百億の星ぼしと千億の異世界

SF、ファンタジー、推理小説のブログ。感想を出来る限りネタバレしない範囲で気ままに書いています。

光瀬龍

2012年09月17日 | 光瀬龍

『墓碑銘二〇〇七年』(1963)

カバー 金森 達
('75/角川文庫 緑 三五九 2)


 数々の功労賞に輝く栄光の宇宙飛行士トジ。彼は全滅に瀕した9回に及ぶ他星への遠征で、いつもただ一人の生還者だった。「何故トジだけが……」死んだ隊員たちの遺族はトジに対し、激しい憎しみを抱いていた。
 そんなある日、第三次木星探検に参加のため宇宙基地へやって来たトジは、突然、無反動銃を持った見知らぬ女に襲われた! 彼女は、何回目かの遠征で彼が見捨ててきた仲間の妻だったのだ……。
 広漠たる宇宙を背景に、忌まわしい宿命を背負って生き抜く男を描いた表題作、ほか12編を収めた本格SF傑作選!

・「晴れの海一九七九年」
・「同業者」
・「墓碑銘二〇〇七年」
・「氷霧二〇一五年」
・「幹線水路二〇六一年」
・「宇宙救助隊二一八〇年」
・「標位星二一九七年」
・「スーラ二二九一年」
・「戦場二二四一年」
・「では次の問題」
・「不良品」
・「連邦三八一二年」
・「カビリア四〇一六年」



『たそがれに還る』(1964)

(ハヤカワ文庫JA 3/角川文庫 緑 三九五 14)


 時は3,000年代の終わり。惑星経営機構調査局員シロウズは、辺境星区航路を目指していたが、急遽、異変のあった金星に向かう。金星で局員たちは荒廃した未知の巨大な建造物の幻覚を体験、特にシロウズは、遥かな時空を超えた滅びの声をきいた……。
 一方、冥王星に多発する地震を調査中の局員たちは、直径500メートルの巨大な宇宙船を発掘。4,500メートルの地中に1,200年も埋もれていたのは、自らを宇宙船にサイボーグ化した異星の生命体だった。この宇宙船から、かつて、二つの星間文明が戦争し、その時、強大な力を持つ何かが、彼らを滅亡させたことを暗示させられた……。
 膨大な時の流れのなかで、戦慄すべき人類の未来を詩情豊かに描いた壮大な未来叙事詩、日本SFの名作。



『百億の昼と千億の夜』(1968)

(ハヤカワ文庫JA 6)


西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安をおぼえた……プラトン、悉達多、ナザレのイエス、そして阿修羅王は世界の創成から滅亡へと向かう万物の流転の長い時の流れの中でどのような役割を果たしたのか? ――壮大な時空間を舞台に「神」を追い求めた日本SFの金字塔、20年ぶりの加筆をふくむ新版登場

 加筆部分は数行です。



『カナン五一〇〇年』(1967)

カバー・金森達
(1974/ハヤカワ文庫JA 29)


・「オホーツク二〇一七年」
・「流砂二二一〇年」
・「シンシア遊水地二四五〇年」
・「流星二五〇五年」
・「レイ子、クレオパトラね」
・「星の人びと」
・「星と砂」
・「ひき潮」
・「カナン五一〇〇年」


『寛永無明剣』(1970)

カバー・石井三春
(1973/ハヤカワ文庫JA 132)


松平伊豆守配下、与力六波羅蛮たすくは、反幕陰謀探索のさなか柳生但馬守宗矩のさしむけた刺客に襲われた。将軍指南役の柳生が豊臣の残党に組するとは、どうしても考えられぬ。だが――大阪夏の陣終って19年、いまだ世情定まらぬ新興都市江戸に以後次々起る奇怪な暗殺事件の調査を進めた彼は、全ての裏に、悠久の時を貫き遥か人類終焉の未来より迫り来し、恐るべき魔の手の存在を知った……! いま三代将軍家光を前に、たすくと柳生、御前試合に場を借りた壮絶な戦いの火蓋が切って落とされようとしていた! 時代SF決定版!


