百億の星ぼしと千億の異世界

SF、ファンタジー、推理小説のブログ。感想を出来る限りネタバレしない範囲で気ままに書いています。

林譲治 『ストリンガーの沈黙』(2005年)

2012年10月24日 | SF 複数舞台

JYOUJI HAYASHI
Cover Illustration●緒方剛志
Cover Direction & Design●岩郷重力+Y.S
(早川書房 ハヤカワJシリーズ SFコレクション 124628)


ブラックホール・カーリーの周囲に建造された人工降着円盤は、巨大なエネルギー転送システムとして太陽系社会を変革した。それから数十年が経過した西暦2181年、宇宙空間に適応したAADDの人間たちと地球側との対立は発火点を迎えようとしていた。地球艦隊の武力侵攻が噂されるなか、AADDの伝説的メンバーであるアグネスは天王星軌道上の人工降着円盤へと向かう。システム全体を崩壊させかねない異常振動の原因を解明するためだった。一方、太陽系辺境の観測施設シャンタク2世号では、AADDのウスールらが、未知の知性体ストリンガーとの交信を模索していた。相克と邂逅の果てに、人類社会を待ち受ける運命とは?――連作集『ウロボロスの波動』に続くシリーズ最新長編。


これはAADDの人間が地球人よりも劣っていると考えていた地球側コンタクトチーム代表の安藤が、密航猫ライナスを介してAADDのウスールに対する態度を徐々に変えていくとともに、非実存的知性体ストリンガーとファースト・コンタクトする物語ですw(ウソ。でも半分ホントだよw まず前作『ウロボロスの波動』からアグネスや紫帆、アイリーンといった面々、さらには本書の最後に登場するあの人まで登場人物が引き継がれているのが嬉しいです。それにしても非実存的知性体って……ウェルズの火星人に始まって、これまでSF作家が創造してきた異星人を全否定するような異星生命体を描くことを目指したのでしょうか。いや、でも忘れてはならないスタニスワフ・レムの『ソラリス』がありましたね。それにしても面白かったなぁ~。まだこのシリーズもう一冊あるというか、あと一冊しかないというか、ずっと続けばいいのに……。カヴァー・イラストもこれぞSFって感じで最高です♪


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