皆さんはボルトを締めるとき、適正トルクで締めているでしょうか?
ネジを締めすぎてぶっちぎってしまったり、相手のアルミのネジ山が舐めてしまったり
した事はありませんか。
今回は機械整備の時にボルトの締め付けトルクを管理する為トルクレンチを入手しました。
一般的な整備の時にボルトの締め付けトルク管理をするのは希かと思います。
私も長年メカニックをやって来ましたがトルクレンチを使うのはエンジンの
ヘッドやクランクシャフト、コンロッドなどのネジを締める時だけ。
他はすべて経験と勘でネジ締めを行ってきました。
しかし、最後に在職した某ディーラーではトルク管理が徹底しており、
サービスマニュアルに締め付けトルクが表記されていればすべてトルクレンチを使って
ネジの締め付けを行っておりました。
当然ホイールナットもインパクトレンチで軽く締めた後トルクレンチで締めます。
北海道では雪が降る季節になると必ずニュースでタイヤ交換の映像が流れます。
スタンド等でインパクトレンチでバババッツと締めて終わりというのを良く見ますが、
あれは規定トルクの何倍ものトルクで締めちゃうのでホイールボルトが伸びて折れちゃいます。
車載工具ではホイールナットが外れない事も有るでしょう。
締め付けトルクの感覚の一部は体が覚えており、ホイールナットの10Kg/mや6mmの1Kg/mという
トルクは大丈夫とは思っても、それ以外のボルトの締め付け感覚は怪しい。
締め付けトルクに関しては以前から気になっていたのですが、今回はやっとトルクレンチを入手。
☆東日DB50N
検査用のトルクレンチで5~50N/mまで対応。
定価は25000円もするのでオークションから入手。
校正ネジのラベルが剥がれているので精度は怪しいけれどまあ大丈夫でしょう。
これが我が家の標準器となります。
ネットから探し出した560XPやスチールのサービスマニュアル(英語版)見ると、
チェンソーの場合は最高でも25N/m程度なのでこれ一本で十分対応可能。
キャブレター周りやビスのたぐいは1~2N/mなんて言うのもあるのでそこは手加減で。
☆プリセット型トルクレンチ
こちらもオークションから入手した安物のプリセット型トルクレンチ。
2~24N/mまで使えますが、安物なので精度は?
それでも使わないよりは遥にまし。10N/m位の時の感触はDB50Nと同じ位。
このタイプのプリセット型は使い終わったら必ず設定値を最弱まで緩めておく事。
設定時には中のスプリングが縮んでいるので締めっぱなしだと狂ってきます。
以前使って居たスタビレーやスナップオンには戻す必要のないタイプもあります。
トルクレンチの世界も最近はアナログからデジタルに移行しつつあるようです。
しかし、たまにしか使わないのなら電池の要らないアナログの方がお勧めです。
いざというときに電池切れじゃ困りますからね。でも、KTCにデジラチェというシリーズがあり、
GEK030-C3Aと言う物は2~30N/mなので良さそうな感じ。
☆六角レンチ
今まで4mmのキャップボルトの締め付けはこのレンチを使っており、レンチがねじれる感覚で
締め付けトルクを判断しておりました。
今回DB50Nに4mmのソケットを付けて実際に自分が締めていたトルクを確認したら8N/m位。
はたして自分の感覚で良かったのか???
チェンソー等では標準締め付けトルクより大きなトルクで締める所も有るので
標準締め付けトルクはあくまでも参考値。重要な所はメーカーの指定値で締めたい所です。
ちなみに、560XPではガイドバーの13mmナットの締め付けトルクはMin.15Nmだそうで、
付属のレンチでも思い切り締めると締めすぎになるでしょう。(Maxの記載は無し)
私の機械はすべてゼノアなのでネットでサービスマニュアルを探す事は出来ず。
こんな時はいつも世話になっている機械屋さんにデータを教えてもらいます。
私はほぼすべての整備を自分でやるのでそこで儲けを出す事は出来ないです。
せめて消耗品や利益の出せる物はお付き合いとしていつもの機械屋さんで買う様にします。
我々プロユーザーの機械は預かりに成ることは少なく、ほぼその場で修理してくれて、
そんな所でいつも助けてもらっています。
私は機械屋さんまで往復する時間があれば修理出来ちゃうので部品を買いに行くばかりですが、
いつも変な注文に応えてくれるので、何でもネットの安いところから買っちゃったら
ルール違反だと思っています。
トルクについて!
私がメカニックになった頃から締め付けトルクはずーっとKg/mでやって来ました。
しかし現在はN/mという単位に置き換わりKg/mという単位は使われなくなった様です。
1N/m=0.102Kg/mなので一桁ずらして後は誤差の範囲内と言う事に成ります。
1Kg=0.98Nでも同じです。数値について間違いの指摘が有りました、有り難うございました。
1Kg=9.8Nでも同じです。
私の知識の至らない部分についてコメントが届いておりますのでそちらも参照していただくと幸いです。
昔気圧はミリバールだったのが現在はヘクトパスカルになった様に、
MSK単位系からSI単位系(国際単位系)に移行した事による影響なのです。
1kg=9.8N≒10N すなわち 1N≒0.1kg
1kg・m=9.8N・m≒10N・m すなわち 1N・m≒0.1kg・m
トルクは力と支点からの距離の積で効きますから単位はN・mです.
掛け算の・と割り算の / が同じキーに割り当てられているというのも少し問題ありですね.
単位の間違いとはKgfもしくはN・mの様な表記を使わなかったことでしょうか?
私は現場の人間なので教科書で勉強したことが無く、
「締め付けトルクはいくつ?」
「2キロだよ!」
というような話の流れでわざわざ単位を付けることはありません。
いつKgからNに変わったかも知りません。
締め付けトルクの話をしている時に重量と混同することは無いので
話の流れとして単位を付ける必要は無いと思います。
現場の話としての記事なので、教科書的に不足な部分が有っても目をつぶって下さい。
・は単位のかけ算を表しますが普通は省略できます.
5Ahは5Aなら1時間,10Aなら30分
15Nmは1mなら15N,10cmのところで150N≒15kg
一方 / は単位の割り算で,例えば「1時間あたり」とか「毎分」とかですね.
これは・の代わりに使うことも,省略することもできません.
40km/hは1時間あたり40km,30分に20km等です.
1g重で1cm伸縮する「ばね(バネ)」を10cm伸ばすには10g重の力が必要,等々.