植草一秀の『知られざる真実』
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2014年6月22日 (日)
『裸の王様』はこうしてつくられる
浜田宏一氏や河合正弘氏など18名が、日中韓3カ国の関係改善を求める報告書をまとめて首相官邸などに提出しようとしたが、官邸が受け取りを拒否したことをロイター通信が伝えている。
アングル:浜田・河合教授らが日中韓関係改善を提言、
首相官邸は受け取らず
http://goo.gl/VLQIIZ
記事は次の事実を伝えている。
提言は、大学教授、エコノミスト、全国紙論説委員OBなど18人が参加する「平和と安全を考えるエコノミストの会」が作成したもの。
日本と中国、韓国との外交関係の悪化が日本経済の成長を妨げることを懸念し、政治・外交関係に踏み込んだ政策を主張。
具体的には、
1)日本政府が「河野談話」「村山談話」を明確に踏襲する
2)首相・主要閣僚による靖国神社参拝を控え、国民全体が戦没者の慰霊を行える無宗教の慰霊施設を設置する
3)尖閣諸島(中国名:釣魚島)や竹島(韓国名:独島)の領有権問題解決に向け、日中韓は領有権に関して当面は事実上の棚上げを行い、実力・武力で問題解決を図らないことに合意する
などの提案が盛り込まれた。
また、日中の軍事衝突が起これば、日本の国内総生産(GDP)を0.8%押し下げ、中国にとっても同様に0.9%のマイナス効果が生じると試算。
この場合、アジア全体の経済成長が損なわれ、アベノミクスが目指す日本経済の再生が行き詰まるとする。
さらに、
1)日中韓は東アジア地域包括協定(RCEP)協定の構築を目指す
2)中国による環太平洋連携協定(TPP)への参加とそれに必要な国内経済改革を歓迎・支援する
3)日中韓3カ国の自由貿易協定の早期締結を図る
4)円・元・ウォンの通貨金融協力を活性化させる
などが提言されている。
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エコノミストが外交政策に踏み込んで提言を示すことは異例であるが、その内容は極めて順当なものである。
日本の成長はアジア諸国との良好な友好関係の上にしか成り立ちようがない。
とりわけ、日本の隣国である中国、韓国との関係改善は、日本国民全体に利益をもたらすものである。
近隣諸国との関係を重視して首相が靖国参拝を自粛することは当然のことであるし、中国との関係で、「尖閣領有権問題の棚上げ」という先人の叡智を尊重すべきことも当然のことである。
韓国との関係でも、まともに首脳会談も行えない状況を打開するべきことも当然のことだ。
上記のエコノミストによる提言は、東アジア諸国との良好な外交関係構築が日本経済、ひいては日本国民の利益につながることを強調したもので、この意味ではエコノミストが外交問題にまで言及することは、建設的な対応であると評価できる。
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問題は、安倍晋三首相官邸の対応である。
記事は次の事実を伝えている。
「平和と安全を考えるエコノミストの会」関係者によると、
5月22日にこの提言を取りまとめ、直後に安倍首相に提出し面会することを試みたが、首相が受け取らないとの感触を得たため、菅義偉官房長官への提出に手法を切り替えた。
しかし、首相官邸の事務方から、この内容では提出を見合わせるべきとの意向が同会関係者に伝えられ、最終的に官房長官への取次ぎや面会を拒否された。
さらに同会は、岸田文雄外相宛てにこの提言を提出できないか外務省関係者と接触したが、こちらも直接の提出・面会を拒否された。
ただ、間接的に岸田外相に手渡すことは可能ということが判明したという。
この点について、外務省は「事務方から大臣に(報告書を)渡した」(外務省報道室)としている。
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記事は、関係者の証言として、官邸の対応姿勢について
