--誰が残したの
ベンチの上の 古い時計
--どんな音?
針はどこを指していて?
--北よ
煙が筋引くように、動いてるみたい
袴の裾を擦るように、鳴っている
--ねぇ、あなた
それは ふゆがしらが降りてきたのよ
--見て
わたしたちの子らが
小さな体操選手よろしく
枯れきった葉は
挙(こぞ)って側転しながら
ベビーカーの後を付いていき
笑う赤子の 顔真似ころころ
水溜りの様な輪をなして
いずくへ去った友たちの 声真似スサスサ
その子がくしゃみして
ふくらみあんよが持ち上がれば
毛布はめくれて風になり
腹の記憶 水溜りに似た靴底が見え
小さき車を押す母の手は
白き手袋に包まれる無言の御礼に
傍ら立つ我が子の肩へ時に乗り
姉はその無言の御礼に
小さき妹へ
両の手から掬ったばかりの
雄弁な枯れ葉を高く零し
凋落しても匂い立つ
敷衍(ふえん)の掛け毛布になるのだと
微笑する
--あぁ
あの子はきっと 幸せになる
--そうね
きっとあの子も 幸せになる
--微睡(まどろ)みはいつも ここにあり
--夏への重たげ ふゆがしら
ベンチの上の 古い時計
--どんな音?
針はどこを指していて?
--北よ
煙が筋引くように、動いてるみたい
袴の裾を擦るように、鳴っている
--ねぇ、あなた
それは ふゆがしらが降りてきたのよ
--見て
わたしたちの子らが
小さな体操選手よろしく
枯れきった葉は
挙(こぞ)って側転しながら
ベビーカーの後を付いていき
笑う赤子の 顔真似ころころ
水溜りの様な輪をなして
いずくへ去った友たちの 声真似スサスサ
その子がくしゃみして
ふくらみあんよが持ち上がれば
毛布はめくれて風になり
腹の記憶 水溜りに似た靴底が見え
小さき車を押す母の手は
白き手袋に包まれる無言の御礼に
傍ら立つ我が子の肩へ時に乗り
姉はその無言の御礼に
小さき妹へ
両の手から掬ったばかりの
雄弁な枯れ葉を高く零し
凋落しても匂い立つ
敷衍(ふえん)の掛け毛布になるのだと
微笑する
--あぁ
あの子はきっと 幸せになる
--そうね
きっとあの子も 幸せになる
--微睡(まどろ)みはいつも ここにあり
--夏への重たげ ふゆがしら
子は国の宝ですね~。
かつてこれほど子を愛した国も珍しいとのことです。
日本人は温厚が一番。
【夂(ふゆがしら)】というのは漢字の部首の事で、【冬】の上部と【夏】の下部がそれです。それを知ってからというもの、何かの形でこの部首を活かした文章を書きたいと思っていました。
冬を感じて夏を知り、またその逆もありで、1人でもその様に感じて下さる方がいて幸いです。
初めて知りました。
ショパンⅢ世さんのブログは勉強になるわ~。
散文として載せているものの多くはイメージばかりが先行してしまって、それを上手く文章で表現し切れていないといつも痛感しています。読んで下さる方にとっては意味不明かも知れませんね…。