カイラン水上マーケットがおもしろかったのは、もうひとつ、
ここが“ベトナム経済の縮図”というか、
ここから“ベトナムのいま”が透けて見えてくるようだったから。
昨日、3人のガイドにお世話になったと書いたけど、
うち1人が、ドクという国営系旅行会社のガイド。
彼に聞いた、水上マーケットや住民の暮らしの話は、とても興味深かった。
ドクは英語はもちろん、日本語もかなりペラペラ。
ベトナムの歴史や経済に精通し、こちらのどんな質問にもくわしく答えてくれる
これぞプロフェッショナル!といった、実に優秀な人物。
今日は余談で、ベトナム経済について見たこと聞いたことを書いてみようと思う。
(9年前の話なので、数値など現在と異なる部分はあることをご了承ください)
さて、カントーにはカイランをはじめ3つの水上マーケットがある。
カイランには500~1000人ほどの人が集まり、そのうち半分ほどが水上で暮らしているそうだ。
ベトナムといえば「バイク!」を連想するくらいオートバイが普及しているが、
陸上交通手段が発達したら、いずれ水上マーケットも消えてしまうの…?
「バイクや車も増えたけどガソリンも高いし、燃料費の安いボートは、
庶民にとってまだまだ生活の足。
それに、水上のボートハウスに住めば、税金を払わなくてすむから、
水上生活者は当分減ることはないだろうね」とドク。
陸で小さな家を1軒建てれば$150くらい、プラス住民税を払わなくちゃいけないけど、
水上ならTax Free! 小ボートなら$20くらいから買えるらしいし。
昔は小さなボートばかりだったけど、ここ90年代前半から急激に経済が成長し、
第2話でも書いたファーンヤッさん一家のように、大きなボートに住む
豊かな水上生活者が増えたそうだ。
それって昔、「地理」の授業で習った、“ドイモイ”の影響 !?
私は社会の中で地理の授業がいちばん好きだった。
なんせ、地図を眺めてると幸せになってくるくらい。
旅してて楽しいのは、昔いっしょうけんめい覚えた国や町を実際に訪れたり
「ここは稲作地帯」「金の産地」「熱帯雨林気候」とか、机の上で学んだ想像の世界を
目の当たりにして、肌で体得できる瞬間があるから。
そして私は、この“ドイモイ”というミョーにかわいい響き(?)が印象的な、
ベトナムの経済政策のことを思い出していた。
ちなみにドイモイとは、日本語でいえば「刷新」という意味。
1986年に社会主義から市場経済システムが導入され、国外にも開放されたため、
外国の資本も入りやすくなった。
90年代に入って、ドイモイは功を奏し、
ベトナムのGDP成長率は10%近くと、急激に経済成長を遂げる。
そのころ日本でも、空前のベトナムブーム到来!
雑誌がこぞってベトナムをとりあげ、女性誌ではベトナムの旅や雑貨なんかの特集も増えた。
そのドイモイのあと、水上マーケットはどう変わったの?
人々の暮らしは豊かになったの?
「ドイモイの前は、商売を始めるのに政府の許可をとったり時間がかかったけど、
今はお金を払えば、かんたんに始められるようになったね。
だから水上マーケットで商売がしやすくなり、どんどん規模も大きくなっていった」
たとえば小さいボートだと、1日2000ドン(約20円)払えば店が出せるそう。
ドクによると、「90年前半から、ここでのライフスタイルも大きく変わった」とのこと。
まず、昼間でも電気がつくようになった。
日本、中国、韓国などから、電化製品も手に入るようになった。
物価も上がったが、収入もそれなりに増えた。(逆に、経済格差も広がったらしいが…)
ドイモイの効果は大都市部だけでなく、ここカイランマーケットにも現れてきているんだ…
たしかに、私もその勢いを肌で感じることができる。
あれから10年近く経つ。
今はどんな感じなんだろう。人々の生活はさらに豊かになったのかな。
ボートの家にはどういうものが入ってきてるんだろう?
たぶんケータイはあるだろうな。ゲーム機とか? パソコンは?
それをいま、確認しに行かれないのが残念だけど…
いろいろ調べてみると、ベトナムのGDP成長率は90年代後半には落ち込んだものの、
2000年代に入ってまた復活し、ここ何年か平均7%付近と横ばい。
急成長というわけではないが、かといって成長が止まったというわけでもなく、
“堅調に保っている”といった感じのよう。
(ちなみに“すごい成長!”の目安はGDP10%超のよう。
日本は高度成長期に12%台!を記録したが、今は2%前後。どうなる、ニッポンの未来!?)
もしかしたら水上マーケットも、9年前のままの風景が続いているのかもしれない。
人々の暮らしは、多少の変化もあるかもしれないけど、
昔とそれほど変わってないような気もする。
(誰か知っていたら、ぜひ今のようすを教えていただきたいくらい)
活気にあふれ、でもおだやかに、メコンの流れのように…
そんな水上マーケットに、いつかまた帰る日を夢見て…
おわり
堅苦しいハナシにお付き合いいただきありがとうございました。
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また次を書く気力が沸いてきました! ありがとう~
明日からはちょっと東京のお出かけ情報書くつもりです。ちょうど東京に来られるんですね! 参考になるか分からないけど、また読んで下さい。
ちょっぴり旅っぽいことって? 気になるなー
ちょっと前のたびかもしれないけれど、ベトナムは今もあまり変わってないのかもしれませんね。
日本の成長とはまったく違う、ゆるりとした時間が流れるベトナム(水上マーケットでの暮らし)であって欲しいと願ったりもします
また新しい旅ブログ楽しみにしています。
私も来週末から旦那の実家(東京ですが・・・)にちょっぴり旅?っぽいことします
息子さん、りんりんと同じ17年生まれですね! ふふふ… 私もいつかは旅に誘ってもらいたいなぁ~ そのときはバックパック旅行でなく、高級リゾートで親子エステするのが夢です
・・今日のお話はちょっと難しかったですけど(爆)優秀なガイドと渡り合えるままりんさんはスゴイ。 でも ベトナムは是非行きたい国なので色々知っているともっと楽しめるかもしれませんね。
娘ちゃんとバックパック旅行が夢なんですね、素敵ですね。
私は息子に旅程を組んでもらって旅するのが夢です