中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

「大理古城」から消えた本屋

2013年06月20日 | 雲南省

少し古いのですが去年の南方週末(電子版)では、民営書店の倒産の問題を取り上げています。以前私もブログで触れた事もありますが、ここに、二、三年は特に民営書店、個人経営の書店の倒産が目立って増えているとの事です。民営の書店が倒産や廃業に追い込まれる理由としては、家賃の高騰、人件費高騰等が挙げられていますが、それ以外の理由としては、ネットで本を買う人が増えた事も当然関係しているようです。中国では日本のように、本の再販制度も無いので、特にネット上の本屋では、定価の半額での販売とか、100元分本を買うと200元ポイントが貯まる等の過当な競争がネット上で繰り広げられている事もあり、ネットで本を買う人が年々増えているそうです。

その南方週末(電子版)等によれば、中国では一般的には、本屋の粗利は、売り上げの20%前後で、そこから家賃、人件費、税金等を引くと、殆どの本屋は利益が出ないそうです。で多くの個人経営の本屋では本の販売以外に文房具等、本以外の物品を販売して息をついているのが実状なのだそうです。

以前、私が大理古城に来た祭には、必ずの様に立ち寄っていた「樹人書店」という個人経営の書店があったのですが、その店もなくなってしまいました。やはり去年廃業に追い込まれたようです。一昨年「大理古城」に来た時、その樹人書店をたまたま覗いていたら紅河市に住む有名な哈尼族の「長街宴」に関しての本があり、思わず買ってしまいましたが、そのような本は、貴州省ではまず手に入りません。樹人書店には、雲南省に住む少数民族に関係する専門書も多く取り揃えており、店頭に並んでいる本を眺めるだけでも充分楽しめる本屋でしたが、廃業したようで本当に残念です。

その樹人書店には、有名なあの「南方週末」や「財経」等の週刊誌も置いてあって、週末には必ずそこで南方週末を買っていたのですが、大理古城では、南方週末を置いてある本屋は今では少なく、とても不便を感じます。また、樹人書店は「財経」や「新世紀」等の週刊誌も置いていたのですが、そういう週刊誌を置いている本屋は、今では大理古城では一軒もなくなりました。下関の本屋でも財経や新世紀等の週刊誌は扱っていません。

「大理古城」でも一番賑やかな通りにあった「樹人書店」。この本屋は元々大理古城のメインストリートにあっただけに、今は観光客相手の土産物屋になってしまいました。




貴州省にもあの西西弗書店を初め、それなりに個人経営の本屋がありますが、雲南省に関係する本等は、貴州省ではなかなか手に入り難いものです。同じように雲南省の本屋では、貴州省に関係する本はとても少なく、貴州省の少数民族に係わる本等は、手に入れるのがとても難しいのが中国の現状です。「雲南民族手工造紙地図」という本も、先月昆明市に行った時、昆明に行った時には必ずの様に顔を出す本屋で買いましたが、こういう類の本も貴州省では、まず手に入りません。そう意味では個性あるれる個人経営の書店が倒産や廃業に追い込まれるのは本当に残念です。

中国には有名な新華書店がありますが、元々新華書店は中国共産党の出版物を扱う部門として延安で誕生した書店で、中国でも特別な位置を占めている書店です。以前は国営の書店でしたが、経営形態が変わったとは言え今でも国営に順ずるような扱いで、教科書等は新華書店が独占的に扱うとか、地方政府から受ける税制上の優遇措置があるとか、店舗の借り賃が特別に安いとか、本が一般の書店より安く手に入る等様々恩恵、特典があるそうです。


陝西省延安市にある新華書店発祥の地。新華書店の事務所跡。
去年25年ぶりに訪れた延安で撮った写真。



南方週末(電子版)に拠れば、個人経営の書店が倒産、廃業に追い込まれる中で、地元政府等が税制面等で優遇措置を講じるべきだとしています。また、本の再販制度が無い中で行われる無制限の割り引きについては一定の歯止めを掛けるべきだと提言しています。何らかの措置を講じなければ、個人経営の書店は衰退するばかりで、消滅する危機にあるとしています。

 
大理古城にある漫林書宛(MANDARIN書店)。本店は昆明市にあり、大理古城以外には麗江市にも店があります。昆明、大理、麗江は何処も外国人観光客が多いこともあり、所謂洋書が充実している本屋。昆明、大理古城のこの店の二階は、全部洋書で占められています。民族関係の専門書も多く雲南省では昔から大変有名な個人経営の本屋です。



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