26 日露関係Ⅱ(第1次世界大戦~1945) -7-
ⅰ 第1次世界大戦 -7-
■まとめと考察 2/2(ロシア革命)-2/2 ~まとめ表再掲~
1 「ソビエト政権成立時の状況」の描き方
●皇帝一家や資本家・地主・知識人が多数殺されたことを書いていない。 → △ 6社:東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院、学び舎。
※ 歴史上、はるかな昔から武力・暴力による権力交代時には大量殺人が常だった。近現代では、特に「共産(社会)主義革命」や「独裁国」の場合には「おびただしい犠牲者(=死者)」が出てきた。現在でも、中華人民共和国、北朝鮮などで起きている。この悲惨な事象は歴史の教訓としてしっかり教えなければいけないだろう。
<今後の調査予定(仮説検証)・・・この6社は、《いわゆる「南京事件(虐殺)」:日本人が外国人を大量に殺した(とされる)事件》については必ず書くが、《満州や朝鮮半島やロシアなどで、外国人が日本人(など)を大量に殺した事件》については書かない、という”編集方針”があるようなので、かなり後になるだろうが、独立項として調べてみたい。>
2 「ソ連の政治・政策」の描き方
●犠牲者(死者)が「200万人ほど」と言われている「スターリンの大粛清」について、「弾圧」や「犠牲を強いる」との表現を用いて、実態を伝えていない。 → △ 帝国書院、教育出版、日本文教。
※なぜきちんと書かないのか? これでは、(うぶな)中学生は、世界標準では生ぬるい”日本の言論弾圧”ぐらいにしか思わない。
3 「共産(社会)主義の思想と世界的影響」の描き方・・・評価していない。ただし、”微妙な表現によって価値観や感情を伝えるのに適した(ノンフィクション)文学”として評価すれば違いがある。27日露関係Ⅲ(戦後)シリーズの後に、「28共産・社会主義の描き方」という通史の項を立てて調べるので、おそらく各社の違いが明らかになるだろう。
※「北からの共産主義の脅威」・・・育鵬社と自由社だけがここで書いている。実はこの認識が後の「満州事変~支那事変」の一因にもなっているので、他社にも書いてほしいところだが…
4 「コミンテルン」の描き方
●ソ連成立から第二次世界大戦までの間、日本のみならず世界的に大きな影響をおよぼしたこの国際的組織について書いていない。 → × 4社:帝国書院、教育出版、日本文教、学び舎。
※コミンテルンを知らなければ、この時期(や戦後のソ連崩壊まで)の多くの歴史事象の真相について、充分な理解はできないだろう。
~次回からⅱ~
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《著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》