IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

コロラドの人質事件が残した幾つかの「謎」

2006-09-30 13:55:55 | 犯罪
雷模様となった木曜日夜、あんまり外に出たくは無かったんだけど、先週末に借りていたDVDの返却期限が木曜夜までだったため、仕方なく傘をさして自宅近くにあるレンタル店へと歩いていった。今回借りた映画は2本で、日本でもうすぐ公開の『ザ・センチネル』と、アントニオ・バンデラスが問題を抱えた高校生達に社交ダンスを教えるプロのダンサーを演じた『テイク・ザ・リード』。案の定、ギリギリまで見るのを忘れていて(それでも、『ザ・センチネル』は日曜日に頑張って見た)、2本目の作品を見たのが火曜日の夜中だったんだけど、実話をベースにしたらしい『テイク・ザ・リード』は思っていた以上にいい話で、見終わったあとに掘り出し物を見つけたような気分にさえなった。レンタル店からの帰り道、少し暗がりの道を歩いていると、路上で動く奇妙な物体を発見。なんとヘビだったんです。路上でヘビを見るのは久しぶりだったんだけど(おそらく、オーストラリアの田舎町に滞在した高校時代以来だと思う)、なぜか冷静に「こんなに寒いのに、冬眠の準備をしなくて大丈夫なのかな?」とヘビの今後を心配してしまった…。こんな時期に出てくるもんなんですねぇ。さて、今日はコロラド州で発生した人質事件に関するニュースを。

コロラド州ベイリーで27日、拳銃で武装した53歳の男が地元のプラット・キャニオン高校に侵入し、校舎の2階部分にある教室で6人の女子生徒を人質に立てこもる事件が発生した。篭城は約4時間続き、警察はSWATを教室に突入させたが、その際に男は人質の1人に向かって発砲し、間もなく自殺している。頭を撃たれた16歳のエミリー・ケイズさんは搬送先の病院で間もなく死亡した。事件が発生したベイリーから車で1時間ほど走ると、リトルトンという町に到着し、この町にあるコロンバイン高校では1999年に生徒による銃乱射事件で13人の死者を出している。地元警察によると、自殺を図った男性はデュエイン・モリソン(53歳)で、銃マニアとして知られていた。コロラドの地元紙ロッキー・マウンテン・ニュースの報道によると、モリソン容疑者は2005年5月に当時住んでいたデンバー市内のアパートから15丁の銃火器類が盗まれたと警察に被害届けを出しており、警察記録では10丁の拳銃と5丁のライフルが盗難に遭ったとの事だ。

モリソン容疑者がなぜデンバーから35マイル以上もあるベイリーに向かい、現地の高校で女子生徒を人質にとったのかは不明だが、地元警察は29日に行った記者会見でモリソン容疑者に自殺願望があった可能性を指摘している。記者会見では、モリソン容疑者が犯行前に家族に宛てて遺書らしき手紙を残していた事実が明かされ、メモ用紙14枚に走り書きされた手紙には容疑者が家族に対して「これから起こる事を申し訳なく思う」と記述も存在した。「これは遺書や日記といった類のものではありません。しかし、この中で自殺に関する記述が幾つか存在し、容疑者が死というものを強く意識していたのは確かです」。パーク郡のフレッド・ウェゲナー保安官は記者会見でそう語った。この遺書らしき手紙の消印は事件発生当日の27日になっていた。立てこもり中、モリソン容疑者は6人の人質全員に性的いたずらを加えていた模様で、少なくとも2人は性的暴行を受けていたという情報もある。また、ウェゲナー保安官は、「モリソン容疑者がソーシャル・ネットワーキングサイトで人質となった女子生徒達の情報を入手した可能性があり、警察による確認作業が行われている」と語っている。

人質の1人だったリナ・ロングさんがロッキー・マウンテン・ニュース紙に語ったところによると、6人の人質は教室内で「人間の盾」として窓に向かって並ばされ、モリソン容疑者によって性的ないたずらが加えられた。恐怖心のため振り向くことのできなかったロングさんは、容疑者によって背後から胸を触られた場面しか覚えていないと語ったが、ケイズさんが容疑者の性的暴行に悲鳴をあげていた事も明かしている。現在までにモリソン容疑者と人質となった6人(そのうちの4人はSWATの突入前に開放されている)との接点は何も発見されていないが、前出のウェゲナー保安官はモリソン容疑者が高校に侵入する際、人質となった6人の女子生徒の名前が書かれたリストを手にしていた可能性があると語っている。人質事件が発生する直前、モリソン容疑者は男子生徒の1人に対して、複数の女子生徒の名前を出し、彼女達に関する質問を繰り返したのだという。モリソン容疑者が口にした女子生徒の中に、ケイズさんらが含まれていたかは不明だ。

日本でも阪神タイガースの逆転優勝の可能性が大きなニュースになっているようだけど、同じような現象が今シーズンのメジャーリーグでも発生していて、ナ・リーグ中部地区の首位の座をかけてセントルイス・カージナルスとヒューストン・アストロズが最後の戦いを繰り広げている。9月19日の試合終了時点で、ナ・リーグ中部地区の首位はカージナルスで、2位のシンシナティ・レッズとのゲーム差が7.0という状況。3位のアストロズとの差は実に8.5もあった。9月中旬にこの数字を見れば、どんな悲観論者でもカージナルスの地区優勝を確信したはず。けれども、カージナルスは20日から29日にまでに8敗を喫し(26日までの7連敗を含む)、逆にアストロズは20日から28日まで負け無しの9連勝を記録した(29日のアトランタ・ブレーブス戦は1-4で敗れている)。首位のカージナルスと2位に浮上したアストロズとのゲーム差は、29日の試合終了時点で僅かに1.5で、勝率から考えて2位のチームがプレーオフに進出する可能性はゼロだ。カージナルスの残り試合が3なのに対して、ヒューストンは2試合。週末に新たなドラマが生まれるのだろうか?


写真:27日にコロラド州ベイリーで発生した人質事件で、事件現場から避難してきた生徒とその家族 (ロイター通信より)