百億の星ぼしと千億の異世界

SF、ファンタジー、推理小説のブログ。感想を出来る限りネタバレしない範囲で気ままに書いています。

ジェイムズ・P・ホーガン 『黎明の星』(2003)

2012年11月04日 | SF 地球

JAMES P. HOGAN The Anguished Dawn
内田昌之 訳
カバーイラスト=加藤直之
カバーデザイン=矢島高光
(創元SF文庫 SF ホ 1 26)


木星から分離した小天体とのニアミスで、地球は地軸が傾き、大陸の形も変貌する大災厄に見舞われた。脱出に成功したほんのわずかな地球人は、かって地球を離れ、土星の衛星群で独自の科学文明を発展させていたクロニア人に救出される。いまやそこだけが人類文明の拠点となった。そして数年が経過し、彼らは災厄後の地球へ調査に赴くが……。『揺籃の星』に続く入魂の巨編登場!

いまだ変動がやまぬ地球。だが地上には生存者がいた。災厄以前の記憶を失い、わずか数年のうちに原始生活に返っていた人々が。新たな地球文明を築くため、クロニア人と地球人は協力して、彼らとのコンタクトを開始した。だが、これをよしとしない派閥があった。かつての地球の価値体系を守ろうとする一部地球人がクロニアの宇宙船を奪取し、地球惑星政府の設立を宣言したのだった!


本来なら『揺籃の星』に続く三部作の第二部なのですが、結局第三部が書かれることはなかったので、結果これがシリーズのラストになってしまいました。まず読んでいる間ずっと違和感を感じ続けたのが、地球側の生存者たちが災厄以前の記憶を失っているという点です。それも一人二人ではなく、集団でです。一部断片的記憶を持っている者もいるにはいるのですが、それにしても集団がショック状態で記憶を失っているという点は解せないです。この比率が逆なら十分納得出来るんですが……。もっともこれだけの大災厄を体験したことがないので、正解がどちらなのかはわかりません。ですから可能性としては有り得るのかも知れません。
今回も主人公は原子力エンジニアのランデン・キーンですが、前作と比べヴィッキーの登場比率が下がったように思われます。セリーナはさらにヴィッキーよりも下がった感があります。
未完のシリーズ作第二部ですが、それでも一応はきちんとした結末を迎えます。ですから中途半端な終わりで不満が残るということは有りません。個人的には第一部が面白すぎたためか、第二部は途中から飽きてきて読むのが辛くなってしまったのも事実です。そのため読了までにずいぶんと時間がかかってしまいました。思うに第一部の方がキャラクター的に魅力的な登場人物が揃っていたからかも知れません。それでももし第三部が書かれていたら、この物語がどう展開していったのか追いかけてみたかった気がします。


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