、制度上の問題として考えなければならないことも多いはずである。

筆者としては、皇室を本当に大事に考えているのであれば、現在の皇室の方々による継承の確保を、まずは最重視するべきではないかと思う。
男系男子に拘るのであれば、悠仁親王殿下を盛り立てるということを、まずは考えるべきではないのか。

それなのに、そのような議論の様子は見られない。
あれやこれやのバッシングに対し、男系派の議員たちは、妙に静かなのである。
それでいて、外から持ってくる案にばかりに声をあげている。

これではまるで、皇室の総とっかえを望んでいるかのようではないか。

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ペテンの議論(自民党には任せられない)

2025-05-27 21:12:09 | 皇室の話(3)
令和7年5月15日の読売新聞社提言に対する様々な反響があるけれども、今の議論の状況全体について、筆者には非常に不満がある。

「皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」というのは、一見、現実的なようであり、もっともな感じがしなくもない。

ただ、皇族数の確保が課題になっているということは、皇族数の減少という現実があるからこそであるが、その現実の原因についての分析が、そもそもきちんとなされているのであろうか。

原因が何かを考えることなく、対策だけを考えるということに、果たして意味があるのだろうか。

それも、その原因が「皇位継承の問題」と無関係であるならば、切り離して検討してもよいのかもしれないが、関係が大いにあるということであれば、切り離していいということにはならないであろう。

何故、皇族数がこれだけ減少してしまったのか。

様々な原因があるであろうけれども、制度上の原因としては、
・皇位継承資格についての男系男子ルール
・上記ルールを基にした皇族身分の得失
ということになるであろう。

制度以外の原因としては、
・婚姻相手との出会いの難しさ
・晩婚化
・皇室という環境の生きにくさ
といったことがあるのではないか。

何が原因なのかということを突き詰めることなく、対策だけを論じることに意味があるとは思えない。
まして、主な原因を議論の対象から切り離し、対策だけを論じるというのは、ペテンというしかないだろう。

そして、その対策というのも、自民党などが言っているのは、これまた酷い。
「旧 11 宮家の皇族男子の子孫である男系の男子を養子にする」という案だが、足りなくなったら外から持ってくればいい、という発想である。

この発想というのは、まるで、少子化で労働者が減少するのであれば、外国人を呼んで働いてもらえばいいという発想と類似したものを感じてしまう。

外から持ってくればいいというのでは、根本的な解決から、ますます遠ざかってしまう。
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愛子天皇を阻む敵は神道政治連盟系自民党

2025-05-23 21:17:08 | 皇室の話(3)
令和7年5月21日19:31、産経新聞より配信の「自民懇談会「男系の皇位継承」の方針堅持を再確認 読売提言で「結束強まった」との見方も」と題する記事がある。

「読売提言で「結束強まった」との見方も」というのは、読売新聞社提言に対する嫌みが込められているのであろうか。

冒頭に以下の記載がある。
-----引用開始-----
皇室の課題を巡る与野党協議が大詰めを迎える中、自民党は21日、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(会長・麻生太郎最高顧問)の会合を開き、伝統的な男系継承を堅持する方針を再確認した。読売新聞は15日付朝刊で前例のない「女系天皇」の可能性も排除しない提言を打ち出したが、自民ベテラン議員は会合後「われわれは揺るがない」と述べた。
-----引用終了-----

だから、結局は、皇位継承の在り方につき、男系継承に拘るかどうかというところが、問題の本質ということなのだろう。

それにもかかわらず、「皇 位 継 承 の 問 題 と は 切 り 離 し た 上 で」ということを建前にし、皇位継承の問題に向き合うことを避け、実のところは男系継承を前提〔ゆるがせにしてはならない〕にした施策を強引に進めようとしているのは、国民に対する騙しであり、ペテンである。

議論の取りまとめが進まない原因は、立憲民主党のせいなのではなく、このペテンにこそあるのではないか。


それにしても、今回の読売新聞社提言により、自民党が男系継承ということで「結束強まった」ということが明確になったということは、今後の選挙に向けた参考情報として重要である。


ゴー宣道場の大須賀淳氏という情熱のある方のブログの記事
【自民党「公約書」への疑惑】再掲&加筆:15名中14名が「神道政治連盟国会議員懇談会」
を読んで知ったのだが、森暢平氏のXの投稿にて、神道政治連盟という団体の「公約書」というものがあることが明かされている。

森暢平氏のXの投稿では「公約書」の一部の写真となっているが、「『女系天皇』につながる『女性宮家』創設には反対します」ということが含まれているとのことだ。

筆者は、選挙における候補者の考えを知る手がかりとして、毎日新聞のアンケートに注目したことがあるのだが、それよりもこちらの方がはるかに確実と言えるだろう。

毎日新聞のアンケートでは、「皇族の女性が天皇になることに賛成ですか、反対ですか。」という問いがあったのだが、「無回答」、「非該当」の例も多い。また、そもそも単なるアンケートなので、その後の行動を縛るようなものとはなっていないのである。

それに対し、支援団体に対する「公約書」であれば、簡単には裏切れないものとなるであろう。

したがって、神道政治連盟との関係の有無ということで見ていけば、強固な男系派は誰か、仮に表面上は当たり障りのない姿勢を示していても結局は男系派となるのは誰か、といったことが高い精度で明らかになるであろう。

