Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

ゲイ(ホモ) はみんな女性的?

2013-01-17 16:15:18 | ゲイ(同性愛)のことI (考察,一般論)
世の中には、「ゲイ(ホモ)には女性的な人が多い」という風に思っている人が結構多いように感じます。
あるいは、もっと極端に、「ゲイ(ホモ)はみんな女性的だ」と考えている人もいるのかもしれません。
本当にそうなのでしょうか?
この記事では、ゲイ(ホモ)と《 男らしさ 》の関係について、個人的な見解みたいなものを述べてみようと思います。

■ 4人の男性

記事を進めるにあたって、4人の男性に登場してもらうことにしましょう。なお、彼らはすべて架空の人物です。

Aさん:恋愛対象は女性。趣味はマラソンと山登り。服装は簡素でこざっぱりした感じ。性格は朴訥で毅然とした感じ 
Bさん:恋愛対象は男性。趣味はマラソンと山登り。服装は簡素でこざっぱりした感じ。性格は朴訥で毅然とした感じ
Cさん:恋愛対象は女性。趣味は料理と手芸。服装は凝っていてオシャレ。性格は穏やかで優しい(物腰が柔らかい)感じ
Dさん:恋愛対象は男性。趣味は料理と手芸。服装は凝っていてオシャレ。性格は穏やかで優しい(物腰が柔らかい)感じ

ちょっと極端すぎるような感じもしますが、この4人を例として話を進めて行こうと思います。
なお、朴訥(ぼくとつ)とは、かざりけがなく口数が少ないことを指します。

さて、この4人の中でゲイは誰なのでしょう?
そして、いわゆる《 男らしさ 》の度合いが強いのは誰なのでしょう?
ちょっと考えてみてください。

■ 性的指向 ~誰を好きになるか~

恋愛の対象(性愛の対象)を 性的指向 といいます。
性的指向は基本的には生まれつきその人に備わっているものと考えられています。ただし、自分の性的指向を知るのは、思春期ごろになることが多いようです。
また、性的指向はグラデーションのようになっていて、異性への指向と同性への指向をすべての人が併せ持っているとされています。
ただし、その存在比率は人によって異なるので、異性への指向が圧倒的に強い人は異性愛者同性への指向が圧倒的に強い人は同性愛者異性への指向と同性への指向が同程度であれば両性愛者 となると考えられます。
生物学的に考えれば、種を絶滅させないために子孫を残すことが必要不可欠です。その観点だけで考えれば、自然なのは異性への指向であるといえます。したがって異性愛者(異性への指向が圧倒的に強い人)が圧倒的に多く生まれてきます。同性愛者や両性愛者はいつの時代でもどの地域でも一定の割合で生まれてきますが、人口比率でいえば少数です。同性愛者は人口比率で3~5%とされています。
先述したとおり、生物として子孫を残すという観点から見れば同性愛は不自然ともいえます。しかし、個人レベルで考えたとき、同性愛者として生まれてきた人にとって、同性愛はきわめて自然なものです。それは異性愛者にとって異性愛が自然なのと同じだといえます。


※ 性的“指向”を、性的“嗜好”あるいは性的“志向”とするのは誤りです。性的指向は趣味のようなものではないので“嗜好”とするのは誤りですし、自らの意志で選んだり変えたりすることがきわめて困難なものなので“志向”とするのも誤りです。発音上はいずれも同じとなってしまうため間違われることが多いですが、漢字が異なると意味合いががらりと変わってしまうため、注意が必要です


さて、最初に登場した4人の男性の場合はどうでしょう?

AさんとCさんは恋愛対象が女性となっているので、異性愛者(ヘテロ,ノンケ)となります。
BさんとDさんは恋愛対象が男性となっているので、同性愛者(ゲイ,ホモ)となります。

つまり、ゲイはBさんとDさんの2人ということでした。当たりましたか?

