ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

木山裕策・『 h o m e 』を知る

2024-03-02 10:56:56 | 思い
 先月、
第36回全国公立小学校児童文化研究会研究大会
第58回東京都小学校児童文化研究会研究大会
が、練馬区立関町北小学校で行われた。

 私は、この研究会の顧問をしている。
東京を離れてからも、
年1度の大会だけは欠かさず、出席をしてきた。
 今回も4泊5日の予定で東京へ行った。

 ここ数回、家内と一緒の上京時には、
2人の息子と一緒に食事会をしている。
 今回も、研究大会の前日に新宿で待ち合わせた。

 「なぜ『土佐料理』なの?」。
そんな想いで席に着くと、
「就活で内定をもらった時、
会社の人と初めて食事をした店がここ」
と二男は言う。

 次々とコース料理が運ばれ、珍しい郷土料理に、
話題はどれもこれも中途半端のままになった。
 それにしても、本場の「鰹のたたき」の美味しさは、
今も覚えている。

 食事の後は、カラオケに行くことになった。
酒の飲めない3人を相手に、
私だけが、角ハイボールを飲みながら、
順番にマイクを握った。

 私の定番は、最初にハウンドドッグの『フォルテシモ』。
2巡目は陽水の『東へ西へ』。
 ここ20年くらい、選曲のパターンは誰とでもどこでも変わらない。

 二男が、2巡目に選んだ曲は、
聞き慣れない歌だった。
 前奏と一緒に、『home』と曲名が画面に出た。
しっかりとした音程で、彼は歌い始めた。

 その歌詞がこうだ。
全てを記す。

 晴れ渡る公園で不意に僕の手を握り返した
 その小さな手で僕の身の丈を一瞬で包んでしまう
 君がくれた溢れるほどの幸せと真っ直ぐな愛を
 与えられるこの時間の中でどれだけ返せるだろう
 帰ろうか もう帰ろうよ茜色に染まる道を
 手を繋いで帰ろうか世界に1つだけmy sweet home

 変わっていく君のスピードに近頃は驚かされるよ
 嬉しくもあり何故か寂しくも ゆっくり歩いていこう
 あどけない君の笑顔も何か企んでる仕草も
 そう全部が宝物だよ世界に1つだけmy sweet home
 不思議な事に君を愛しく思えば思うほど
 パパのパパやパパのママに本当に有り難うって言いたくなるんだ

 帰ろうか もう帰ろうよ茜色に染まる道を
 手を繋いで帰ろうか世界に1つだけmy sweet home
 何時も何時の日もありがとう


 てらいのない真っすくな言葉を綴った歌詞が、
やや肌に合わない気がした。
 しかし、二男の歌声とともに、
この歌の幸福感に引き込まれてしまった。

 「いい歌だねえ!」
マイクを置く二男に、拍手と一緒に言った。
 「今のボクにとって、子育ての応援歌なんだ。
励まされているよ。いい歌でしょ!」
 小3の孫と二男の後ろ姿が、目に浮かびホッコリとした。

 翌日の午後、研究大会の関町北小学校へ行った。
1年ぶりの授業は、どの学級も笑顔と活気に溢れ、
期待通りだった。
 私たちの研究が、まだまだ子ども達に求められていると思えた。

 最後は、研究全体会での記念講演だった。
15年前、会長をしていた私は、
この場で、落語家柳家花緑と対談をした。

 当時は今と違って、
500人の先生方で体育館がいっぱいになった。
 心臓が口から飛び出しそうな緊張の中で、
花緑師匠と話芸や話術、子どもへの話し方などをテーマに、
壇上で語り合った。
 
 そんなことを思い出しながら、来賓席に着いた。  
講師は、歌手・木山裕策さんと聞いていた。

 彼は、登壇すると、
「今日の演題、『自分らしく生きていいんだよ。 
がんになって見つけた夢』について、歌を交えながらお話しします」
と、切り出した。

 そして、ストリートライブのような自前のカラオケで、
第1曲目に『翼をください』を歌った。
 透きとおった綺麗な歌声だった。
約70人の参加者は、最初でもう魅了された。

 その後、歌を途中で挟みながら、
甲状腺ガンの発症と手術、
闘病の日々を通して歌手を目指した心境を、
丁寧に語った。

 澄んだ声と穏やかな歌唱も話し方も、
彼の人柄そのもののように思えた。
 引き込まれるように、お話を聞いた。

 講演の中盤、彼はプロ歌手になった契機と曲を紹介した。
その話題の途中、たびたび曲の題名を「ホーム」と言った。
 でも、昨日の二男とは繋がらなかった。

 ところが、前奏と一緒に、あの『home』を思い出した。
『home』と木山裕策さんが繋がったのだ。
 まさか、本物の生歌をここで・・・。
思いもしない偶然に驚いた。

 講演後、顧問の特権とばかり、
木山さんの控室になっていた校長室を訪ねた。
 そして、私の失礼を恥ながら、
昨夜のカラオケの経緯を話した。
 特に、「ボクにとって、子育ての応援歌」
と言う二男の言葉をそのまま伝えた。
   
 思っていた通りの方だった。
「嬉しいです。うれしいです!」
 何度もくり返し、一緒に記念写真に収まってくれた。
別れ際、丁寧に頭をさげながら、
「息子さんに、ありがとうございますとお伝えください」
と、まで・・・・。

 忘れられない歌が、また1つ加わった。


 

    お気に入りの散歩道3 なごり雪

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