九転十起とは、明治を代表する女性実業家、「一代の女傑」と称えられた
広岡浅子(ひろおか あさこ)の座右の銘だ
この秋からスタートしたNHK朝の連続小説のヒロインだ
さて、戦前、我が国には、三井・三菱・住友・安田などの財閥があった
なかでも、三井、三菱、住友に関しては「三大財閥」と呼ばれていた
しかし、戦後、連合国の指令により財閥はすべて解体させられてしまう
時代は江戸まで遡る。三井高利(たかとし)は、江戸時代の商人である
通称は八郎兵衛。三井家(のちの三井財閥)の基礎を築き、三井中興の祖といわれる
1673年、江戸本町一丁目に呉服店を開業し、屋号は越後屋、のちに「三越」となる
高利の死後、その莫大な遺産は嫡男高平以下、子供たちが共有して三井家を盛りたてる
これがいわゆる「三井十一家」である
男系の子をもととする6家、女系をもととする5家
九男高春は、その男系の6家のなかのひとつ「小石川家」の初代当主となる
1849年10月、浅子は、小石川三井家六代当主・三井高益の四女として京都に生まれる
その当時、関西(大阪)には、江戸時代を代表する2つの豪商(両替商)が存在した
ひとつは後の鴻池財閥を形成する鴻池家
そして、もうひとつが加島屋(かじまや)である
浅子17歳、第8代加島屋久右衛門正饒(まさあつ)の次男・広岡信五郎に嫁ぐ
いま風にいえば典型的なセレブ婚というやつだ
嫁いでわかったことは、主人は手代(番頭)に任せて業務には一切関与しないということ
こうした商家の風習に疑問と限界を感じ、簿記や算術など、独学を始める
そして、浅子若干20歳にして明治維新の動乱を迎える
家運の傾いた加島屋を救うために実業界に身を投じ加島屋の立て直しに奔走する
そんなか、炭鉱事業に参画し、筑豊の潤野炭鉱を買収、その開発に着手することなる
その際、単身炭鉱に乗り込み、護身用のピストルを懐に坑夫らと寝起きを共にしたという
こうした男勝りの武勇伝から“女傑”と呼ばれるようになったんだろう
1888年(明治21年)、加島銀行を設立、1902年(明治35年)には大同生命の創業参画、
こうした浅子の努力が実り、加島屋は近代的な金融企業として大きく成長を遂げる
また、幼い頃に学問を禁じられた体験を持つ浅子は、女子高等教育機関設立に向け奮闘する
金銭の寄付のみならず、政財界の有力者に協力を呼びかけるなど、強力な援助者になる
さらに、広岡家はもとより、実家の三井家一門にも働きかけ、三井家から目白台の土地を
寄付させ、1901年(明治34年)には、日本女子大学校(現・ 日本女子大学)設立に導く
日本女子大学設立後も浅子の女子教育に対する情熱は衰えることはなかった
1914年(大正3年)から死の前年(1918年)までの毎夏、避暑地として別荘を建設した
御殿場・二の岡で若い女性を集めた合宿勉強会を主宰する
その参加者には若き日の村岡花子らがおり、浅子の影響を強く受けたという
浅子のペンネーム、七転び八起きを超える「九転十起」
女性が表舞台にでることなど極めて稀な時代に、浅子自身の「何事も遣り遂げる」という
強い信念がこれには込められている
前回の「まれ」とは異なり、実名こそ変えているがドラマはフィクション!
時代背景も人気が高い幕末から明治ということもあり、かなりの高視聴率になるだろう
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