IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

キリマンジャロとER

2006-10-11 11:02:25 | 政治
今日からMLBのリーグ優勝決定戦が始まるけれど、ワールドシリーズ出場をかけて戦う4チームの動向以上に、ニューヨーク・ヤンキースの来年度人事がどうなるのかといった話題が国内メディアによって大きく報じられている。ヤンキースの件はこの前のブログで少し紹介したけれど、ニューヨーク・メッツに敗れたロサンゼルス・ドジャーズにも興味深いエピソードがあったようだ。今期からチームに加わったジョー・バイムル選手は左腕の中継ぎとして62試合に出場し、プレーオフでも活躍が期待されていたんだけど、メッツとの第1戦が始まる前日の早朝に利き腕の手の部分を切ってしまった。当初、バイムル選手は監督やチームメイトに「ホテルの部屋で怪我をした」と言ってたんだけど、第3戦目の開始直前に行われたミーティングで「実は明け方までニューヨーク市内のバーで飲んでいて、その時にグラスで手を切ってしまった」と明かし、謝罪している。でも、グラスで手を切るって、ベロンベロンになるまで飲んでたのでは?さてさて、今日は北朝鮮の核実験に関するニュースを。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信が9日に「地下核実験を安全に成功させた」と発表したため、アメリカ政府内では依然として情報収集が続けられているが、10日付のニューヨーク・タイムズ紙は今回の核実験を「アメリカとその同盟国が約20年にわたって展開してきた対北朝鮮外交の失敗を意味するもの」と分析記事の中で結論付けている。中間選挙まで残り4週間となった9日、民主党は早速「ブッシュ政権はサダム・フセインを政権の座から引き摺り下ろすほどの情熱を、核の拡散防止には注いでこなかった」と、ブッシュ大統領や共和党に対して激しい批判を展開している。ブッシュ大統領と側近達は一触即発の状態であったイラクこそが最も切迫した脅威であったと主張する。しかし、ブッシュ大統領は過去に北朝鮮の金正日総書記を「世界最悪の独裁者」と呼び、北朝鮮に核を持たせたりはしないと豪語していた。ブッシュ大統領がアメリカ国民に向けて行った「約束」は、9日の核実験成功の発表によって、あっさりと裏切られた格好となった。

「今回の地下核実験で言えるのは、我々は悪の枢軸と呼ばれる国への対応の順序を間違えたということです」。民主党のサム・ナン元上院議員はニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに対してそう語った。議員引退後に核の拡散を防止する運動などを精力的に行っているナン議員は、「我々は悪の枢軸と呼ばれる国々の中で、最も危険度が低かったイラクに目を向けてしまいました。今になって、その代償を支払わなければならないのです」と語っている。ブッシュ政権内で国家安全保障問題を担当する側近達は9日、「過去5年間で異なった戦略を打ち出していたら、今とは違った結果になっていたか?」というタイムズ紙の質問へのコメントを拒否している。しかし、ステファン・ハドリー国家安全保障担当補佐官だけは、「これまでアメリカが単独主義に走っていると批判されてきた過去を思い出してください。そういった背景があったため、我々は同盟国などと協力して外交を重視してきたのです」とコメントしている。

CNNは10日、米政府高官の話として「北朝鮮は核爆発実験を試みたが、うまくいかなかったようだ」と伝えている。この高官は核実験実施直前に北朝鮮が中国に対し、4キロトン規模の核爆発実験を行うと伝えていた事実を認めたが、実験が行われたという証拠示す手がかりがほとんど見つかっていない状態の中、爆発自体が500トン以下の極めて小さなものだったのではないかと指摘している。別の政権高官はCNNの取材に対し、北朝鮮が2度目の核実験を実施する可能性は存在すると認めたものの、核実験を行うための準備作業などは現時点で何も確認されていないと強調した。パキスタンが1998年に核実験を実施した際、爆発の規模は約15キロトンあった。ロシア国防省は10日、北朝鮮の核爆発実験の規模を5~15キロトンと推定する発表を行ったが、米情報当局内では500トン程度だったのではという認識が強まっている。しかし、ある政権高官はCNNに対し、「地下に作られたトンネルの強度によっては、地震波を弱める事も可能だったのかもしれない」と語っている。

日曜夜に2人の友人から電話があり、それぞれ「まさか行くとは思わなかった場所」についていろいろと話してくれた。ハンブルグで新聞記者をやっているドイツ人の友人は少し前に取材でキリマンジャロ登山を経験したらしく、かなり興奮した口調で「もう一度、プライベートでも行ってみたい」と何度も言っていた。電話で話してから数時間後には現地で撮影した写真をメールで送ってくれたんだけど、スワヒリ語で「輝く山」を意味するアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロは、やっぱり美しかった。ドイツからの電話を終えてしばらくすると、ワシントン市内で働くアメリカ人の友人(兼サッカー仲間)から電話が。受話器から聞こえてくる痛々しい声。なんでも先週金曜日に自分のオフィスで整理作業をしていた際、重めの箱を無理な姿勢で動かそうとして腰を痛めてしまい、その日の夜にオフィスの近くにある病院の救急救命室(ERってやつです)に運ばれたらしい。幸いなことに、大事には至らなかったそうだけど、これから数週間はイスに長時間座らないようにとも言われたそうだ。本人はサッカーボールを蹴りたくてウズウズしている様子だったけど、今回ばかりは本当におとなしくしておいた方がいいと思う。


写真:7日に行われたドジャーズ対メッツの第3戦。ゲーム終盤に頭をかくドジャーズのリトル監督 (AP通信より)


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