↑バッドマンに扮するハンサムボーイ君
ハンサムボーイ君のわがままに、相変わらずキレたりイライラしたりする日は続いていたが…
やがて2人の間に、ある転機が訪れようとしていた。
仕事を始めて4週間が経ったころ。
ハンサムボーイ君は数日前から風邪をひいていたが、それも幸い治りかけていた。
でも風邪で甘えグセがついたのか、いつもに増してわがままに磨きがかかる。
朝の6時から「しんどい~」と言って泣きやまなかったり、
かと思えば急にピンピンして、ひどいいたずらぶりを発揮、私をキィィィーーーっとさせた。
しかし、だんだん彼のわがままにも応える気力を失い、私はソファにもたれかかってうなり出した。
う~~~ なんか頭がボーー…っとする。体もだるい…
彼の風邪をうつされちゃったか…
翌日も症状が治まらず、彼の母親が家にいる間はずっとベッドで横になって動けなかった。
ハンサムボーイ君は母から
「ままりんは病気だから、いい子にしていないとダメよ」と言い聞かされていたようで、
その日はびっくりするくらい、おとなしくしてくれた。
自分も苦しんだあとで、私が同じように寝込んでるのを見て、つらさを分かってくれたのか。
私が「しんどいから無理いわないで」と頼むと、彼はとても素直に聞き入れてくれた。
2、3日つらい風邪の症状は続いたが、これぞまさに “ 災い転じて福となす ”――
この病気をキッカケに、彼はたしかに変わった。
私を気遣ってか、言うことを素直にきくようになったし、困らせることもあまりしなくなった。
そんなにいい子だとうれしくて、私も彼の要求を極力きいてあげようという気になってくる。
お互いが、お互いの考えを尊重できるようになった。
3歳だから、子どもだから、と一方的にこちらの考えを押しつけてはけないことに
ようやく私も気づいたのだ。
だって彼は、日本と違って「個」を重んじる国で育っている人間。
この国では、自分の意見を持ち、主張できてこそ一人前なのだ。
日本のように、「和」を乱さないよう「個」を抑えこむ教育なんて存在しない。
…と、書きながら、いま私はひどく自分の子育てを省みている。
私はりんりんに、同じようにオトナの論理を押し付けてないだろうか。
「早く」「さっさとして」「ダメ、ダメ」「~しなさい」……最近の口グセ。
忙しい毎日をやりくりするうちに、りんりんの主張を封じ込めてしまってはいないだろうか。
子育てってむずかしい。
どこまで“自我”を尊重してあげて、どこから“しつけ”て導いていかなければならないか、
その線引きだっていまだによく分からない。
きっと正解なんてないんだろうけど。。。
つづく
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