小さな古本屋にぶらりと入る。
背表紙を眺めるのが好きだ。
ときどき背表紙がこちらを見ている気がする。目が合うのだ。
一冊の本を手にとった。
何気なく開いてみたページ。
そこに書かれていた一節。
「人間性の尊重とは、具体的には、言い表そうと思っていても、容易に表現できないでいるその沈黙状態への愛だといってよかろう。あるいは、その人が口に出して言った言葉だけでなく、その言葉を通して、言い表そうと悶えている心情への、鋭敏な感受性だといってもよかろう。ここに生ずる様々なニュアンスを私は尊重したい。ニュアンスを抹殺するのが、人間性の冒涜ということではあるまいか。」
亀井勝一郎氏のことば。
じっと聞く。言葉だけでなく、その人の内に悶えている心情まで。
それが、目の前にいる人への尊重ということだ。
人間性の尊重。人間性の冒涜。
今、世の中で行われていることは、どちらが多いのだろうか。
手にとった一冊。
書棚には戻さず、レジに向かった。
背表紙を眺めるのが好きだ。
ときどき背表紙がこちらを見ている気がする。目が合うのだ。
一冊の本を手にとった。
何気なく開いてみたページ。
そこに書かれていた一節。
「人間性の尊重とは、具体的には、言い表そうと思っていても、容易に表現できないでいるその沈黙状態への愛だといってよかろう。あるいは、その人が口に出して言った言葉だけでなく、その言葉を通して、言い表そうと悶えている心情への、鋭敏な感受性だといってもよかろう。ここに生ずる様々なニュアンスを私は尊重したい。ニュアンスを抹殺するのが、人間性の冒涜ということではあるまいか。」
亀井勝一郎氏のことば。
じっと聞く。言葉だけでなく、その人の内に悶えている心情まで。
それが、目の前にいる人への尊重ということだ。
人間性の尊重。人間性の冒涜。
今、世の中で行われていることは、どちらが多いのだろうか。
手にとった一冊。
書棚には戻さず、レジに向かった。