ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

新 米 会 長 あれこれ

2023-12-09 10:22:20 | 思い
 ▼ 4月の総会で選任されてから、8ヶ月が過ぎた。
当地に居を構えて、11年だが、
まだまだ地域の事情を熟知していない。
 当然、顔なじみも少ない。
だから、私なりに特別の覚悟をもって、
自治会長の責務を受けた。

 1ヶ月程前になるだろうか。
花壇じまいの作業をしていた時に、
見かけない老夫婦が、通りがかった。

 誰にでも挨拶を欠かさないように、
心がけている。
 一瞬、作業の手を止めて、
2人に声をかけた。
 「こんにちは!」
すると、私を見たご主人が、
「会長さんのお宅は、こちらでしたか」と言う。

 すぐ、不思議そうに奥さんが「会長さんって?」とご主人に訊いた。
「ほら、自治会の会長!」
 「そうですか。自治会の」
奥さんは、丁寧に私に頭をさげた。

 私も頭をさげながら
「お出かけですか。お気を付けて」と返した。
 
 ご主人は、どこで私を知ったのだろう。
自治会のイベントか、会議か・・・。
 人前で会長として挨拶に立つ機会がある。
次第に、私を知る人が増えているのだろう。
 私は、それに追いついていない。

 私が知らなくても、
地域には私を知る人が増えている。
 これは「大変なこと!」。
少々重たい気持ちになった。

 ▼ 朝刊を開くと、真っ先に見るのは、
『お悔やみ』欄である。
 地域に住んでいる家庭にご不幸がなかったかが、
毎日気になる。

 一昔前までは、自治会が葬儀を取り仕切った。
多くの場合、葬儀委員長は自治会長が務めた。
 しかし、最近はほとんど葬儀場が全てを仕切る。 

 だから、自治会がやることは、
近隣の住民に訃報(お知らせ)を届け、
葬儀情報を知らせることと、
役員が自治会規定にある香典を持って、
お通夜などに参列することだけになった。

 どこの家族も自治会への連絡まで気がまわらない。
ご不幸を知るのは、もっぱら『お悔やみ』欄になった。

 先日、私が担当するブロックでご主人が亡くなった。
それも朝刊で知った。

 朝食を済ませ、8時を待って急ぎご自宅を訪問した。
近隣へお知らせを届けることの確認のためだ。
 ご主人も奥さんも、何度か言葉を交わしたことがあった。
インターホンを押すと、若い女性の声が出た。

 自治会の会長であることを伝えた。
しばらくして、年老いた奥さんが玄関を開けた。
 憔悴した表情だった。
型どおりのお悔やみを述べた。
 
 勧められるまま、
お線香をあげさせてもらった。
 奥さんと札幌で暮らす娘さんが、
闘病の日々を話された。

 「きっとまた元気になると信じてたんです」
と言う。
 少しでも気が休まるのならと、
出されたお茶を飲み、聞き役を努めた。

 そして、夕方は自治会を代表してお通夜へ出席した。
最後に、故人を偲ぶ沢山の写真が映し出され、
生前の足跡がアナウンスされた。

 その一節にこみ上げるものがあった。 
「故人は、奥様についてこんな言葉を残しました。
君のような心のきれいな人と一緒でよかった」。
 享年88歳、大柄な方だった。
素敵な生涯を直感した。
 心からご冥福を祈ることができた。

 この8ヶ月、何人かの葬儀があった。
その度に、故人の貴重な歩みに触れた。
 悲しさとともにいつも私の心に残るものがある。
 
 ▼ ゴミの集積所を北海道ではゴミステーションと言う。
当地では、その場所の確保とダストBOXの管理は、
自治会が行うことになっている。
 ダストBOXは、市から多少の補助金はあるものの、
自治会費で購入する。
 金属製や木製がある。
どれも決して安くはない。

 だから、利用者は自治会加入世帯だけかと言えば、
通りすがりの人でも誰でも関係なく、
そのBOXへゴミ袋を入れていく。
 釈然としない気持ちになるのは当然だ。
しかし、打開策がないままの現状である。

 もう1つの課題は、ゴミステーションの場所である。
私が居る分譲宅地は、
販売時に市がゴミステーションとして土地を取得し、市有地にした。
 そこを利用している。

 しかし、それ以前の宅地では、
市がそのような土地の取得をしなかった。
 仕方なく、目的の違う市有地や広い歩道の一角、
空地のままの私有地をゴミステーションにしている。

 さて、伊達市でも人口減少は進んでいる。
だが、私の居住地域は今も新築工事がしばしばある。

 ある日、自治会役員さんから電話があった。
「ゴミステーションのことで、
直接会長と話がしたいと言う方がいるんですが・・」 
 会長を指名してのことは珍しい。
何か深い事情でもあるのではと、話を聞くことにした。

 その方はいずれ2世帯住宅にでもと、
隣の宅地も所有していた。
 しかし、それを手放すことにした。
利便性もあり、買い手が決まった。
 
 角地だったので、歩道が広くなっている所があった。
居を構えた時からずっとゴミステーションになっていた。
 長年にわたりご近所さんが利用していた。

 ところが、購入した方の新居に、
ゴミステーションが隣接することになる。
 ご近所さんに不便をおかけするが、
どこかにゴミステーションを移動してほしいというのだ。
  
 その方は、ゴミステーションがそこにあり、
便利なことを、一番よく理解していた。
 移動する先が近くには見あたらないことも、
分かっていた。

 だからこそ、本当に困り抜いた。
これは会長へ直接訴えなければと考えたようだ。

 ご近所さんの理解や移動先の調整など、
担当の役員さんが中心になり、
長い月日をかけた取り組みになった。
 私も市役所へ足を運び、相談した。

 今までよりも不便になり、十分とは言えない。
不満も残ったが、致し方ない。
 ゴミステーションを別の場所へと移した。

 ダストBOXがなくなったその宅地では
新築工事が始まっている。

 はたして、会長として期待通りのことができたか。
不安だけが残っている。




     羊蹄山 真っ白!

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