■ ジェンダー ~《 男らしさ 》と《 女らしさ 》~

《 男らしさ 》とか《 女らしさ 》というのはあいまいな概念です。
何が男らしい(女らしい)のかというのは、人によって、時代によって、文化によって、さまざまな要素によって異なってくるものだからです。
しかし、あいまいとはいえ、やはり男らしさ(女らしさ)のイメージはある程度社会の中で共有されているものともいえるでしょう。
そのような社会的なあるいは文化的な部分における性差のことを、ジェンダー といいます。

ジェンダーは決してそれそのものは悪いものではないと思いますし(むしろ必要な側面もあると思う)、ごく自然に、あたりまえに、知らず知らずのうちに身につけているものといえるでしょう。あまりに自然すぎて、意識することすら普段はないのかもしれません。
ただ、人にはそれぞれ個性があります。その個性がジェンダーのイメージから外れていた場合、その人は抑圧を受けることになってしまいがちです。それは悲しいことだと思います。

※ 参考記事
 ・ 僕と 《 男らしさ 》 -少し「ジェンダー」を考える (2012年7月31日公開)
 ・ 僕とぬいぐるみ (2012年10月28日公開)
 ・ 僕とジェンダーフリー (2013年1月26日公開)


さて、最初に登場した4人の男性をジェンダーに照らしてみてみることにしましょう。

AさんとBさんは、マラソンや山登りという男性的とされがちな趣味を持ち、服装や性格なども男性的とされる傾向のあるものの持ち主です。
CさんとDさんは、料理や手芸という女性的とされがちな趣味を持ち、服装や性格なども女性的とされる傾向のあるものの持ち主です。

したがって、いわゆる《 男らしさ 》の度合いが強いのはAさんとBさんということになりそうですが、どうでしょうか?

(しかし、やはり極端というか乱暴な例でしたね。実際には本当にさまざまな個性の持ち主がいます)

■ 性的指向とジェンダーは別物

4人の男性を、性的指向とジェンダーに着目してカテゴライズしてみました。

Aさん : 性的指向 = 異性愛(ヘテロ),ジェンダー = 男性的
Bさん : 性的指向 = 同性愛(ゲイ) ,ジェンダー = 男性的
Cさん : 性的指向 = 異性愛(ヘテロ),ジェンダー = 女性的
Dさん : 性的指向 = 同性愛(ゲイ) ,ジェンダー = 女性的

これをもとに、ゲイと男らしさの関係について考えてみましょう。

冒頭で述べたとおり、世の中には、「ゲイには女性的な人が多い」という風に思っている人が結構多いように感じます。
あるいは、もっと極端に、「ゲイはみんな女性的だ」と考えている人もいるのかもしれません。
しかし、それは、固定観念(ステレオタイプ)であり、根拠のない決め付けである と言わざるを得ません。
BさんとDさんはともにゲイですが、ジェンダーの視点から見てみるとBさんは男性的でDさんは女性的です。彼らは架空の人物ですが、現実に、BさんのようなゲイもDさんのようなゲイもいます。
ゲイというのは、《 男性を性愛の対象とする男性 》 のことです。その中にはさまざまな個性の持ち主がいます。本当に多様なのです。
ですから、男性的なゲイもいますし、女性的なゲイもいるのです。実にバラエティに富んでいます。

BさんとCさんを比べてみると、Bさんは男性的でCさんは女性的です。
「ゲイには女性的な人が多い」とか「ゲイはみんな女性的だ」といった類の固定観念を持っている人が見れば、Cさんがゲイに見えて、Bさんはゲイには見えないでしょう。
でも現実にはBさんがゲイであり、Cさんはゲイではありません。
こんなことはざらにあると思います。
異性愛男性よりも男性的なゲイはわんさかいますし、ゲイよりも女性的な異性愛男性もわんさかいます。

僕の考えとしては、ゲイ / ヘテロ という性的指向 と、男性的 / 女性的 というジェンダー とは、分けて考えるべきものであると思います。

そして、いずれもその人の生まれ持った個性であることを忘れてはいけないと思います。


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