物造庵 ものつくりあん ナラ(楢崎賢)

ものつくり人「ナラ(楢崎賢)」による
絵や作品の制作過程、自作詩の発表、その他徒然…

詩552「カメという自覚のないカメの甲羅の独白」

2010年04月29日 04時49分22秒 | 自作詩

流れる川を。
流れるままに。
まかせずもがき。
自分はカメだという。
自覚のないカメの。
僕は甲羅です。
流れに逆らい。
もがき泳ぎながら。
僕の中身は。
地上のコンクリート敷きを。
ギターのテンポで。
闊歩しているつもりです。
言いつけられたコピーを。
要領よくこなし。
友人と飲み歩き。
休日はコーヒーでブランチ。
決死の恋に浮かれ。
たまの映画に涙する。
宇宙に比べなんと小さき一瞬の人生!
などと知ったふうに嘆息し。
その一瞬を死ぬ気で生きてやる。
などと矛盾だらけの覚悟を決めている。
つもりで実際は。
川の中でひとかきもがいているのです。
見ていると可哀相になるほど滑稽ですが。
本人はいたって真剣なもので。
時々は羨ましくもなったりするのですが。
中身が死んで腐っても。
腐って消えてなくなっても。
残るであろう運命の。
外側の僕として。
やはり哀れ以外の何ものでもないのです。
妄想に生き。
妄想に生かされる僕の中身なのですが。
僕が僕であり。
僕が生きて考えていること自体。
妄想だという可能性もあるもので。
ひとのことはあまり高らかに言えなかったりもするのです。


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