『暁はただ銀色』(1970)

絵・武部本一郎
(1975/ソノラマ文庫 2)


 クラスメートの理香は原因不明の幻覚になやんでいた。彼女にひそかに思いをよせる健は、それが理香の出生地に関係があるのではないかと気づいた。岩手の山村にとんだ健は、村の寺の伝説にあるうら山の地中深くうめられている不思議なカプセルをほりだした。数百年ぶりにそれを開けた時、中によこたわっていたのは、理香そっくりの女性だった。


『SOSタイム・パトロール』(1972)

絵■武部本一郎
(1975/ソノラマ文庫 12)


 突然、仁の耳に戦いの雄叫びが聞こえ、硝煙の匂いが鼻をついた。傍らを刀をふりかざした武者が走り抜け、矢が飛びかった。傷ついた腕をおさえて、仁は途方にくれてしまった。<俺はいったい、どうしてしまったのだろう> 通信販売の電子工作キットを組み立てていたはずの中学3年生の仁は、どうやら元和元年、大阪夏の陣の真只中に飛び込んでしまったらしかった。


『喪われた都市の記録』(1972)

カバー・金森達
(1976/ハヤカワ文庫JA 74)


東キャナル市―生活の場を地球から宇宙へと求めて、人類が火星に建設した都市―で起こった落盤事故現場から「ある物体」が発見された。それは他天体から飛来したと思われるものだった! 一方、金星にも、はるか昔に存在したという惑星アイララからの声が届く。相次ぐアイララの出現は何を意味するのか? 地球外生命の存在の中に、文明のはかなさを描く壮大なるSF長篇。

本文569頁に及ぶ長編で、圧巻のラスト・シーン。このアイデアは最初に思いついたもん勝ちですね。せつなくも私的光瀬龍SFのベストに挙げます。


『歌麿さま参る』(1976)

カバー・石井三春
(1976/ハヤカワ文庫JA 78)



『東キャナル文書』(1977)

カバー・金森達
(1979/ハヤカワ文庫JA 81)


・「東キャナル文書」(SFマガジン'71年6月号)
・「アマゾン砂漠」(SFマガジン'74年2月号)
・「火星人の道Ⅰ」(SFマガジン'72年9月増刊号)
・「火星人の道Ⅱ 調査局のバラード」(SFマガジン'75年7月号)




作品リスト(*は短編集、Jはジュニアもの)
『墓碑銘二〇〇七年』* '63(早川書房)
『たそがれに還る』'64(早川書房)
『落陽二二一七年』*'65(早川書房)
『百億の昼と千億の夜』'66(早川書房)
『夕ばえ作戦』J '67(盛光社)
『カナン五一〇〇年』* '67(早川書房)
『北北東を警戒せよ』J '69(朝日ソノラマ)
『寛永無明剣』'70(立風書房)
『暁はただ銀色』'70(朝日ソノラマ)
『あのほのおをくぐれ』J '70(国土社)
『その花を見るな』J '70(毎日新聞社)
『異境』* '72(早川書房)
『作戦NACL』J '72(岩崎書店)
『SOSタイム・パトロール』J '72(朝日ソノラマ)
『喪われた都市の記憶』'72(早川書房)
『多聞寺討伐』
『歌麿さま参る』'76(ハヤカワ文庫→角川文庫)
『秘伝宮本武蔵(上・下)』'76(読売新聞社)
『ロン先生の虫眼鏡』'76(早川書房→徳間文庫)
『東キャナル文書』* '77(ハヤカワ文庫→角川文庫)
『秘密指令月光を消せ』'77(三省堂)
『SOS宇宙船シルバー号』'77年(三省堂)
『消えた町』'78(鶴書房→徳間文庫)
『立ちどまれば・死』J '78(ソノラマ文庫)
『明治残侠探偵帖』'78(立風書房)
『無の障壁』* '78(ハヤカワ文庫)
『SF未来戦記 全艦発進せよ!』'78(徳間書店→徳間文庫)
『見えない壁』'79(立風書房)
『消えた神の顔』'79(ハヤカワ文庫)
・「消えた神の顔」(SFマガジン'78年10月臨時増刊号)
・「飛加藤を斬れ!」(SFマガジン'77年1月号)他
『かれら、アトランティスより』'79(立風書房→徳間文庫)
『暁に風はやむか』'79(徳間書店)
『火星兵団を撃滅せよ』'80(徳間書店→徳間文庫)
『宇宙航路 猫柳ヨウレの冒険』'80(奇想天外社→徳間文庫→ハルキ文庫)
『幻影のバラード(上・下)』'80(徳間書店→徳間文庫)
『アンドロメダ・シティ』'80(ハヤカワ文庫)
『宇宙叙事詩(上・下)』'80(早川書房→ハヤカワ文庫・SFマガジン'77年10月号~'79年)
『かれら星雲より』'81(徳間書店)
『ベストオブ光瀬龍』'81(太陽企画出版)
『活人形怨之冑』'81(双葉社→双葉文庫)
『あいつの悲歌』'82(光文社→光文社文庫)
『ロン先生の虫眼鏡PARTⅡ』'82(徳間書店→徳間文庫)
『所は何処、水師営』'83(角川書店→角川文庫)
『ロン先生の虫眼鏡PARTⅢ』'83(徳間書店→徳間文庫)
『紐育、宜候』'84(角川書店→角川文庫)
『平家物語』'84(角川書店→角川文庫)