湖畔に浮かぶ、朝の老い
水面は凍って
また靄は立ち
白い木々、吐息の群に
一羽の鳥が
そよと去る
太陽は隠れ
時に、忘れた頃、姿を現す
湖の上辺だけに
一面、雲を映す
氷細工の上だけに
いつ、水紋は動き出したのか
誰も知らない
1つの輪の中に
劫臈を経た
1つの高話があることを
幾重にも
消えて
幾重にも
追いかけて
また、消えて
名も知らぬ草が
閉じ込められている
茶と緑を交えた色をもって
今にも壊れそうな氷の中に
水泡と共に
横たわって
指を伸ばし
触れようとしても
それはもういない
儚く凍えた水面には
爪の先が
殊更、無下に痛い
大きな水泡が
鳥の名残を教えると
隣の小さな水泡が
長い長い
茶緑の草に眠った
水面は凍って
また靄は立ち
白い木々、吐息の群に
一羽の鳥が
そよと去る
太陽は隠れ
時に、忘れた頃、姿を現す
湖の上辺だけに
一面、雲を映す
氷細工の上だけに
いつ、水紋は動き出したのか
誰も知らない
1つの輪の中に
劫臈を経た
1つの高話があることを
幾重にも
消えて
幾重にも
追いかけて
また、消えて
名も知らぬ草が
閉じ込められている
茶と緑を交えた色をもって
今にも壊れそうな氷の中に
水泡と共に
横たわって
指を伸ばし
触れようとしても
それはもういない
儚く凍えた水面には
爪の先が
殊更、無下に痛い
大きな水泡が
鳥の名残を教えると
隣の小さな水泡が
長い長い
茶緑の草に眠った
嬰ハ短調は、穏やかで平和な前後の曲とは全く趣が違う音楽ですよね。
冒頭からすでに落ち着きを失った心がざわめき、声にならない苦痛の叫びを吐露していく。それはとても胸が掻きむしられる、幾重にも押し寄せる不安。
私のイメージは、色や空気を断片的に感覚でとらえられるのであって、ショパン三世さんの様に豊かな言霊は宿らない。
それなのに、この詩を読むと音と情景が鮮やかな色として瞼に浮かび、誰かの悲しみと苦しみが聴こえてくるのです。まるで湿った枯葉を踏みしめ、木々がざわめく暗い森の中を彷徨っているように…
なんだかこの真夜中に、泣きたい気分になってしまいました。
この描写だけでも充分に、ミイさんの感受性が伝わってきますよ☆
このカテゴリを設けてからというもの、どの曲から手を付けていこうか、そして、果たしてどうやって記述していこうかと逡巡していました。ちひろの絵に対して言葉を添えるのと同様に、ショパン作品に対してもそれは無粋かもしれないなどと思ってみたり、または文章を読むのに合わせて実際の曲が背景に流れたらもっと雰囲気が出て良いのではないかと思案してみたり…。
結局1回目の掲載はこうした形になりましたが、この先、少し様相が変わっていくかもしれません。ショパンの作品全てに及ぶ事ができるかどうか、僕自身楽しみです。
また、浮かんでくる言葉はその折々によるものなので、時間を経てみれば違ったイメージで各作品を捉える事もできるかもしれません。
ちなみに本文中にある【高話】とは、他人の話の尊敬語を意味します。
自作を説明するのはあまり好まないので滅多にそうしないようにしていますが、水紋の輪の中にある高話、それが如何なるものかという事を感じ取ってもらえたら作者としては1つの幸いなので、敢えて言及させて頂きました。