26 日露関係Ⅱ(第1次世界大戦~1945) -11-
ⅱ 1921-1938 -4-
■まとめと考察 2/2 ~まとめ表再掲~
1 ⅱの記事量
●1921-1938年の間、日本国に大きな影響を及ぼした国(のひとつ)であった「ソ連」についての言及がない。 → × 東京書籍、学び舎。
※かなり驚き、何回か読み直したが… うっかり見落としがあったら教えてください。
2 「ソ連・共産主義の台頭」の描き方
●「スターリンの大粛清」について書いていない。 → △ 帝国書院、教育出版、日本文教。
※日本のできごとではないが、最初の《共産(社会)主義(的)独裁体制国家における「粛清事件(大量死)」》として、人類全体が歴史的教訓にして忘れてはいけない大事件だろう。死者数の多少はあれ、その後世界各地でたびたび起きてきたし、実は今でも北朝鮮や中華人民共和国などかなりの国々で存在する現象なのだから。
3 「コミンテルンの国際的影響」の描き方
●この時代の「コミンテルンの世界的な活動と影響」について書いていない。 → △ 帝国書院、教育出版、日本文教。
※なぜだろう?
4 「中国におけるソ連・コミンテルンの活動」についての描き方
●このことについて、まったく書いていない。 → × 東京書籍、日本文教、清水書院、学び舎。
※日本に直接関係した重大なできごとなのに、なぜ書かないのだろう?
~評価の説明は以上~
<蛇足>「中国」という呼称の曖昧性と問題性(の一部)について
上記のころの「中国地域(=中国亜大陸)」は ”諸勢力が入り乱れた内戦状態” であり、統一国家は無いので、教科書で一部使われている「中国」という呼称は、おそらく「中国地域」や「中国地域の諸勢力」などの意味でしょう。
一方、第2次世界大戦後に、日本で使われる「中国」は、「中華民国」や「中華人民共和国」の略語であったり、「中国地域」や「ユーラシア大陸東南部」などを指していたりすることが多い。どちらも略語です。
したがって、13歳ぐらいの中学生にとっては、教科書のなかで使われる「中国」という呼称の意味を正確に理解するのはけっこう難しいのではないかと思われます(=誤解する可能性がかなり高い)。現在のニュースなどで使われている「中国」を誤解することはほぼないでしょうが。
ですから、中学や高校教科書のような「入門的歴史書」においては、どう使っても略語でしかない「中国」という用語ではなく、「中国地域」「中国亜大陸」「ユーラシア大陸東南部/「中華民国」「中華人民共和国」などのような、誤解の(少)ない呼称を使うべきだと思います。
(※中国人や華僑の皆さんが使う「中国」や、中華人民共和国などの共産党が使わせたがっている「中国」は、もともとの意味が違います!)
~次回、ⅲ 第2次世界大戦~
<全リンク⇒1へ> <26 日露関係Ⅱ(WW1-1945) 370・371・372・373・374・375・376・377・378・379・380・381・382・383・384・385・386・387・388・389(この項:完)>
《著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》