アルチューハイマー芸術エッセィ集

音楽批評を中心に日々見聞した芸術関係のエッセィを、気が向いた時に執筆してゆきます。

10/30 第529回京都市交響楽団定期演奏会

2009-11-01 23:27:39 | 演奏会評
かつて常任指揮者であった井上道義の指揮による、リンツとブルックナーの交響曲第9番。「ミッキー」は確か7番をレコーディングしていたが、彼のブルックナーはそう頻繁に聴くことができるものでもなかろう。

リンツは、現在彼が指揮しているアンサンブル金沢に合わせたような小編成で、これを例によって彼は踊り、指揮する。非常に軽快で歯切れが良い。京響の緻密なアンサンブルも際立った。モーツァルトが書いた管楽器の魅力的な動きも、はっきり聞き取ることができる。

ブルックナーは、一転して井上も神妙な面持ちとなる。遅いテンポで、思い入れを隠さず存分に歌い上げたブルックナーである。例えば第1楽章の第2主題など、一息でさらりと歌うのもよいが、こうしたたっぷりとした、やや粘り気のある演奏も好ましい。細部に拘泥せず、全体の分厚い響きを聴かせるスタイルが、ブルックナーによく合っていた。

京響はいくらか不安定なところもあったが、最後まで全身全霊を傾けている。弦の発音など、かなり美しいところが多かった。木管もよく整っている。聴く度に充実してゆく様子が、京都市民にとってはとても嬉しい。

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