一昔前は反抗する若者の音楽と云われたロック。しかし、ロックゼネレーションも既に中高年世代となり、いい年をした大人がロックを聞いても、白眼視されることはなくなった。社会には既に公認されており、私の青春時代とは隔世の感がある。地方在住ということもあり、70年代はもちろん80年代になっても、大人たちはロックを不良の音楽と見なしていたのだ。ロックを聞くと、バカになるとまで言う大人もいた。
昭和一桁生まれの私の父もロックを目の敵にしていたし、アーティストというロックミュージシャンへの呼び方が気に入らず、アナーキストの間違いだろ、と吐き捨てる調子で言ったことがある。漫画を見ることは認めてくれた父だが、ロックには厳しかった。対照的に漫画を見るとバカになる、と我が子が漫画を買うのを怒った母は、ロックについては特に言わなかった。
80年代となれば洋楽を中心にプロモーションビデオ(以下PV)が制作され、それを母と一緒に見たことがあるが、母の反応はよかった。対照的に父はこれをモロに嫌い、PVに出ているミュージシャンを貶したものだった。そのため、深夜にこっそりと洋楽番組を見ることにした。
80年代前半までТVは一家に一台の時代であり、イヤホンを付けて見ていた。ネットで知ったが、私と同世代の女性も同じことをしており、それが親にバレた時、親は怒るよりも真っ青になっていたという。その時に見ていたPVはクイーンの『Radio Ga Ga』だったとか。若い娘がこのPVを深夜に見ていれば、親が青くなるのは無理もない。
いくら親に「不良の音楽」と言われても、それに従って聞かないどころか、むしろ聞きたがるのが若者世代なのだ。但し、私が本格的に洋楽を聞くようになったのは高校卒業後。私の中学高校時代はベイ・シティ・ローラーズが大人気だったが、いかにもルックス先行のアイドル然としており、私的には好みではなかった。
日本のロックは今でこそ当たり前になったが、私の青春時代はロックといえば洋楽を意味し、しかも英語の歌のため敬遠する人も少なくなかった。私も歌詞も不明な英語の歌なので洋楽をあまり聞かなかったが、苦手意識を変えたのがビリー・ジョエルの『The Stranger』。
高校の文化祭の時、これが流されていてイイ曲だと思った。周囲に「これ、何という歌?」と聞いたが、誰も答えられなかった。類は友を呼ぶのか、私の友人や周囲にも洋楽を好んで聞いている者がいなかったのだ。『The Stranger』を知ったのは、高校卒業・進学して2年近く経ってからだった。暫くはビリー・ジョエルの歌にハマって聞いていた。
ビリー・ジョエルの歌は今でもいいと思うが、ルックスでは地味なスターなのだ。やはり若い頃はビジュアル面に惹かれるもの。80年代前半のNHK番組「海外ウィークリー」では様々な洋楽を紹介していたが、これでポリスを知り、すっかり虜になった。「海外ウィークリー」で放送したPVが『Synchronicity II』。今、見直してもクールで格好良すぎる。
苦手意識が無くなると、様々な洋楽を聞くようになる。ヘヴィメタルも好きになり、アイアン・メイデン大ファンの友人もいた。私は陽気なヴァン・ヘイレンの方がお気に入りだったが。
今や完全に市民権を得たはずのロックだが、2015-5-16付の「痛いニュース」に、「子供達がロックを聴いていたので、こんな音楽を聴くとまともな感性が育たないと厳しく叱った」という主婦の話が載っていた。40歳になった夫が最近ロックにハマり、その影響で子供達までロックを聞くようになったことを嘆いており、主婦はこう訴えている。
「子供たちをきちんと正しい道に導くに、夫からロックを取り上げたいのですが、どうしたらよいでしょうか」
この相談には多くの非難が寄せられていたし、クラシック至上主義者のこの主婦の感性のほうこそ疑いたくなる。確かに彼女のいうようにロックを聞くとなると、頭を振ったり体を激しく揺らしたりする姿勢になりがちだ。クラシック至上主義者からすれば、「到底、音楽を鑑賞する姿勢じゃありません」となるが、決して年配者ではないはずの彼女の感性や鑑賞方は相当なクラシックらしい。
9月12~13日にかけ、第25回定禅寺ストリートジャズフェスティバル in 仙台 が開催された。開場に行った時、真っ先に耳にしたのがディープ・パープルの『Smoke on the Water』。歌っていたのは若い女性だったが、この曲のイントロは何度聞いても素晴らしい。つい頭を振ったり身体を揺らしたくなるし、どう見ても40代の2人組の男性が腕を上げて音頭を取っていた。かくいう私も、足を踏み鳴らしていたのだ。
私が聞くのは専ら“懐メロロック”だが、若い頃に親しんだ音楽は中高年世代になっても聞き続けるようだ。大御所ストーンズは未だに現役バリバリだし、私はこの先もロックに親しむ日々をおくるだろう。やはりロックはサイコー‼
◆関連記事:「ポリス インサイド・アウト」
「The Rolling Stones~SHINE A LIGHT」
「Made In Heaven/フレディ没後20年目」
またHNを変え、ネットキムチが湧いて出たか。朝っぱらからトンスル飲んでるか。
Billy Joel Live in Tokyo, Japan の動画の紹介、有難うございました!直接日本公演に行けなかった人々でも、ライブ映像を見られるのがネットのよさです。ビリー・ジョエルといえば、確かに PIANO MAN の印象があります。
https://www.youtube.com/watch?v=VUbWR-6rZuo