「安倍首相の周囲には、首相の意見と違う提案を拒絶する人々がいて情報が制約されている」
との見解が紹介されている。
安倍晋三氏の周辺にいる人物の行動としては、衛藤晟一首相補佐官が、安倍氏の靖国参拝について米国が「失望した」とコメントしたことについて、
「米国は『失望した』と表明したが、むしろ我々が失望したという感じだ」
と発言して、発言を撤回する事態に追い込まれた。
また、萩生田光一総裁特別補佐は、同じく靖国問題についての米国の批判について、
「共和党政権の時代にこんな揚げ足をとったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」(以下略)
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あい・みゆき作「ふみ子抄」第22回~天城ハイランド
義母の教えは全くの嘘だった。なぜ、そんな嘘をついたのか。
もともと義母という人は、嘘が多い・・・というよりも嘘で固めた人だった。彼女は、ある意味で頭がいい。小学校の尋常化を首席だけで通して、高等科はやらずに県立の高等女学校へ進んだ。水戸高女である。
養母は1905年の生まれだから、女学校へ入学したのは1917年、大正六年、卒業は大正11年である。この間、学年首席を独占し、一度も人に譲ったことはないと言う。その年、学校から「絶対に受かるから」とのお墨付きを得て、東京女子高等師範、今でいうお茶の水女子大学を受けに上京した。頑張り屋で負けず嫌いだったから暗記に、頼る科目は抜群にできたが、数学のような思考力を要する学科に幾分か穴があった。とはいえ、俗にいう<頭がよかった>ことは確かなようである。その頭の良さを駆使して、よく嘘をついた。彼女は物を訊かれたときに即答しない。少し考えてから最も良い答えを探して、それを答えるのである。素直に正直な答えをしたのでは、自然の答えにはならない。したがって彼女の答えは、常に嘘であった。一度、嘘の答えをしてしまうと、以後の関連質問には、すべて嘘の答えを考え出さねばならない。結局、嘘で固めた人生を送ることになる。
夫の新作は、よく節子に怒鳴られていた。新作は嘘がつけない人だから、どうしても本当のことを言ってしまう。するとせっかく節子が嘘で話をうまく進めていたのが、壊されてしまう。そこで客が帰った後で新作は怒鳴りつけられるのである。「何で嘘がつけないだっぺね。相手の目をじっと睨めつけながら話せば、どんな嘘でも相手は、嘘と気が付かず、本当のことだと思い込む。役人と警察は、相手が自分の目を見て話しているかどうかで、嘘かホントかを判断するように訓練されているから、役人と警察が一番、だましやすい。嘘は、どんどん、つかなければダメだ。嘘のつけない男は、絶対に偉くなれない」こう言って夫を叱咤激励をするのだが、正直者の新作は、どうしても嘘がつけない。そこで、しまいには妻が夫を怒鳴りつけ、茶碗を投げつけたり全を蹴ったりすることになる。普通、ドメスティック・ヴァイオレンスというのは、夫がやる場合が多いようだが、精一一家の場合には専ら妻が怒るのだった。
節子が怒るのにも、彼女なりの理由はある。新作の父、八木新五郎は東茨城郡内で一番の地主であり、富豪だった
。大正9年の最後の制限選挙には、東茨城郡を選挙区とする茨城二区の政友会候補に推され、代議士になっている。事情があって代議士は一期で辞めてしまったが、金はふんだんにあるはずだ。
ところが、その財産を誰が相続するかについては、問題があった。正妻には男の子がいないのである。この時代は、相続人は男でないと具合が悪い。そこで、やむなく新五郎は妾を囲った。第二夫人である。そして、「第一夫人でも、第二夫人でもいい、先に生まれた男子を相続人にする」と村の有力者らに公言し、それを確認する公正文書まで作った。その上で生まれたのが、新作なのである。だから相続人は新作になる、と節子は考えていた。
