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トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

フレディ・マーキュリー生誕70年

2016-11-24 21:10:17 | 音楽、TV、観劇

 今年は不世出のロックボーカリスト、フレディ・マーキュリー(1946-1991年)の生誕70周年であり、没後25年目の年でもある。彼の生前からのファンだった方はもちろん、私のように死後ハマった人も感無量だろう。
 私の場合、リアルイムで聴けた世代にも拘らず、あのヒゲと胸毛でモロに毛嫌いしてしまい、死後になってやっとフレディやクイーンが好きになったことが今さらながら悔やまれる。フレディの命日にちなみ、一ファンの想いを綴りたい。

 フレディ没後20年目の記事にも書いたが、私がクイーンファンになったのは1996年だった。フレディの生前から『Radio Ga Ga』『ブレイク・フリー』『ボヘミアン・ラプソディ』等のナンバーは聴いていたし、イイ曲だと思ったが、ルックス的に彼が苦手だったため、好きになれなかったのだ。未だに私はヒゲと胸毛を誇示する男は好きになれない。
 それが一転してファンになったのは、彼がパールシーだったから。クイーンファンになる以前から、ゾロアスター教に興味があったため、パールシーのロックスターがいたことは驚いたと同時に喜んだ。英国人のロックボーカリストなど珍しくもないが、パールシーのロックスターは至って稀。もしフレディがパールシーでなかったならば、私はそれほど好きにはならなかっただろう。

 アブラハムの宗教については辛辣な記事を書いても、基本的に私はゾロアスター教やヒンドゥー教贔屓なのだ。特にゾロアスター教徒には尊敬の念を感じている。パールシー(ペルシアから来た人の意)の祖先はムスリムからの迫害を逃れ、文字通りインドに亡命してきたゾロアスター教徒たちであり、彼等は古代ペルシア人の末裔と言っても過言ではない。
 パールシーが歩んだ歴史も興味深いが、少なくとも私が知る限り、彼らが最も優れた移民だったのは確かだ。自分たちの出自と文化を守りつつ移住先で協調、インド独立運動に参加した姿勢は見事としか言いようがない。通名を使い、出自を隠す我国への不法移民どもとは正に雲泥の差。
 別冊宝島のムック『クイーンを聴け!』の冒頭に、「ウィーウィー69」(泉昌之)という漫画が載っているが、そこには「クイーンのボーカルってインド人なんだって」という台詞がある。間違いではないが、正確にはペルシア系インド人というべきだろう。

 クイーン3枚目のアルバム『シアー・ハート・アタック』の解説にあった、河井美穂氏が紹介したフレディの言葉は素晴らしい。
勿論、人生には辛いこと、ままならないことが沢山あって、誰もが現実に悩まされてるさ。だからこそ、せめて僕達の音楽を聴いている間くらいは、それを忘れてほしい。そういう曲を書きたいし、そういうステージをやりたいんだ
音楽には二種類しかない。良いか、悪いか

 またフレディーはインタビューで、「人に印象付けるためには、思い切ったことをやらなければダメ」と語っている。中期のレオタードスタイルのように、時にそれがやり過ぎになることもあった。尤も私は、この頃のフレディがルック的に一番好きだが。
 スペイン人のオペラ歌手モンセラート・カバリエとのデュエット『バルセロナ』は、ロック界を騒然とさせたが、いかにも意表を付くのが巧いフレディらしい。



 クイーンほどエンターテインメントを全面に出したバンドは珍しいだろうが、これまたフレディの出自が影響していた?、と余計な想像をしたくなる。ゾロアスター教は基本的に現世肯定的かつ飲酒公認宗教なのだ。人生を謳歌するのこそ“善”であり、悲しみや苦しみは悪魔の喜ぶところとされる。
 ヒンドゥー教と繋がりのある宗教らしく階級制度はあり、神官階級と平信徒との結婚は望ましくないとされる。その一方で進取の気性に富み、女性の地位も高い。それが災いしてか、日本より先に少子高齢化が進んでいる。

 フレディのソロ曲『The Great Pretender』のPVは何度見ても面白いが、歌詞の原文と和訳が載っているサイトがある。これは彼のオリジナルではなくカバー曲だが、彼自身のことを歌っているとしか思えない。それでもフレディが、人生と歌を愛した男だったのは確かだろう。



