26 日露関係Ⅱ(第1次世界大戦~1945) -15-
ⅲ 第2次世界大戦 -4-
■まとめと考察 1/3 ~まとめ表再掲~
1 「独ソのポーランド分割」の描き方
●「ソ連も分割占領した」という史実を書いていない。 → △ 5社:帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院、学び舎。
※ロシア(ソ連)という国は、17世紀のロシア帝国のころから「南下・領土拡張政策」を採ってきた。ソ連になるとさらにはっきりと「世界制覇(共産主義:世界革命)」を目ざしていた。数百年来、そのことに日本は危機感をもちつづけてきた。したがって、《南下圧力にさらされてきた》日本の教科書ならば、この史実は見逃せないだろう。
2 「日ソ中立条約を締結した目的(理由)」の描き方
●究極的には「アメリカに対抗するため」という、学問的に確定している(と思える)最重要の目的(理由)を書いていないだけでなく、《それ以外の理由だけ》を書いているのは悪質。 → × 5社:東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院。
※1 学び舎は、目的(理由)を書いていないが、中学レベルの歴史書では”編集の裁量”範囲だろう。高校以上では△あるいは×だと思う。
※2 日本政府の目的・・・ウィキペディアでは表中のとおり。一方、「三省堂 大辞林」では「日本はこの条約により南進政策を進めた」、「ブリタニカ国際大百科事典」では「日本にとっては北方からの軍事的脅威を弱め,南進に力を注ぐことができ,ソ連にとっては対独戦にのみ集中することができる効果をもった」と書いてある(ようだ)。
数日前から、「台湾」についての広辞苑の説明について、中華人民共和国と台湾が争っているが、岩波書店は ”中華人民共和国(中国共産党)の言い分”のままですませるようだ。・・・このように、《学術書ではない》辞書・辞典の内容はあてにならない、ようだ。
特に、戦後の徹底した《米国による日本支配と改造政策》のもとでは、その意図と工作・影響により、あらゆる情報がその”汚染”にさらされてきたと思う。70年間の歴史の見直しをしないと、《縄文+弥生以来の文化的・精神的な日本の復活・独立・自立》は果たせないだろう。(※”戦後文化も含みながら”復活”することで、今後の《”パクス・アメリカーナ” 後の世界》に大きな貢献ができると確信している。)
私としては、「yahoo知恵袋」で見つけた回答の一つ・・・「日本の主な狙い=支那事変(日中戦争)の解決促進、さらにこの条約を促進させ日独伊ソによる四国協商(四国同盟)の成立をめざす、南方に進出するため安全確保、盟邦満州国の安全向上、対米外交強化などなど。ソ連の主な狙い=欧州で戦争が勃発していたので東方の安全確保、盟邦モンゴルを事実上日本に承認をさせる(当時の承認国はソ連だけ)、北樺太の利権問題の進展(ポーツマス条約の一部変更)などなど」、に親近感があります。
長年の経験上、《それが重要であればあるほど、人や組織による決断・行動の目的・理由は単純ではない。》というのが、現実の実相だと思えるから…
3 「ヤルタ会談」の描き方
●会談についての直接の説明・描写がない。 → × 東京書籍、清水書院。
※ヤルタ会談は、終戦時・終戦後の日本に多大な影響を及ぼしつづけている、日本(世界)史上重要な会談。
4 「ポツダム宣言」の描き方
※教育出版の文(表中)・・・「会談し」と「発表しました」の主語はちがう(※重要)のに、文法形式上”同じ主語”になっている。単純ミスだと思うが…
~次回、まとめと考察2/3~
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《著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》
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