むさしドリーム眼科

「社会に対する感謝の気持ちを持って、
来院された方々に健康・元気・夢を提供します」

多焦点とモノビジョン

2009年02月19日 | Weblog
最近、白内障手術に新しい眼内レンズが登場しました。「多焦点レンズ」というものです。ご存じの方もおられるかもしれませんが、遠近両用に対応した眼内レンズです。


今までの眼内レンズを単焦点レンズといい、こちらはピント合わせの力はありません。それに対し、多焦点レンズは、遠近両用コンタクトレンズと同様の構造を持ち、遠方と近方の両方にピントが合うように設計されています。


ピント合わせが出来る夢のレンズの登場かと騒がれましたが、まだまだ人間の水晶体の機能には及ばないのが現状のようです。施術を受けられて、「遠くも近くも見にくい」とおっしゃる方の声を時々聞きます。(施術を受けられて、最高の喜びを感じられる患者さんがおられるのも事実ですが個人差が大きいのです)しかも多焦点レンズを用いた白内障手術は、保険のきかない自費診療です。施設間の差はありますが、平成21年2月の時点で両眼80万円が標準の価格です。(参考までに、保険診療で通常の白内障手術を受けると、3割負担の方なら両眼で9万円ほどの自己負担になります。)

どういう方に多焦点レンズは有効で、逆にどういう方に効果が出にくいか、まだまだ予測しにくいのが現状です。多焦点レンズは、術前に適応をしっかり考えましょう。というのが現在の眼科医の共通のコンセンサスです。


満足度の高い多焦点眼内レンズが登場するには、まだまだ技術的なイノベーションが必要、というのが私の考えです。




そこで、当院で採用している、モノビジョン法という白内障の新しい術式について紹介します。通常の白内障手術では、単焦点レンズを用いるため、手術後に眼鏡による矯正を必要とします。モノビジョン法とは、眼鏡を必要としない新しい白内障手術です。保険診療で行えることがひとつの魅力です。

なぜ、ピント合わせの力を持たない単焦点レンズでこのようなことが可能になるか御説明します。

人間の目は、優位眼と非優位眼に分かれます。簡単に言いますと、優位眼というのは効き目のことです。優位眼は主に遠方を見ることを担当し、非優位眼は近方を見ることを担当しています。モノビジョン法では、優位眼に遠方に焦点を合わせた単焦点レンズを使い、非優位眼に近方に焦点を合わせた単焦点レンズを使います。この工夫により裸眼で遠くも近くも見える生活を実感できます。現に当院で施術され、眼鏡を掛けることなく、快適に仕事や読書をされている患者さんが多くいらっしゃいます。(もちろん個人差はありますので、後日、眼鏡による矯正を必要とした方もいらっしゃいますが、必要度は低いようです。)


私は、多焦点レンズと同等、あるいはそれ以上の効果を得られる、モノビジョン法を積極的におすすめしています。保険診療内で可能なことも大きな理由です。