神道政治連盟のHPの中に神道政治連盟国会議員懇談会のメンバーを都道府県、比例ごとに紹介しているページがある。

「令和6年11月1日現在、213名の衆参国会議員が参加」とのことだ。
これを見て、やっぱり男系継承こそが大事であると思う人は、このメンバーに投票すればいい。
愛子天皇の実現を望む人は、少なくとのこのメンバーへの投票を避けるということが、その着実な第一歩となる。


それにしても、石破茂、岸田文雄、菅義偉も含まれている。
現総理、前総理、前々総理がメンバーというのは、なかなかしんどい話だ。

額賀福志郎、関口昌一も含まれている。
衆議院議長、参議院議長がメンバーというのでは、勝ち目がない感じもしてくる。

国民の多くがいくら愛子天皇の実現を望もうとも、神道政治連盟のメンバーを何とかしないことには、実現はしない。
これだけは確かだ。

着実な一歩こそが大事となる。


それにしても、皇位継承の議論に絡んでくる保守派の背後には、どうしてもこうも宗教団体が存在しているのだろうか。

読売新聞社提言への反響の一つとして、令和7年5月20日10時17分付け「安定的皇位継承で女性・女系天皇論を提言、もはや保守と呼べぬ読売」と題する世界日報の記事がある。

各紙の議論についてかなり遡り丁寧に拾ってあり、男系派としてかなり優秀な記事であると言えるのではないか。
今時のお粗末な男系派の議論を見ていると、思想的には世界日報の方が上位に存在しているかのような印象もある。
情けない話だ。

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側室制度、一夫多妻制のえぐさ

2025-05-19 22:08:18 | 皇室の話(3)
令和7年5月19日7:37、日刊スポーツより配信の「「女系天皇などありえない」自民“コバホーク”が一言 読売の提言記事に政治家の反応相次ぐ」と題する記事がある。



何がコバホークだ、コノヤロウ!



と思ってしまった。

「女系天皇などありえない」という一言も、男系派の支持者に向けては十分なアピールになるのだろう。
仮に「あり得る」とか「あり得るかもしれない」などと発言しようものなら、たちまち既存の支持を失ってしまうであろうから、仕方がないのかもしれない。

よって、この議論、男系派の政治家は、この先何を言っても、その主張を変えるということはないであろう。
コバホークの反応で、このことだけはよく分かった。


さて、筆者としても、長い伝統は守るべきという基本的な発想というものはある。
なので、
・皇室の歴史は長い。
・その中には、長く続いてきた伝統がある。
・そのような伝統は、現在の価値観で簡単に変えてはいけない。
と言われれば、基本的には同意する。

多くの人も同じ思いだろうとは思うが、このように同意できるというのも、その伝統というものが無理なく続けられるものであるということを、無意識のうちに前提にしてしまっているのではないだろうか。

このことがポイントだろう。

大正天皇のときから側室はなくなり、戦後の皇室典範では一夫一婦制となったが、このような中では、お世継ぎを生むことのプレッシャーは皇太子妃に集中してしまう。
皇后陛下、上皇后陛下、香淳皇后の辛い状況については、既に広く知られていると思っていたのだが、改めて思い返してみる必要があるのではないか。
必ず男子を産まなければならないというのは、あまりに過酷である。


また、男系派の者たちは、筆者としてはとても不思議なのが、悠仁親王殿下の人生を充実させようといった議論よりも、旧11宮家の子孫の養子案の方にばかり夢中なようである。

しかし、旧11宮家の子孫の養子案は、男系継承を守るという点で、そんなに有効な方策なのであろうか。

そもそも旧11宮家とは何なのかであるが、平成17年11月24日付け皇室典範に関する有識者会議報告書の43ページを見ると、以下のように記載されている。



これによると、昭和22年10月に皇籍離脱した旧11宮家の方々は伏見宮16世の邦家親王を共通の祖としていることが分かる。

さて、以前このブログでも書いた記憶があるが、この邦家親王の子作りというのは、驚くべきものである。

なんと、邦家親王には10人の妻(妃1人、女房9人)がいて、生涯にわたって子作りに励み、32人の子(男子17人、女子15人)を儲けていたのである。

男系男子ということで男子に着目すると、最初の男子は、邦家親王が13歳の時(厳密には親王宣下前)で晃親王。
最後の17人目の男子は、邦家親王が64歳の時で依仁親王。
邦家親王は69歳で薨去しているので、まさに、生涯にわたっての子作りと言える。

側室制度、一夫多妻制というのは、当時は認められていたものだし、現在の感覚で評価するべきものではないということを前提にしても、

正直、えぐい
いくらなんでも、やりすぎだろう
まさかここまでとは


そして、このように、かつて、側室制度、一夫多妻制を極限まで活用した人がいたからこそ、昭和22年10月の離脱時点で旧11宮家ともなったわけであるが、今後、こんなことはもう不可能であるというのは誰の目から見ても明らかであろう。
(邦家親王と旧11宮家との関係について補足すると、邦家親王が21歳の時の4番目の男子に朝彦親王という方がおられ、この方が賀陽宮、久邇宮、梨本宮、朝香宮、東久邇宮の共通の祖となっている。)

旧11宮家の子孫といっても、一夫一婦制の下では、こんな風に増えるということは今後あり得ず、男系男子にこだわれば継承資格者は必ず減少していくのである。

であれば、旧11宮家の子孫の養子案というのは、時間稼ぎぐらいの意味しかなく、有効な方策であるとはとても思えない。
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