ところが節子の父、倉沢穂三郎は新作との結婚は許さぬと言う。(妾の子では相続など来ない。公正証書などあっても、何かの理由をつけて覆される、というのである。穂三郎は節子を盲愛していた。男の子が四人で来た末に初めてできた女の子で、学校の成績もよかったから、可愛くて仕方がなかったらしい。そのために徹底して我儘に育てた。彼女の言うことは何でも聞きいれた。欲しがるものは何でもかってやり、しまいには倉沢家の運営まで、彼女の言に従うようになっていた。節子が女高師を受けるため上京した時は、長男の秀雄の家にとまることになっていたが、ここには独身の筈の秀雄の家に見知らぬ女性が同棲していて、笑顔で節子を迎えたものである。秀雄と彼女は、節子を歓迎することによって節子を味方にし、父穂三郎から結婚の承諾を取り付けるつもりだったのである。ところが、節子は一目見て、この女性が嫌いになった。そして故郷に帰ると、秀雄を廃嫡して四男の明に倉沢家を相続させるよう進言した。穂三郎は、その進言を入れて、その通りの遺書を作った。
それほど父穂三郎から信頼されていた節子なのに、今、新作と結婚したいと言うと、頑として反対するのである。<妾の子には相続権など来ない>と言うのである。
しかし、父の愛情をよいことに、これまで我を通し続けてきた節子は納得できない。一夜、身の回りの荷物をまとめて家出をした。頭が良いから誰にも気付かれずに家を出、新作が下宿している水戸の在の酒屋の奥座敷に乗り込んで、結婚を迫ったのである。
新作は驚いた。節子とは、ほとんど面識もない。一度、母校の小学校で顔を合わせ、校長主催の宴会の後、カルタ取りをしたことがある。そのときに手合わせをして、めっぽう気の強い女であることに気付いていた。こんな女と結婚した男は、どんなにか不幸だろうなあ、と考えたことがある。
その節子が、何の予告もなく、いきなり下宿を襲ってきて、結婚を迫られたのだから、新作の驚きは一通りで無かった。
とにかく、実家では両親はじめ家族が皆、心配しているはずだから、帰りなさい、と諭し、念のため、自分も二か月間、下宿に帰らなかった。
ところが、もう大丈夫だろうと、新作が下宿に戻ってみると、彼女は帰らずに彼を待っていた。部屋を片付けて新作がためていた洗濯物を洗い、三つ指ついて彼を迎えた。驚いた新作は、更に彼女の罠から脱出を試みた。だが、この事件は村じゅうの話題になっており、県当局にも知られている。そして、こういう場合、第三者は、ほとんどの場合、問題の責任が男の側にある、と決めつけるものである。それに便乗して出世に利用しようとする視学も現れた。結局、新作に行き場はなかった。新作は、自分が最も嫌いなタイプの女性と結婚することを強いられた。
こうして節子は新作との結婚を勝ち取った。けれども父、穂三郎の予言どおり、八木家の財産は妾母子の方には来なかった。それが節子の憤懣となり、バカ正直な夫、新作に対するドメスティック・ヴァイオレンスが始まるのである。
けれども、彼女は、新作との結婚が、典型的な押しかけ女房だったことを、精一には知られたくなかった。そこで事実とは全く逆なことを教え込んだ。結婚は男次第、女は結婚については無権利、と教えて、さも自分が厭々ながら新作と結婚してやったんだ、と得意の嘘を通そうとしたのである。
「好きになったのは相手、自分は好かれたので仕方なく結婚した」という言い方をする人は世間に多いが、
結婚は男が勝手に決めるもの、女は求められて厭々ながら結婚するもの、というバカげた嘘は、
こういう人たちは総じて嘘つきなのか、見栄っ張りなのか、常に「100%自分の方からの片思いで結婚してもらった」と言っている精一には、
養母のような高慢な言い方へ好きになれないのである。結局「自分が押しかけ女房だったことを隠そうとする不誠実な生き方に思えてしまう。
精一は既に小学校5年の時に、性というものは知らぬまま、隣のクラスの女性が好きで好きでたまらなくなった。すると不思議なことに、
羞ずかしさが先に立って、何もはなしかけられなくなり、悶々とした日を送るようになる。
そんな経験があったので、養母の言うことが嘘だとは、すぐにわかった。だが、そうとなれば、今、彼は、ふみ子に対して
どうすれば、この恋を結ばせることができるのか、ますますわからなくなる。こうして彼の悩みは、日ごとに深くなる一方なのであった。(つづく)