海 その11:九州の海Ⅲ
眼下に広がっているのは、佐世保港です。
貿易港であると同時に、米軍の基地であり、自衛隊の施設もあります。まだ幼かったのでその頃の事は解りませんが、戦中にこの場所で写真など撮っていたら怪しまれて憲兵に拘束されていたでしょう。海軍が拠点に使う程の港、上から見ると素人でも良港なのが解りました。
九州の旅、佐多岬へ行った時ですから、昭和39年(1964)8月になります。九十九島を見たくて、夜行列車でやって来ました。そこまでは確かです。その先が、ぷっつりと途絶えています。おそらく当時は在来線の時代ですから、夜行急行「雲仙」の一部に佐世保行きが連結されており、直行したのだと思うのですが、確かではありません。
志村さんや、うたのすけさんの様に、日記やメモを取る習いは、全くありませんでした。なぜ?カナ釘流、人様には見せられない程で、字を書く事が苦痛だったのでした。今でもですが・・・。これだけ山行きや旅をしていても、行程表はおろか、メモすら残っていません。唯一、フィルムファイルに記されている日付と撮影場所と、かすかに残る記憶だけが頼りです。俯瞰の写真の撮影場所も、調べてみると弓張岳の展望台らしいのですが、登った事すら憶えていません。
九十九島から先は鮮明です。人吉に泊まり、球磨川を半日眺め、宮崎、佐多岬へと繋がっていきます。なのに、九十九島の遊覧船に乗りたくてやって来たのに、撮った写真を見ても、何も印象が残っていないのです。乗っているのは、確かなのですが・・・!!
小さな島が次から次へ現れます。この景色が見たかったのですが、写真で確認しても、風景がよみがえってきません。
最近物の置き忘れが多くなってきました。これから先、記憶力の減退は目に見えています。最近の事は忘れても、昔の事が思い出せる内は救われます。何も思い出せない時が来たら・・・考えない事にしましょう!!?