NARAYA CAFE のできるまで

歴史あるリゾート、箱根宮ノ下駅前で、古い建物を利用したカフェ&ゲストハウスをオープンするため、改装にはげむ日々を綴る

大橋史明写真展 開催中です

2017-06-04 05:35:48 | 2017シーズン
6月になりました。

カフェのギャラリーでは鉄道写真家 大橋史明さんの個展が開催されています。
彼は現在、大学の写真学科に在学中で、就職活動真っ盛りの4年生です。

地元は関西なのですが、大学で東京に出てきてから、箱根登山鉄道を知るようになり、その魅力に取り憑かれてしまいました。
ちょくちょく登山電車の写真を撮りに来ていたのがきっかけで、NARAYAのギャラリーに個展をもちかけてくれて、昨年6月、第1回の個展「登山電車バンザイ」を開催しました。


「告白します。私は登山鉄道が大好きです!」

の序文からはじまる前回の個展では、これまで撮りためてきた四季それぞれの登山電車の写真を展示するとともに、ギャラリートークも何回か開催し、彼自身の言葉で登山電車の魅力を語ってくれました。

そのちょうど1年後、ふたたび紫陽花の綺麗な6月に、第2回の個展を開催してくれました。
今回は登山鉄道の周囲の人物にスポットを当て、人物と登山電車の写真をメインに展示しています。






なにげに僕も被写体にしてくれています。
この角度から撮ると、ちょうど電車が写るんですね。このカフェ。
そこまで狙ったわけではないんですが、、、、






1F-2Fの吹き抜け部分にも大判の作品を展示しています。





(設置風景)


そして、写真に写る車両は見事にどれも「旧型」です。

最近、最新型の車両「アレグラ号」が増強され3両編成で運行していて、鉄道ファンを集めていますが、彼は新型には見向きもしません。
とにかく戦前から製造されている、旧型の100系の写真ばかり撮っています。

この旧型車両、僕にとっても馴染みのある車両です。
旅館の敷地内に住んでいた小学生時代、小田原まで友達と映画を見に行ったり、ピアノ教室に通ったりするとき、電車に乗りました。
駅の出札窓口で「小田原まで子供一枚」と言うと、硬券の切符にチョキンとはさみを入れて切り欠きを入れ、「小」のスタンプを押してもらった記憶がかすかに残っています。
その頃は室内の照明も蛍光灯でなく、丸形のレトロな電灯で、帰りに日が暮れてから乗車し、同じ車両に乗る人がちらほらしか居なかったりすると、なんだか心細い気持ち(笑)になったものです。
スイッチバックのときに(当時の)新型の「ベルニナ号」とすれ違うと、煌々と明るい蛍光灯に真新しいシートが見えて、「いいなぁ、あっちだったら良かったのに」なんて思っていました。(笑)

当時、1クラス24人の山の小学校に通う少年だった僕には、都会への憧れもあったし、当時の時代の空気もあったのでしょうが、100系の魅力に気付くことはできませんでした。

もちろん、今は僕も100系のほうが好きです。
「電車乗ったら旧型で冷房が付いて無くて参ったよ、、、」
なんていうお客さんに
「おや、それはラッキーでしたね!」
なんて、すかさず返しています。

登山鉄道、それも100系の魅力に取り憑かれてしまった大橋君。
現在、残り6両になった車両が箱根を走り続ける限り、カフェにもしばしば足を運んでくれることと思います。



また、今回の個展ではポートレイト撮影も行っています。
登山鉄道100系と一緒に写真に写りませんか?

とくに、しばしば箱根に電車で来られる方にとって、100系は「箱根のおじいちゃん」みたいな存在(勝手に解釈しちゃってますが、、、)です。
「おじいちゃん」と一緒の写真、いつか懐かしく眺めることができるのではないでしょうか。


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あともう1つのトピックです。

先日、日本一周自転車旅の途中に立ち寄ってくれた1人の旅人がいました。
ちょうどその日はえみとNARAYA TABI BOOKS(新しくオープンするブックカフェ部分)の蔵書整理をしていたのですが、そこで友人の自転車旅の本を見せたりしていたら、ゆっくりしすぎてしまい、結局そのまま泊まることになりました。

最初は
「足湯のところにテントと寝袋で泊まってもいいですか?」
というので、
「だったら中でどうぞ」
ということで、栄えある「ゲストハウス宿泊者第1号」となりました。


後日、彼女から送られてきたはがき





消印のところには、彼女がちょうど今いるとことの郵便局で押して貰った「風景印」が押してあります。

これが彼女のスタイルで、
「おやつちゃん、今頃どこに居るんだろうなぁ?」
と思っている頃、風景印の押された葉書が届くので、
「ああ、○○に居るんだ」
と知ることが出来ます。

SNSのようにデジタル化された写真を見るより、実際にその場所から色々な人の手を経てやってきた生身(?)の葉書にスタンプが押されているというのは感慨深いですよね。
奈良屋旅館時代の蔵書からも海外から届いた古い絵はがき(使用済み)なんかが出てきますが、これもいわば遠い海外からやってきた旅人であり、時を経ることにより、「時の旅人」にもなります。

100系の写真を撮る大橋君とも繋がりますが、NARAYA TABI BOOKS、歴史を刻むアーカイブ機能も必要だなと思っています。
実際の旅人と古書やはがきのような「時の旅人」とが一緒に泊まるところ、、、です。

そんなことを思わせるここ1週間でした。
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