武の道へのこころざし

大道塾の横須賀・湘南支部の責任者が、日々の活動に関する出来事や想いを綴っていきます。

日々の稽古の中での行き詰まりを感じている方へ

2023年12月09日 | 武道の心

審査を受験したかったものの、受験ができなかった、

受験してもあまりうまくいかなかった、

試合で思うような試合運びができなかったり、成績を残せなかった、

日々の稽古で伸び悩み、行き詰まりを感じている、

気持があまり乗らなくなって、稽古へ向かう足が遠のいている、

また、怪我など、何からの事情でしばらくの期間お休みをして、稽古復帰のタイミングを見計らっている方々



などなど、



稽古の継続には何かと悩みがつきものであり、何事も学びの継続というものは、とても難しいところがあります。

色々と細かいことを言っても話がややこしくなりますので、一つだけ伝えたい大切なことは、道場という場所、そして日々の稽古は、「自分を磨く場所」であり、「自分を成長させる為のもの」であるということです。


決して今の自分の能力や実力に悲観したり、体力不足を嘆いたり、今の年齢などを問題にして、

「あと十年若ければ・・・」

「あと十年早く稽古を始めていれば・・・」

「身長がもう少し高ければ」

「若い頃にこんな武道(スポーツや格闘技を含む)を学んでいれば、」

などと、過去を悔やんでも、何も始まりません。



道場は、自分を成長させてくれるための場ではありますが、

考え方としては、「そういう場がある」、というよりも、「そういう場にする」という本人の意思、自身の思いが必要だということ。

無理な行いは、自分自身の頑張る気持ちを止めてしまう恐れがあります。

無理をして試合に挑戦することや、審査会に臨む事。

また、無理をした激しい組手や過度な稽古量をこなすこと等。


十分な稽古量と実力を兼ね備え、自身の気持が充実してきたときにこそ、挑戦をするべきであり、失敗をしたと感じる人のほとんどが、私の目で見て、稽古の量が足りていません。



そして、その道場という場は、人と比較する場ではなく、

また、上手くいかないことを悲観する場ではなく、

そして、ただただやみくもに、大会での成績や級段位を追い求める場ではないということ。


自分が努力をしているだけではなく、周りの人も努力しているものであり、人と比較しても、自分が伸びているかどうかは正確には判断できません。

上手くいかないことがあっても、ではどうやって上手く動けるようになるか、技が身につくのか、ということを考えて、稽古の中での稽古に唯々、集中すること。


為すべき目的や目標があり、そのための稽古をする場があり、それを身に着けるための手順やノウハウがきちんと提示されて、自分のペースで学ぶための時間があれば、それは、そのこと自体がとても素晴らしいことであると思います。


大会の成績や帯の昇級は、あくまでも後付けで、ほおっておいても付いてくるものです。

その成績や帯の色を、自分の実力以上に、「より早く!」 と追い求めても、それは、自分を追い詰めるもので、道場という場を自分を伸びる場にしている行いとは対極をなすもので、道場という場を自らが、自分の限界を感じさせる、自分の人生に対してマイナスの場にしているに等しい行いになります。



実力の向上には、指導者も需要な要素です。

稽古生が適切に学んでいくためには、その道場という場の指導者自身が、必死にそして懸命に稽古を長く続けていく中で、しっかりとした技術を身に着け、相手に教えるためのノウハウを、ある程度は身に着けておく必要があります。

そして指導者自身がその技術を実際に見せ、学びの手順を示し、それを学んだ稽古生たちが、その技術を少しずつ実践できるようになっていれば、その説得力は確かなものになります。


また稽古生には、年齢や経験年数や個人差に応じて、それぞれのレベルがあるはずであり、色々な技量の稽古生が一緒に稽古を続けられている環境があるとすれば、それは稽古生の方々に、安心感を与える場になるはずです。

無理をさせすぎず、自分のペースで学べる環境作りが、指導者にとっての大きな役割になります。


一見難しく見えそうな技や身体動作でも、一流選手が行っている動きの一つ一つを分解し、手順通りに学んでいけば、実践で上手く使えるかどうかはレベルによりますが、ある程度の動きは、大抵は身に着けられるようになるものです。

いわゆる一流選手には通用しなくとも、一般的な護身術としての意味合いで言えば、大道塾の持つかなり幅広い技を身に着けることができるはずです。



さて、道場という場所の大切さについて、あらためてお話します。

これはよく道場内でもお話をすることでもありますが、草野球やゴルフを日々楽しんでいる方々は、公園で素振りをしたり、何らかの待ち時間に投球動作をそれとなく行っても、それほど周りの迷惑にはならず、「あっ、この人はゴルフ(もしくは野球)をやるひとなんだ・・」と思われる程度で、あまり気にもされません。