◆関連記事:「ボヘミアン・ラプソディ
 「フレディ・マーキュリーと私
 「フレディ・マーキュリー/孤独な道化
 「フレディ・マーキュリー ロックスターになったパールシー


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8 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
フレディ・マーキュリーのフィギュア (スポンジ頭)
2017-10-08 10:19:15
 おはようございます。こんなものを見つけました。私はクイーンのファンではありませんが、この緻密な作り込みには驚きました。さぞかし思い入れが有ったのでしょうね。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=120&v=L_vQW3xQEhc
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Re:フレディ・マーキュリーのフィギュア (mugi)
2017-10-08 22:19:09
>こんばんは、スポンジ頭さん。

 面白い動画の紹介を有難うございまず!本当に世の中には手先の器用な方がいる…と感心させられます。いくら思い入れのあるクイーンファンでも、これ程のレベルのフィギュアを作れる人は至って少ないでしょう。

 バンドメンバーのぬいぐるみ人形が登場する動画もありますが、多くのファンはこれくらいが関の山だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=h7AhNkknScg
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バンドメンバーのぬいぐるみ人形 (スポンジ頭)
2017-10-08 23:13:36
 こんばんは。

 バンドメンバーのぬいぐるみ人形の動画を見ました。さぞかし手間がかかったんでしょうね。昔のクレイアニメは一コマずつずらせて撮影しましたが、この縫いぐるみも口が動いていますし、その点口を付け替えて作ったんでしょうか。

 ところで、ご存知かもしれませんが、「M県S市紅葉区」の杜王町なる場所(2011年に大地震が発生した)を舞台にした漫画がありまして、登場人物の一人が「キラークイーン」なる「超能力」を使用します。これはクイーンの楽曲から来ているそうです。
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Re:バンドメンバーのぬいぐるみ人形 (mugi)
2017-10-09 21:33:18
>こんばんは、スポンジ頭さん。

 完成度はともかく、ぬいぐるみ人形動画は手間がかかったと思います。ぬいぐるみの口が動いているのも、やはり口を付け替えていたのでしょうか。だとすれば、フィギュア以上に手間がかかったはず。

 「M県S市紅葉区」の杜王町なる場所を舞台にした漫画とは、『ジョジョの奇妙な冒険』ですよね?作者の荒木飛呂彦が仙台市出身のため、作品には仙台に因んだ地名を付けることが多いと聞きました。尤も私は未だに『ジョジョ』は見たことがないので、「キラークイーン」なる「超能力」を使用するキャラが登場していたことは知りませんでした。
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フレディの映画 (スポンジ頭)
2018-05-19 10:47:36
 おはようございます。既にご存知かもしれませんが、フレディ・マーキュリーの映画が今年公開されます。アメリカは様々な人種が住んでいますから、演じる俳優にも恵まれますね。

https://gigazine.net/news/20180516-bohemian-rhapsody-trailer/

 
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Re:フレディの映画 (mugi)
2018-05-19 21:51:00
>こんばんは、スポンジ頭さん。

 フレディ・マーキュリーの映画、本当に楽しみです。一時期はサシャ・バロン・コーエンをフレディ役とする伝記映画の企画がありましたが、結局お流れになりました。しかし、無事に完成して良かった。やはりアメリカならではです。

 ただ、日本人ファンとして非常に腹が立ったことがあります。教えてくれたメル友さんに言わせると、こういうのが本当の歴史修正(というか改竄)というのでしょうね(怒)。
http://gensen2ch.com/archives/75647193.html
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西武球場 (スポンジ頭)
2018-11-19 21:52:50
 こんばんは。西武球場でのライブを見つけました。でも10年も寿命はなかったのですね。

ttps://twitter.com/so_hey_hey_hey/status/1063426311538896897

映画は観客席がライブのノリだそうです。
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Re:西武球場 (mugi)
2018-11-20 22:00:10
>こんばんは、スポンジ頭さん。

 西武球場でのライブが動画にアップされていたとは知りませんでした。このライブはビデオ化されていたし、フレディが西武ライオンズの帽子を被って歌ったのも、今ではネットで見られるとは感無量です。この時、誰が9年後のフレディの死を想像出来たでしょうか?

 先週のレディースディに映画を見てきましたが、私行きつけの映画館ではライブのノリはなかったですね。ちかく記事にするつもりです。
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