IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

今日は4にまつわる話でも

2006-09-20 14:02:15 | エンターテーメント・カルチャー
パソコンやプリンターで有名なヒューレット・パッカード社の「社内調査」に関するニュースが、新聞やテレビで何度も報じられている。複数のメディアによると、HP社は2005年2月、当時の会長兼最高経営責任者だったカーリー・フィオリーナ氏を解任したんだけど、その前後に行われた取締役会に関する情報がメディアに流出したため、2005年春頃から社内調査で情報漏えい者を探し始めていたらしい。HP社は探偵会社に調査を依頼し、この探偵社はHP者の取締役や報道関係者の名を騙って、電話会社から個人の通話記録を不正に入手していたそうだ。しかも、CNETの記者に対してはドキュメント付きのメールを送信するという(それを開くと、第三者が他人のメールを自由に閲覧できるソフトウェアがインストールされる仕組みだったらしい)、諜報機関もビックリの「社内調査」。この事件、すでに司法当局も動き出しているんだけど、28日は下院の小委員会でも公聴会が行われるそうです…。さてさて、今日はペンタゴンが開発したビデオゲームをプレーした若者達が、それに影響されて米軍に入隊していく様子を報じたクリスチャン・サイエンス・モニター紙の記事を。

この夏、アラバマ州チェルシー出身のマット・スタンブロとダグ・スタンブロの2人の兄弟は陸軍に入隊した。スタンブロ兄弟は多くのテーィンエージャー同様に、ビデオゲームに影響されて入隊を決めている。スタンブロ兄弟が陸軍での基礎訓練を終了した先週、ペンタゴンは戦闘型ビデオゲーム「アメリカズ・アーミー」の最新版を発表している。「このゲームをプレーするまで、軍隊について考えた事も無かったんです」。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の電話取材に対し、ダグ・スタンブロさんはそう語った。911テロ事件後、イラクとアフガニスタンではすでに3000人以上の米兵が命を落としており、米軍はビデオゲームを無料配布したり、入隊時にiPodを支給するなどして、入隊志願者の減少を食い止めようと必死だ。ビデオゲームや携帯型音楽プレーヤーで若者の関心を集めようとする手法には批判も少なくないが、ペンタゴンにとって「アメリカズ・アーミー」は勧誘のパンフレットやビデオ以上に若者の好奇心をくすぐる秘密兵器でもあるのだ。

「アメリカズ・アーミーは入隊の適性検査をバーチャル化したものでもあるのです」。そう語るのは、ゲームの製作者でもあるケーシー・ワーディンスキー大佐。「このゲームの中で我々が若者にアピールしたいのは、リーダーシップやチームワーク、価値観といった軍で必要な道徳的規範なのです」。ワーディンスキー大佐はそう説明する。最近になって陸軍内のビデオゲーム開発チームがジョージア州フォートベニングにある陸軍基地で実施した調査によると、新兵の約60パーセントが「アメリカズ・アーミーを1週間に5回以上プレーした」と答えており、4パーセントにいたっては「ゲームが入隊の動機になった」とまで答えている。「アメリカズ・アーミー」では、プレーヤーがオンライン登録したあと、ゲームをダウンロードして遊ぶ事ができる仕組みとなっている。ゲームの登録者数はすでに750万にまで達しており、アメリカ国内の人気オンラインゲームでは常にトップ5に入っている。

イラク戦争などの影響もあって、アメリカ国内では軍隊の志願者数が年々減少し、米軍は志願者のタトゥーに対する規制を和らげたり、入隊時に最高4万ドルまでのボーナスを支払うなど、若者の軍離れを食い止めるのに頭を悩ませていた。しかし、インターネット環境が整い、若者の間でも1人に1台ずつパソコンが普及する現在、米軍製作のビデオゲームは予想以上の効果を挙げているようだ。「アメリカズ・アーミー」が最初に作られたのは1992年。それから何度かモデル・チェンジを繰り返し、現在ではパソコンで無料ダウンロードが可能なのに加えて、プレイステーションやXboxといったテレビゲーム用のソフトも約20ドルで発売されている。最新版のゲームはリアルに作られており、実際の戦場のように、戦闘シーンが始まると思うようにライフルを使いこなせない事もある。米軍はこのゲームで戦場の「リアルさ」やチームワークなどの重要性を若者に学んでほしいと主張するが、こういったゲームが小学生でも簡単にダウンロードできるため、「やりすぎではないか?」という声も少なくない。

最近行われたメジャーリーグの試合で「4」にまつわる記録が相次いだものだから、今日は最後にその話題について触れておこうと思う。まずは、ワシントン・ナショナルズのアルフォンソ・ソリアーノ選手。16日に地元のRFKスタジアムで行われたブルワーズとの試合で、メジャー史上4人目となる1シーズン40本塁打・40盗塁を達成。過去に「40-40」を達成したのはホセ・カンセコとバリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲスの3人のみで、今シーズン終了後にはFA権を取得するソリアーノに触手を伸ばす球団がいくつも出てくると思う(レッドソックスよ、今が買い時でっせ!)。それから2日後の18日にはロサンゼルス・ドジャーズがやってくれました。これもまたメジャー史上4度目となる、4者連続ホームラン。この記録は60年代に3度あったんだけど、1964年5月2日にミネソタ・ツインズが記録して以来、実に42年ぶりの記録となる。こういった記録達成の瞬間を球場で見てみたいんだけど、なかなかタイミングがねぇ…。


写真:記録達成の翌日、フランク・ロビンソン監督と談笑するワシントン・ナショナルズのアルフォンソ・ソリアーノ選手(左) (AP通信より)