しかし、"Big Shot"、「ロックンロールが最高さ」のようなヒット曲もあります。昔の仙台のレコード屋では、ビリー・ジョエルのレコードは、「ロック」として扱われていました。
https://www.youtube.com/watch?v=bEea624OBzM
https://www.youtube.com/watch?v=-68lqrUYb-M
ちなみに Yonger mugi は uptown girl in SENDAI ではありません。かつては東部仙台に住んでいた、タダの庶民の娘でした。
カシオペアにT SQUARE!懐かしいですね~~ カシオペアならベストCDを持っています。1983年ロンドン公演動画も、当時の社会風俗が分って素晴らしい。
件の主婦が何歳かは不明ですが、40歳の夫がいるならば、仮に一回り年上だとしても50代前半のはず。もし夫よりも年下ならば、化石級のアナクロですね。既にBBAである私よりも老女。
クイーンの「リヴ・フォーエヴァー」のPVでは、バンドと交響楽団とのコラボが見られます。この曲は1986年に作られたもので、既にクラシックとロックは組んでいました。
https://www.youtube.com/watch?v=KByivIQl-NE
極めつけはフレディ・マーキュリーと、スペイン人のオペラ歌手モンセラート・カバリエのデュエット「バルセロナ」。タイトル通り、この曲はバルセロナ五輪のテーマ曲。件の主婦、これを見たら卒倒モノでしょうね。こんな母親を持った子供はどうなることやら…
https://www.youtube.com/watch?v=o8Eg-mWdDLc
ttps://www.youtube.com/watch?v=jTt5MglRGUQ
同人が曲の中で夢見ていたのは、ある意味こういう古き良きアメリカなのかなとも思う↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=a_XgQhMPeEQ
ttps://www.youtube.com/watch?v=hCuMWrfXG4E
The longest timeのオリジナルは、ビリー自身が多重録音したアカペラだと聞いている。
Yonger mugi was an uptown girl in SENDAI,was't she?
ところで、
>この相談には多くの非難が寄せられていたし、クラシック至上主義者のこの主婦の感性のほうこそ疑いたくなる。確かに彼女のいうようにロックを聞くとなると、頭を振ったり体を激しく揺らしたりする姿勢になりがちだ。クラシック至上主義者からすれば、「到底、音楽を鑑賞する姿勢じゃありません」となるが、決して年配者ではないはずの彼女の感性や鑑賞方は相当なクラシックらしい。
最後の「相当なクラシックらしい」は「最早古色蒼然といった体」と理解した。すでに1970年代後半からジャズとロックが相互乗入した「クロスオーバー」(別名フュージョン)が出現しているのだ。その嚆矢はいうまでもなくカシオペア↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=_p56GJzyUaA
これは1983年ロンドン公演のもの。今年は一体何年だ? 21世紀に入って複数のミュージシャンが「クロスオーバー」し、熱狂的なファンからは「神々の降臨」と言われているこんなライブもある↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=sqbHdPyEvvY
ttps://www.youtube.com/watch?v=EOkQjI89qE4
一方、クラシックといっても、こういう「イロモノ」(件のBBAにしてみれば「あだ花」と言って卒倒するのだろうが)だって、厳然と存在し、支持をされているのだ↓
ttps://www.youtube.com/watch?v=O-x0daWGSxg
1分~2分40秒辺りのパフォーマンスからは彼女らが只者ではないテクニックの持ち主で、相当にスキルを積んでいることが窺い知れるが、私も含めオッサンたちは、「あのチェロになりたい!」とエロい願望を抱いたに違いない。
件のBBAは自分の頭の中だけに存在する「クラシック」と名付けた、一種の新興宗教にハマっているに過ぎない。
先天性知障、無知無学の人モドキにロックはもちろん、どんな音楽も分らんだろw 朝からアラシだけが生きがいの無趣味は哀れよのう。
ロック好きでも私はプログレはあまり好みではありませんが、確かにプログレはドラムがあまり強くないものが多いような…。対照的にハードロックやヘヴィメタルはドラムが強烈。クラシック至上主義者が野蛮な音楽と見なすわけです。
件の主婦は、「ピアノやバイオリンを幼少のころから習い、クラシックやジャズに親しむ家族の中で育ちました」と言っています。これだけで家庭環境が伺えますね。ジャズもドラムはそれほど強くない。しかし、かつてはジャズも“野蛮な”音楽と呼ばれていたはず。クラシック至上主義者にはお金持ちの家庭が多いのでしょう。
1981年のこと、わたしが京大にはいったとき下宿のとなりも京大の1年でした。のちの妹がクラシックのピアノで音大にはいるようなひとですがプログレッシブロック(いわゆるプログレ)にはまっていました。クラシックではドラム等打楽器がつよいのがタブー(野蛮な音楽との差別化らしい)ですがプログレだとドラムがつよくないのもありますからけっこういけるとおもいます。
旧制高校型教養のひとはクラシック至上主義がおおいのですが、旧制高校経験者は2015年現在86歳以上の男性ということになります。ロック嫌い主婦はおとうさんの影響なんでしょうか。