しかし突きや蹴り、ましてや肘打ちや膝蹴り、首相撲の崩しの動作などを人前でやろうものなら、周りから特異な目で見られるのが落ちで、技を磨くための動作というものは、人前ではなかなか出来るものではありません。

例えば、広々とした駅構内で、電車待ちの時に傘をもってゴルフのパターの動作やボールを投げるような動作をしていても、また会社内での休憩時間や打ち合わせの合間の待ち時間などに、野球のバットをもって素振りをするような動作を世間話をしながら行ったとしても、それほど不思議ではありませんが、駅構内の柱に向かって肘打ちや膝蹴りなど、ましてや上段回し蹴りや後ろ蹴りなどの大きな動作をしようものなら、「ちょっと危ない人??」扱いされるのは間違いありません。。。

スポーツをするための町のトレーニングジム内などのストレッチエリアであっても、なかなかパンチを「シュッシュツ!」 と出したり、蹴り技を繰り出したりできるものでもありません。


そのように考えると、思う存分に、動作ができる「道場」という場の大切さがわかるというものです。

ここでは、大きな声(気合い)を出しても、鋭い技を繰り出しても、何歳になっても、必死な気持ちで稽古に打ち込んでも、白い目で見られるのではなく、良いことであるばかりか、周りから尊敬の念すら持たれる場所です。


いい年をしたおじさんが、必死な様子で動いているのを見て、冷やかされたり、”張り切って無理をするな” などとその頑張りを押しとどめたりされる場ではなく、周りが応援してくれて、その頑張りは周りの方々を心強くするばかりか、皆の励みになる大きな力になっていきます。



さて、稽古においては、

最低限の稽古量と、学ぶための正しい手順と、自分のペースを守るべし。

成長具合に関しては、周りの人と比較せず、今までの自分と比較すべし。

上手くいかなかったり、技が上達しないのは、そのほとんどが稽古量が足りないことに加え、そのやり方や、学ぶ手順が間違っているか、正しい形を意識できていないところが問題です。

また審査会や大会など、本番で上手くいかないことがあれば、自分自身の考え方に甘い部分がなかったかどうか、自己検証してみる必要があると思います。

指導者に言われるままに動いていたり、仲の良い人としかコミュニケーションが取れていなければ、積極性という部分で足りない部分があることを自覚しなければいけません。

道場には多くの仲間な在籍していますので、積極的に質問して一緒に稽古に取り組んでみましょう。



繰り返しますが、大会の成績や昇級昇段は、自然と後からついてくるものです。

自分から目先の成績を求めず、稽古量と実力に応じて後からしっかりと、自分のレベルに応じた成績や評価が、自然に付いてくるものと心得るべし。



道場では、

自分を磨くために稽古を続け、自分にとっての可能な限りの努力をするという意思を持つことであり、

周りの方々と自分を極端に比較せず、自分の足元を見て、自分の成長ペースを守っていくことが大切であり、

長く努力を続けることで自然とついてきたその成績や級段位をしっかりと持って、そのまま素直に受け入れる広くおおらかな心ことができれば、

勝敗に一喜一憂せず、

昇級昇段ペースに一喜一憂せず、

日々の稽古の良し悪しで一喜一憂することなく、常に落ち着いて、自分の足元を見つめることができ、

一歩ずつ歩みを進めることができる、確かな人物となり、心の練られた真の武道家になれるような気がしています。



稽古に来たときには、稽古を終えて帰る前に、

今一度、自分を見つめなおし、自分で自分の心を一旦静め、「よしっ!」と思えるような、「今日も稽古をしっかりし終えたぞ!」と実感できる心の確かな感覚を持って帰るべし。

その日の稽古を「いい稽古」として心に保ってその日の家路につくのか、それとも疲れや悲観的な気持ちを持って、家に帰るのかどうかは、一人一人の個人の心が決めること。

自分の心の持ち方次第で、その日の稽古が今後に生かせるかどうかが決まります。



落ち着いた静かな気持ちで、

ほんの少し心を奮い立たせて、

日々の稽古を頑張って行きましょう。


私は頑張る人を心から応援します。

道場に足を運び、努力を続ける逞しくしぶとい方は、我々の大切な仲間であり、そうして自分を奮い立たせて、しぶとく頑張る仲間が集まる道場こそが、真の価値のある、我々を高めてくれる大切な場になるというもの。



年内の稽古はあとわずかです。

年末の稽古納まで、

稽古生の皆さんの、日々の頑張りに期待しています。






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