百億の星ぼしと千億の異世界

SF、ファンタジー、推理小説のブログ。感想を出来る限りネタバレしない範囲で気ままに書いています。

トム・リーミイ 『沈黙の声』(1978)

2012年10月16日 | 外国ファンタジー

TOM REAMY Blind Voices
井辻朱美 訳
(1981/サンリオ◎1992/ちくま文庫 り 3 1)


白い肌、白い髪、赤い瞳の魔法少年エンジェル。彼は巡回奇人一座と一緒にやってきて、平凡なホーリイの夏をめくるめく興奮と恐怖のうずに巻き込んだ。エンジェルを意のままにあやつるハーヴァーストック、小人のティム、半獣人ミノタウロス、幻想と現実のはざまに棲む者たち――アメリカの知られざる幻想作家トム・リーミイが、ブラッドベリにも似た透明で美しい世界を織りあげた、ファンタジーの傑作。
解説 川本三郎


かってサンリオSF文庫で出ていた本書がちくま文庫から復刊されていたことを偶然知って、タイミングよく入手できたので読んでみました。出版社が変わってしまったためなのか、カヴァーアートワークも変わってしまったのがとても残念です。というのもサンリオから出ていたほうのカヴァーは主人公エンジェルのイラスト画で、まさにピッタリの絵だったからです。一座の面々は他にもメデューサ(の姉妹)や蛇母神、電気人間エレクトロといった奇人が出てきます。それにしてもこの本は……読んでいてスティーヴン・キングあたりの原作映画を思い出したんですが、SFというよりはむしろダークだけど真っ暗じゃないファンタジーといったほうが適切な気がします。訳者の井辻さんによると、著者の作家活動期間は三年に満たなかったということなので、そういった意味でもこのリーミイの数少ない作品のうちの一冊というこで貴重です。ところで『沈黙の声』ってタイトルのセンス、素晴らしいと思いませんか? このタイトルの意味は本書のSF的要素の一つなんですが、それは読んでからのお楽しみということで。


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