武の道へのこころざし

大道塾の横須賀・湘南支部の責任者が、日々の活動に関する出来事や想いを綴っていきます。

学びの心得 その5

2021年10月19日 | 武道の心
「学びの心得」の続編です。

このコーナーは、大道塾の横須賀湘南支部で学ぶ方、もしくは学んでみたいと考えている方への、指導者からのご案内になります。


次の学びの心得は、大道塾に入門し、これから稽古を始めるという方に向けたご案内になります。


早速、次の心得です。


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<大道塾 横須賀/湘南支部 学びの心得 その5>

■ まず最初は、目をつむって稽古に取り組むべし

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「目をつむる」というのは、実際に「目を閉じる」というわけではありません。

稽古の場で自分が初めて体験する感覚や考え方、様々な身体動作に対する違和感に、いろいろと自分で解釈して考え込まずに、まずは目をつむって、稽古に集中して取り組んでみることが大切だということです。


新しいことを始める時は、自分の心にいろいろな感情がこみあげてくるもので、稽古の中では日常とは大きく異なる感覚が全身を包み込んできます。


最初の稽古の時から素直に、「楽しい」と感じられる方であれば問題はありませんが、多くの人生経験を積んだ方ほど、また日々色々なことを考えて自分の意見をしっかりと持っている方ほど、自分が体験をしたことのない新しい感覚や、自分が理解と異なる解釈には大きな違和感を感じることになります。

思ったよりも体が動かなかったり、体が痛かったり、スピードや柔軟性の不足を嘆く場合もあれば、自分にとって動かしやすい体の使い方とは大きく異なる身体動作を求められた場合、また稽古の後には節々が痛くなったりと、自身の体や心に、日常とは異なる大きな違和感が沸き起こるはずです。

まずはそうした、自分の心や体が感じる不協和音に目をつぶって、「懸命に」そして「素直な気持ちで」稽古に取り組んでみることです。


目安としては、まずは30回くらいの稽古回数が最初の目途になります。


出来れば可能な限り、短期間に集中して体験してみることが大切かと思います。


極端な例でいえば、数か月から半年ほどの間に30回の稽古に参加する方と、数年をかけてこの回数の稽古をこなされる方とでは、身につく感覚がとても大きく異なります。

1回の稽古で、心身に感じる新しい体験が鮮明なうちに、次の稽古を経験し、それを積み重ねていくことが大切です。


また、大道塾の横須賀/湘南支部では、日々の稽古の内容が大きく異なるので、少なくともこのくらいの期間を経験してみなければ、稽古体系の全体像が全く見えてきません。


例えば、ある見学者が我が支部内の同じ道場の稽古を何度が見学されたとしても、まったく異なる団体の道場に来られたように感じるかもしれません。

30回ほどの稽古で何かが身につくというものではありませんが、このくらいの回数をこなせれば、ある程度はその日の稽古で行うべきことが見えてくると思いますので、今後の自分の稽古に参加する際の心構えができてきます。


そうなれば、

・ 稽古前のウォーミングアップの時間にはどう過ごすべきか、
・ その日の技術練習に取り組むには、どのあたりに気を付ければよいか、
・ 自由度のある稽古メニューの時には何をすべきか、

また、

・ 稽古後には何をしようか、
・ 何がしたいのか、
・ 何をすべきなのか、

という自分の課題や目標、そして自分がやりたいことがある程度見えてくると思います。

そうすると、稽古場所での自分の居場所ができてきます。

これは具体的な場所という意味ではなく、心の置き所としての居場所という意味です。

この心の居場所が見つけられれば、あとは稽古を積み上げつつ、稽古生同士の交流を少しずつでも増やしていければ、楽しい稽古環境が出来上がってくるものです。



さて、初級者向けの「学びの心得」はここまでで終了です。

この後は、30回以上の稽古をこなした方向けの「学びの心得」を掲載していきます。


今回の学びの心得の実践は、子供よりも大人のほうが難しく、普段から物事をよく考え、自分の意見をしっかりと持っている方ほど、難しいということがあります。


最初に申し上げていた、

「自分の心に感じる不協和音にしばらく目をつむる」

ということは、人によってはとても難しいことかもしれませんが、人がより良く生きていくうえでも、とても大切なことだと私は考えています。


健康寿命が長く、高齢になっても心穏やかに過ごせている人は、人からの誹謗中傷や、人生で起こる様々な問題など、自分にとって嫌な雑音と感じる事柄には目をつむって受け流す力があるのではないか・・・

と私は感じています。


世の中の雑音に紛らわされず、自分の道を求めて、一歩ずつ着実に歩んでゆきたいものです。




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