音の世界

「ノリのいい音楽」をテーマに、CDやライブの感想を綴ります。

ぼくと1ルピーの神様

2009-06-16 16:39:04 | インド映画

先日観た「スラムドッグ$ミリオネア」の原作、”Q and A”。
原作がインドの作家と知って驚きレビューも高評価、
興味本位で読み始めたところ、時を忘れる面白さ。

・・いや~、これは極上のエンターテイメント!!

インド映画好きにはちょっと薄口かな、と思った
スラムドッグミリオネアだが、原作はマサラもマサラ、
ボリウッド映画を彷彿とさせる刺激に満ちている。

作者自身が相当の映画好きらしく、エピソードには
アクションや純愛、華々しい社交界や名女優の悲劇、
典型的なインド映画をパロった劇中劇も盛りこまれ、
まるで長尺のボリウッド映画を観るような楽しさだ。

個々の内容は同映画よりもっとシビアで重たいが、
切り替えが早くスピーディーな文体が視覚を喚起し
ページをめくる手がとまらない。意表をつくドンデン返しや
ちょっと突き放した感じのお笑い要素も十分。

原作をそのまま3時間半くらいのボリウッド映画で
撮ったらどんな風になるだろう?ここで歌と踊りだな、
と想像できるくらい、映像的な作品である。
いささかトゥーマッチな展開もいかにもインドっぽい。

”スラムドッグ~”で一番のお気に入りだった
タージ・マハールの情景は、さらに哀しくも美しく、
主人公の恋愛と絡めてロマンチックに描かれている。
このシーンもぜひ映像で再現して欲しいものだ。

日本語も相当こなれているが、ヒンディー語かな?
と思ったら、どうやら原著は英語らしい。
いずれにせよ、読みやすい和訳にも感心した。

一人の孤児と友人が18歳までに出会う苦難の数々は、
インド社会の厳しい現実をつきつけているように思う。
しかし素晴らしいのは、彼らが持ち前の機転で常に学び
真摯に働き、自らの運命を切り開いてゆくところだろう。

著者の本職はインドの外交官だという。
(今夏から大阪に赴任するそうだ!)
視野の広さがこのような快作を生んだのだろうか。

お金はとても大事、愛も大事、運も大事、
でも運をつかむ実力はとっても大事だ、と
明快なメッセージを送ってくれる力強い作品。

”スラムドッグ~”を観るとひと粒で2度美味しく、
さらにボリウッド好きには2倍オススメの傑作です!

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