銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

プレリュード 嬰ハ短調 作品45

2006年08月28日 02時11分11秒 | ショパン作品からのイメージ素描
湖畔に浮かぶ、朝の老い

水面は凍って

また靄は立ち

白い木々、吐息の群に

一羽の鳥が

そよと去る



太陽は隠れ

時に、忘れた頃、姿を現す

湖の上辺だけに

一面、雲を映す

氷細工の上だけに



いつ、水紋は動き出したのか

誰も知らない

1つの輪の中に

劫臈を経た

1つの高話があることを

幾重にも

消えて

幾重にも

追いかけて

また、消えて



名も知らぬ草が

閉じ込められている

茶と緑を交えた色をもって

今にも壊れそうな氷の中に

水泡と共に

横たわって



指を伸ばし

触れようとしても

それはもういない

儚く凍えた水面には

爪の先が

殊更、無下に痛い



大きな水泡が

鳥の名残を教えると

隣の小さな水泡が

長い長い

茶緑の草に眠った