「私の従軍記」 子供たちへ

平成元年父の誕生日に贈ってくれた本、応召されて帰還するまでの4年間の従軍記を今感謝を込めてブログに載せてみたいと思います

チャンギー保養所 1

2006-10-02 19:19:58 | Weblog
 それから1週間位して、朝起きて便所に行こうとしたら、腰が立たない。ようやく這うようにして用を済ませ、この事を幕舎の者に言うと
 「お前、休んで医務室に行けよ」とみんなが心配してくれた。医務室で診察を受けると、「よく分からないが、脊椎カリエスの疑いがあるから、保養所に行け」と軍医が言う。
 早速手続きをしてくれたので、行くことにしたが、荷物といっても雑嚢と飯盒位持って、トラックでチャンギー刑務所からチョット先のゴム林の中のアタップ葺きの長屋みたいな保養所に入った。
 ここは準入院といった格好で、毎日軍医が診察して注射などを打ってくれるが作業は無し。それでも自活の農場があって野菜作りに経過の良い者は、時たまに出されることがあった。
 注射はよく打ってくれたので、左右の腕の第2関節の上のところは皮膚が硬くなって後では衛生兵が苦労するようになった。聞けば薬がないので、椰子の水を注射しているのだとも言っていた。
 ここに入ってから、よく眠った。3日間位昼も夜も飯上げ当番に出る以外は眠っていた。同室の者が
 「斉藤、お前よく眠るなあ。お前のように眠る奴、見たことがない」と言うほど眠った。きっと今までの疲れが出てきたのだろう。

軍歴表

2006-10-02 18:41:29 | Weblog
          軍歴表 

  命  昭和20年9月1日付   陸軍上等兵
  命  昭和21年3月1日付   陸軍兵長
      昭和22年4月1日付   兵精勤賞付与
   
        賞詞
     「リババレー」作業隊
           陸軍兵長 斉藤 永松
  右者作業隊編入以来1年間
  無事故無欠勤ヲ以テ任務ヲ遂行セリ
  依而茲(よってここ)ニ之ヲ賞ス
   昭和22年4月1日
      新嘉圾(シンガポール)部隊司令官陸軍中将
      従三位勲二等功三級 綾部橘樹印
 
 これは病院の処方用紙の裏面に謄写印刷したものである。
 この時、手拭いか何かを貰ったような気がするがはっきりしない。