ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

D I A R Y 5月

2024-06-01 16:56:08 | 北の湘南・伊達
  5月 某日 ①
 庭のシンボルツリー・ジューンベリーが、
満開になったのは、連休の最中だった。
 1週間も経たない内に、
愛車の屋根やフロントガラスに白い花びらが降った。
 その後は、柔らかな新緑で枝先まで被われている。

 ご近所の庭には、赤いシャクナゲが咲き、
色とりどりの芝桜が日差しを受けて鮮やか。
 今年も、つい散歩の足が止まってしまった。

 中旬になると、自宅横の『嘉右衛門坂通り』は、
真っ白なツツジが沿道に連なる。
 目を奪われないように気をつけながら、
毎年ハンドルを握る。

 それも、薄茶に変色し、
今は、その道の街路樹に寄り添うように、
6月のルピナスやアヤメの蕾が膨らみ、
開花の時を迎えている。

 こうして、時を止めず季節は確実に移り行く。
「バラも間もなく香るだろう」
 そう想うだけで、また気持ちが弾む。
 
 だが、先週、歴史の杜公園の野草園に、
「恋の花」と歌われた黒百合が、咲き乱れていた。
 一気に咲いた黒色の花に、癒やされるどころか、
不気味さを感じたのは,私だけだろうか。
 どうしても、この花は馴染めない。

 
 5月 某日 ②
 昨年11月下旬に、大きな手術をした姉が、
連休前に一事帰宅した。
 そして先日、再び横浜の娘の所へと戻っていった。

 しばらく術後の経過を見てから、
もう1度手術が必要かどうかを判断するのだとか・・。
 80歳を過ぎた高齢者であるが、
まだまだ長生きしたいとチャレンジしたこと。
 無事、健康を取り戻すよう、願うばかりである。

 さて、再度新千歳空港まで送る道々、
姉と交わした会話が心に残った。

 半年間、横浜暮らしを体験し、その感想を姉は口にした。
「年寄りにとっては、田舎暮らしより、
都会暮らしのほうがいいと、私は思ったわ」。
 「へえぇ! 意外だなあ。
どうして、そう思ったの?」

 「だって、こっちにいたら、
月に1回の病院通いだって、
バスの本数が少ないから、1日がかりでしょう。
 何か欲しい物があって、買い物をと思っても、
店は少ないし遠いしで、なかなか手に入らないでしょう。
 だから、できないことが多いよね。
本当に、不便! こっちは!
 でも、都会はサッと出かけられて、
簡単に病院へも買い物にも行ける。
 便利で快適だとつくづく思ったの」

 姉は明るく、一気に言い切った。
確かに、利便性で言うと姉の主張通りである。
 異論はない。
だが、私は言った。

 「それは、ある程度財源が
豊かな人だから言えることじゃないか。
 年金だけで暮らす人にとっては、
都会暮らしは辛いもののようだよ」。

 姉は、無言だった。
私は続けた。 
 「退職した映画好きの先生の話だけど、
なかなか映画も見れなくなったって・・・。
 だって、確かに映画館はシニア料金だけど、
駅まで車で行っても駐車料金は取られワ。
 都心まで往復すると電車賃も安くないワ。
それに昼食まで考えたら、大変な出費になるって」。

 「確かに、そうかも・・。
でもね、運転のできない私は、
ここに居たら、目の前のコンビニだけの生活よ。
 車があって、運転してどこにでも行ける人は、
まだ違うのかも・・。
 ここでは何もできないわよ」
姉の想いは確かに否定できない。
 
 今、私は多少不便さを感じながらも、
車がある。
 運転ができる。
都会暮らしよりずっといいと思っているが・・・。
 さて、これから先の正解は、
・・・・分からない。

  5月 某日 ③
 昨年度、自治会長を受けると同時に、
某協議会の副会長になった。
 今年度は、その協議会の役員改選期であった。  

 どこの組織も同じで役員の引き受け手がいない。
会長が私を訪ねてきた。
 「会長をやってほしい」と言う。

 お断りするには、
「引き続き副会長ならできます」
と、言うしかなかった。

 そして、今後も同じ会長、副会長、事務局長の体制となった。
そこで、今年度初の三役会議を行った。

 検討事項が終った後、
多少時間があったので、初めて3人で雑談になった。

 まず会長の年齢を聞いて驚いた。
彼は今年89歳になると言う。
 自治会長は15年も務めているとか・・。

 続いて、事務局長のNさんにもビックリ。
私とさほど変わらない年齢だが、
会長と同じ自治会で、
これまた15年も総務として会長を支えていると言う。

 「誰も引き受け手がなく、
気がつくとこんなにも長くなってしまったよ」
 2人は口を揃えてそう言う。

 そして、
「私もNさんも、病気もちだけども、
頼られているうちはと思ってね」と。

 私は、わずか自治会長2年目のひよっこだと思った。
2人の前で、「大変な役を受けてしまって・・」などと、
軽々しく言えない。
 それよりも、 1つとしてぼやくことなく、
淡々と今を語る2人。
 見習いたいと思った。
 

  

 庭の『ブルースター』 ~例年に増して華やか 

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