百億の星ぼしと千億の異世界

SF、ファンタジー、推理小説のブログ。感想を出来る限りネタバレしない範囲で気ままに書いています。

グリン・ダニエル 『ケンブリッジ大学の殺人』(1945)

2014年02月23日 | 外国推理

GLYN DANIEL (DILWYN REES) The Cambridge Murders
小林 晋◎訳
カバー・イラスト:西川由季子
カバー・デザイン:小栗山雄司
(◎2008/扶桑社/扶桑社ミステリー タ9-1/1134)


ケンブリッジ大学が明日から長期休暇に入るという夜、フィッシャー・カレッジ内で門衛が射殺された。副学寮長のサー・リチャードは、一見単純に見える事件に複雑な背景があることに気づき独自の調査に乗り出すが、やがて帰省した学生のトランクから第二の死体が発見され…。めくるめく推理合戦、仮説の構築と崩壊、綿密きわまる論理的検証、そして単越したユーモア。考古学教授を本職とする著者がものした、本格ファンの魂を揺さぶる幻の40年代クラシック・パズラー、ついに本邦初訳なる!


扶桑社ミステリー文庫にはたまに古い年代ものの初訳が紛れ込んでいたりするので、要チェックなのですが、これもそんな中で見つけた一冊。
"本格"、"幻の40年代"、"クラシック・パズラー"といったキー・ワードを見かけ、即古本購入しました。読み始めたのは昨年の9月頃だったのに、読了が今となってしまったのはこちらの諸事情もあったのですが、本編529頁+訳者あとがき19頁の大作で、何しろ中間部が若干中だるみしながら長いんですよw

最初、探偵役はサー・リチャードでしたが警察の捜査が入ると途中で探偵役を止めてしまいます(オイっwww)。並行してウィンダム警部が捜査するのですが行き詰まってしまい、ついにはスコットランド・ヤードに応援を仰いでロバートスン・マクドナルド警視が登場し、警察本部長のカニンガム・ハーディ大佐まで捜査に加わって・・・、さらには事件関係者の推理も加わりもうグチャグチャにwww
確かに中だるみしている感は否めないのですが、ラストの急展開、4人の中の一人の沈着冷静な推理は圧巻です。読み終えることが出来て良かったと同時に、"いやぁ、面白かったなぁ♪"

主人公サー・リチャード・チェリントンは大学教授である作者の投影と見られ、これが処女作。最後の容疑者というか犯人と対峙した時のサー・リチャードの傍観者的姿勢には少し違和感を感じたものの、あくまでも教授は素人探偵であり、さらには時代が時代なだけにこれもまた一考なのかとも・・・。もちろん結末は作者がきちんとつけてくれましたよ。
第二作 Welcome Death は作者自身は処女作より自信があったみたいですが、アガサ・クリスティらからは処女作の方が良かったと言われました。出版元はグラディス・ミッチェルの初期作やキャメロン・マッケイブの『編集室の床に落ちた顔』(国書刊行会)のゴランツ社。



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