「私の従軍記」 子供たちへ

平成元年父の誕生日に贈ってくれた本、応召されて帰還するまでの4年間の従軍記を今感謝を込めてブログに載せてみたいと思います

佐世保上陸

2006-10-23 22:03:05 | Weblog
 佐世保の相浦港着 翌日、佐世保の相浦港着。下船。自分の装具を持って宿舎まで500m位行軍。私は先に身体を痛めていたので、荷物を背負って歩けるかと心配していたが、結構そんなに重いとは感じなかった。勿論荷物は最小限度になるべく軽いようにしていたのでよかった。
 途中、日本の女性を見かけたが、から芋ばかり食っているとか、食糧は極度に不足して餓死者が続出しているという情報ばかり耳にしていた私達は、きっと痩せてヒョロヒョロして青ざめた顔色を想像していたのに、みんな色は白く、丸々と肥えて元気だったのは実に以外であった。
 だらだら坂を通り、畑の横を廻ったりして、元相浦海兵団兵舎あとの宿舎にたどり着いた。入り口で、全員、DDTの粉末を全身に降りかけられ、荷物も同じく真っ白になってしまった。そして部屋に入った。しばらくしてから全員、入浴。浴場は広かったが、DDTが溶けていたのか、消毒薬のためか濁っていた。そして身体検査、検便、血液を採られた。
 「明日は帰郷か?」と事務局の者に聞いたら、
 「いや、復員事務に2,3日かかるから、それが済んでからだ」とのこと。
 もうここまで来たから、又どこかの作業隊に移動なんて事は絶対無いだろうとみんな話し合った。