中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

ベトナム人花嫁が集団失踪

2014年12月20日 | 中国農村

中国メディアに拠ると、11月末に河北省邯鄲市曲周県や肥郷県内の幾つかの村に嫁いでいたベトナム人花嫁が集団で突如失踪したとの事で、その数は約28名程に上るとの事です。河北省邯鄲市の農村で起きたベトナム人花嫁の集団失踪事件は、中国中央TV等でも取り上げられ、大きなニュースとなり、大きな反響を呼んでいる様です。メディアに拠っては、約100名以上のベトナム人花嫁が失踪したとも伝えています。(邯鄲市は例の「邯鄲の夢」「邯鄲の枕」で名高い河北省の古い都。)

新京報(電子版)等に拠れば、中国に嫁いだあるベトナム人女性の斡旋で、邯鄲市曲周県や肥郷県等の幾つかの農村の男性がベトナム人女性と結婚したとの事です。ベトナム人女性と結婚した男性達は、諸費用として約10万元程を相手に支払ったとの事。結婚した男性の中には結婚して、まだ2、3カ月しか経っていない人もいるとの事です。ベトナム人花嫁を斡旋していた女性も、元々はベトナム人との事で、約20年前に邯鄲市曲周県に嫁いで来て、地元で理髪店を開いていたそうですが、現地に住んで相当な年月も経ち、地元で商売を営んでいる事もあり、地元の男性達は、この呉と云うベトナム女性を信頼して、この女性の斡旋でベトナム人女性と結婚した人も多かったそうです。

今回のベトナム人花嫁の集団失踪事件を契機に、改めて中国の農村部における結婚難と云う問題が関心を呼んでいる様です。以前から中国では一人っ子政策の影響もあり、男女の比率の不均衡が指摘されていました。ある報道に拠れば、中国での男女の比率は113:100とも云われ、今後ますます結婚出来ない男性が増えると予想され、その数は1000万人に上るとも予想されるとの事。結婚適齢期の男性の数は適齢期の女性よりも2300万人も多いとの報道もあり、今後ますます結婚難が深刻化して、農村部に於いては大きな社会問題となると指摘されている様です。

鳳凰網(電子版)等の報道に拠れば、邯鄲市内の農村部でも、今現在結婚するには費用が平均20万元程必要な上に、新居や新車が無いと相手にされないとの事です。新居を構え、家具も全部揃え、新車も買うなると費用は4、50万元もかかるそうで、それで10万元程度で結婚してくれるベトナム人花嫁は人気が高いとの事です。ベトナム人花嫁は新車も新居も要求しないので安上がりだ等との報道もあります。中国に嫁ぐベトナム側の事情もある様で、その理由の一つはベトナムは中国とは違い男女の比率では女性が多く、女性の結婚難が問題になっているそうです。そして、云うまでも無くベトナムと中国の経済格差の問題です。貧しい農村に住むベトナム女性にとり、それなりに経済的発展を遂げた中国に嫁ぐ事は、魅力があるとも指摘する声もあります。

ネット等で調べると、中国に嫁ぐベトナム人花嫁の数は、ここ数年増えている様です。また、ベトナム人花嫁を斡旋する「仲介業者」も意外に多い様です。中国に嫁ぐベトナム人花嫁は最初は深圳、南寧(ベトナムと国境を接する広西省の省都)等の大都市が多かったのが、近年では中国全土に広がり、特に農村部に嫁ぐベトナム人花嫁が増えているとの事です。11月中旬にもネット上で湖南省のある農村に嫁いだ若いベトナム人花嫁の結婚生活が僅か二カ月程で破綻したとのニュースを報じていました。この男性は何でも6万元を「仲介業者」に支払ったそうです。男性は体に軽い障害があり、なかなか結婚出来ない事もあり、「仲介業者」に依頼して漸く結婚出来たものの、花嫁が結婚解消を願い出たそうです。

ネット等を覗くと「仲介業者」が主催するベトナム人花嫁探しツアー等も組まれている様で、それは以前日本等で問題にもなったフィリピン、スリランカ、中国等への嫁さがしツアーその物の様です。集団で現地へ向かい、集団でお見合いをして、お互いが気に入ったら結婚すると云う物です。短い場合期間は二週間程度、長くても三か月程で結婚に至るとの事。無論、結婚生活が長く続くケースもあり、幸せに暮らしているカップルも多い様ですが、今回の様に計画的に騙す場合もあるとの事です。以前このブログでも河南省のある農村のベトナム人花嫁の件を取り上げた事もあるのですが、当然うまくいっているケースもある様です。

私は以前貴州省に滞在して居たのですが、貴州省でも農村部では結婚出来ない男性が増えており、村によっては30代、40代になっても殆んどの男性が結婚していない村もあるとの新聞記事を読んだ事があります。今回の邯鄲市で起きたベトナム花嫁集団失踪事件は、中国中央TV、人民網、新京報、鳳凰網、新浪網等を初め多くの中国大手メディアが報じた事もあり、改めて農村部に於ける嫁不足の問題が大きな注目を浴びた様です。また、国外の女性と結婚をせざるを得ない背景にも、焦点があてられる形になった様です。

先月は偶々貴州に行っていたのですが、その時貴州省の新聞では、ある中国人男性がラオスの女性と結婚したものの、女性の件を関係当局に届け出をしてなかった事や結婚許可書等が不備な事もあり、強制送還になると云う様なニュースも報道されていました。その男性はラオスに出稼ぎ行った際、ラオスの女性と知り合い結婚したそうですが、今後もラオス、ミャンマー等の国の女性と中国人男性との結婚が増えるのではないかとの報道もあります。

今回邯鄲市で起きたベトナム人花嫁集団失踪事件は、花嫁を斡旋した呉と云うベトナム人を中心とした集団の計画的な犯行の様ですが、首謀者の呉と云う女性は、まだ捕まっていないとの事です。また、失踪した花嫁の所在についても掴めていないとの事です。

 

 

 

 

 



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