中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

雲南拉独克宋古城火災その後

2014年01月14日 | 雲南省

雲南省香格里拉県独克宋古城で起きた火災は、大きな反響を呼んでいるようで中国の多くのメディアが連日のように取り上げています。中国中央TVの「新聞1+1」と云う番組の中でも、例に漏れず、今回独克宋古城で起きた大火災について取り上げていました。

この件を取り上げた多くのメディアでは、今回343棟(注:内246棟が延焼、延焼を防ぐ為、消防車が通るように壊された家屋を97棟含む)が延焼、破壊され、約2600人が焼け出されると云う大災害になった原因としては、独克宋古城内の多くの建物は、木造式家屋であった事、古城内の道路が狭く、消防車が火災現場迄入れなかった事、古城内の防火貯水槽は一箇所しかなく、すぐ水が無くなった事、当日は大変寒く水道が凍っていた事、寒い事もあり水圧も低かった等で消火作業が思うように進まなかった事等を挙げている様です。

中国中央TVの「新聞1+1」と云う番組では、独克宋古城内の家屋は木造建築であった事や道路が狭かった事などは理由にならないと批判しています。何故そのような状況を踏まえ火災に対する備えをしなかったのかを批判すると共に、当日大変寒くて水道が凍っていた事もあり、消火活動に支障が出た事に対しても、独克宋古城内は海抜3300メートルもあり、冬は寒い事は自明の事ではないかとも批判しています。

また、「新聞1+1」と云う番組の中では、古城内の家屋は、本来は二階建てに制限されているとの事ですが、近年は違法な三階建ての建物も多かったとの事です。また、以前は古城内に空き地も多かったのが、近年の観光ブーム(注:2012年には約750万人の観光客が独克宋古城を訪れたとの事)もあり、土産物店や旅館等が立ち並び、古城内は大変な過密状態だったとの事。

またこの番組に拠れば、古城内の空き地は本来火災が起きた場合には、防火帯の役目を果たしていたとの事です。また、地元の人の話として、以前も火事が起きた事があるが、その場合は延焼を防ぐ為に、周りの建物の屋根を取り払い、井戸等から水を汲んで手渡しで、水にかけたり、消火したとの事で、以前には住民による火事が起きた場合の備え、組織もあったそうです。

興味深かったのは、この番組の中で女性のキャスターが、日本の奈良や京都も家屋は木造で、道路も狭いがこのような大火災は起きないのは何故かとゲストに質問している事です。その問い対して、質問されたゲストが「日本では火災に対する訓練も定期的にやっている、防火施設も充実しており、防火に対する住民の意識も大変に高く、火災に対する供えも十分だから」と答えている事です。

今回の火災の火元となったのは、上海人が経営しているゲストハウスだったそうですが、省内外から来て、独克宋古城内で土産物やゲストハウス等を経営する人も多く、古くからの地元民との意識のズレも指摘されている様です。省外から来ている人の中には、商売が軌道に乗り、経営が上手くいくと高値で転売して地元を離れる人も居るようです。

日本のネット等を看ていると、日本では今回の火事の原因について「放火か?」と云う様に報じた新聞等も幾つか見られたようですが、何故火事の原因が明確でない時点で「放火か?」と報じたのか不思議な気がします。中国の多くのメディアも火災の原因の一つとして放火もあり得る、その可能性は全く排除はしていませんでしたが、それはあくまで多くの原因として考えられる中の一つとして放火もあると云うものです。それが、日本では何故か「放火か?」と云うような見出しが付くのか私としては、かなり違和感があります。

現時点での地元政府関係当局(注:副県長)の発表に拠れば、今回の火災の原因は、古城四方街にあった41歳の上海人が経営する客栈(ゲストハウス)からで、電気器具の取り扱いを誤り、火がカーテンに燃え移り、今回の火災が起きたそうです。
 

今回の 火災で焼けた香格里拉県独克宋古城の様子。

 

重機や手作業で延焼を防ぐため止む無く建物を一部壊したとの事です。また、消防車も通すため道路沿いの家屋も壊したとの事。

 

 

 

 

 



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