碧田直の いいじゃないか。

演劇ユニット、ミルクディッパー主宰の碧田直が、日々を過ごして、あれこれ思ったことを、自由気ままに綴ります。

無題そのごじゅうよん

2016-06-11 15:13:17 | 日々
病院に行ってきた。
先月受けた糖尿病検査の結果を聞きに行ったのだが、特に連絡もなかったので楽観視していた。まったくの健康体とまではいかなくても、深刻な状態というわけでもないだろう、と。
結果はまた後ほど書くとして、まずは昨日の続きから書いていきたい。

駅近くの耳鼻科医院で待たされること一時間あまり、ようやく名前が呼ばれて、診察室の前室のようなところに案内され、ベンチシートに腰かける。
こういった場所に来ると、周囲を観察する癖が、俺にはある。つとめて冷静に、壁紙の色や模様、時計の針が指している時間、棚に入れられている医療器具、子供向けカレンダーのイラストの間違い探し……。そうしていると、心中に芽生える若干の不安が、消えはしないまでも、得体の知れないものから実像を伴ったものになる気がして、少し落ち着くのだ。
俺の前の患者が小さな子供で、けたたましく泣き声をあげている。なぜ、あの年頃の子供は何かにつけて泣くのだろう、なんてことを考えているうちに、名前が呼ばれた。

『じゃあ、耳の中を見せてもらいますね』
症状を告げると、若い(おそらく三十代そこそこ)の女医さんが、そう言って器具を左耳の穴に差し込んだ。痛みはない。
『異常ないですね。では、次は逆の耳を』
と、今度は右の耳に器具を差し入れる。日頃、やらなくてもいいと知りつつも、耳掃除を欠かさないので、汚くはないだろうとは思っているものの、やはり不安が募る。
『キレイですね』
よかった。その一言で肩の力が抜ける。最後に喉をチェックしてもらう。
『ちょっと膿みがあるね』
と言われる。詳しいことは説明されても理解できなかったが、リンパ腺が腫れたと思っていたのは、膿で、それが耳の周りや耳下にあらわれているのだという。
原因は疲労やストレス、風邪などいろいろあるということなので、週末しっかり休むようにと言われ、膿の塊を溶かす効果がある薬をもらい、病院を後にした。

翌日は土曜日。休日だったので、もらった薬を飲み、のんびり過ごした。さっそく薬が効いたのか、耳の下に出来ていた塊が溶けて流れ落ちたような手触りがある。これはいいぞ、と何度も触って確認してみる。

一方で、耳鼻科で一切指摘されることのなかった顔の赤いぶつぶつは、さらに膨れてきているようだった。コンディショナーの使用をやめて数日、まだこちらは効果が出ないかと首をかしげるばかり。よく見ると、毛の生え際や、頭頂部のあたりにもぶつぶつが。そうっとさわってみると、すぐにズーンという感じの痛みが走る。思わず頭を押さえてしまうくらいの痛みだ。

気味の悪い耳の周りの塊はなくなりそうだが、こちらの方はもう少しかかるかな。痛みに耐えながら、それでもこの時は、まだ呑気に構えていた。明日ゆっくりすれば、きっと良くなるさ。根拠もなく、ひたすら楽観的に考えていたのだった。

しかし、明くる日に起きた俺は、さらに膨れたぶつぶつと、首すじから鎖骨あたりにまで、しこりがいくつも出来ていることを知って、青ざめてしまったのだった。

というわけで、今日はここまで。続きはまた明日。

ちなみに、検査結果は、グレーだった。つまり、糖尿病ではないが、糖分を摂るとヤバい数値を叩き出す予備群。しばらくは、食事と運動に気を遣いながら生活しなければならなくなった。十代からの不摂生の賜物だ。たまったツケはいずれ支払う。なるほど、人生はうまく出来ているものである。
コメント
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