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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

★★“公共事業”から“民営化“へ ★ 究極のアウトソーシングとは ★★

2009年04月20日 | これだけは言いたい!
 麻生政府は追加補正で15兆円もの公共事業をばらまくという(4月10日各紙)。 若者やメディアの皆さんは、飛翔体やら宇宙戦争ごっこに悪のりしている場合でないことに気付いてほしい。未曾有の金融破綻・経済危機に際してこそできること、《米国過剰消費だのみの輸出主導型》、《金持ち太って内需疲弊型》の経済構造の転換を指向すべきなのは明らかではないだろうか。
 にもかかわらず、麻生政府は“赤字国債の縛りが解けた”とばかりに、なんでもありの財政出動でこうした経済構造を延命しようとしているわけで、これが意味するのは格差拡大固定の上に極近未来に大増税(&インフレ)時代が、間違いなくやってくるということなのだ。

 さて、標記の「公共事業から民営化」だが、“privatization”を「民営化」とするのは新自由主義者のまやかしだ、ということに注意を喚起したい。政府やマスゴミの言い方にに抗して、「私営化」などと表現するむきもあるが、練金術師は、より正確に『民営(私利私欲)化』と言ったほうが解りやすいと思っている。(『民営(非営利)化』と区別) 

 今回問題にするのは、公共事業といってもダムや高速道路の話ではない。『民営(私利私欲)化』といっても郵政改革、PFI、指定管理について言いたいのでもない。ここでは平和を希求する立場から“戦争の実体と本質”の一端について愚考してみたい。

 まず、戦争とは経済問題であり、今も昔もある種の経済人にとって戦争は確実なビジネスソリューション(蜜の味)なのだ、という問題意識を持つことから始めよう。

第二次世界大戦が終わって冷戦秩序が作り上げられた(“共産主義=悪魔”だとして封じ込めようとするCold War)。そして、超大国アメリカは必要に応じて世界各地でHot Warを繰り返してきた歴史がある。それは軍隊・軍備・軍需から戦略(兵器)まで広範な需要喚起・新製品開発・在庫処分のための機会をつくるものであった。いわゆる「死の商人」たちによるこうしたやり口を見れば、あまたの公共事業のうちでも、それ(Cold War & Hot War)が膨大な国家予算を貪り続ける最強最後の公共事業だということがわかる。
 エージェントを使って《危機》を造り、メディアが《危機感》をあおって《安全保障》の名の下に国民を説得?する…。このような軍拡に走ることが経済成長の必須アイテムであった時代が長く続いた。(“戦争中毒”)
 この問題は無論、日本にとって人ごとではない。朝鮮戦争・ベトナム戦争(の「特需」)がひとつの契機(刺激剤)となって戦後復興や経済成長は成し遂げられてきたのであるし、「日米同盟」の名により経済大国から軍事大国をめざし、非戦憲法下で小さく生んだ属国軍隊・自衛隊をここまで育てあげ、米軍事戦略の世界的再編に深入りしようとしているのだから。

1990年代初頭ソビエト連邦の崩壊により「鉄のカーテン」で世界を二分した東西冷戦時代は終わりを告げ、軍縮、軍事予算削減の方向が自然の流れとなった。
2000年代に入ると軍産複合体にとって「あたらしい世紀には“新しい悪魔”が必要」となった(“テロリスト”があたらしい悪魔として登場)。…しかし、貧困と抑圧、社会矛盾のグローバル化で、あちこちで立ち上がる(ボランティアグループのような)“テロリスト”では、いかにも非対称すぎて戦争相手には役不足!だった。2001年9月11日までは…。
 かくして、ブッシュは《911事件》を得ることによってアフガン・イラク侵攻=「対テロ戦争」の咆哮をはなつことができたわけだ。

8年目に入った対テロ戦争を引き継いだオバマ米国大統領は就任に際し、世界の人々の期待に応えるべく「我々は責任を持ってイラクから撤退し始め、イラク人に国を任せる。そしてアフガンでの平和を取り戻す。」と宣言(就任演説)して“二兎を追うものは一兎を獲ず”という格言を地でいった。以来、グアンタナモ収容所の閉鎖を決めたり、イラク撤退計画を指示したり世界に向かってメッセージを発するオバマの口から「対テロ戦争」のことばは今のところ聞こえてこないようだ…。

 しかし、ブラックウォーター社(※)のような民間軍事会社(PMC)の存在なしに米国のプレゼンスはありえないと言われるイラク。そのイラクから米軍(戦闘要員)を撤退させるということは、侵略と支配の外注化(『民営(私利私欲)化』)をますます進行させるさせることになり(“オバマのジレンマ”)、戦争の不可視化ががすすむというゆゆしき事態が懸念される。
 ※ブラックウォーター社()(
 《侵略と支配の民営(私利私欲)化》について考えてみたい。【この項つづく】

(練金術師)



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