”黒い台風”カリプス・ハリケーン死去！

★また一人，日本のマット界と因縁浅からぬレスラーがこの世を去りました。カリプス・ハリケーン……と聞いても今のプロレス・ファンでこの名前を知る人は数少ないか，と思います。

１９６４（昭和３９）年４月に初来日。力道山の死後，僅か４ヵ月後に開催をされた春の本場所『第６回ワールドリーグ戦』にラテン・アメリカの代表としてやってきました。

前年１２月に力道山が他界して，一体プロレスはどうなってしまうのだろうか……と子供心に思っていたのですが，豊登をエースに吉村，芳の里，遠藤の「四天王」による新路線で動き出し，私の心配を余所に４月には『ワールドリーグ戦』が華々しく開催したのでした。

この『第６回ワールドリーグ戦』には，アメリカでトップ・イベンターに急成長したジャイアント馬場が¨凱旋帰国¨し，外人勢もジン・キニスキーを筆頭に，ブル・カリー，チーフ・ビリー・ホワイトウルフ，ザ・マミー，ジ・アラスカンら８人の多彩なメンバーが参戦しました。

そのメンバーの中にあって正体＆実力ともに¨未知数¨だったのが「黒い台風」カリプス・ハリケーンでした。そして，開幕戦の蔵前国技館で馬場とシングルで対戦……４５分を戦い抜いて引き分けたのでした。この一戦によってキニスキーと共に一躍，優勝戦線の¨本命¨に躍り出たのです。

この大会でハリケーンは９戦７勝２敗と，キニスキーに次ぐ好成績を残し…そのキニスキーと組んで，豊登＆吉村から〈アジア・タッグ選手権〉を獲得したのでした。その後…サイクロン・ネグロとして¨素顔¨でも来日していますが私にとっても忘れる事の出来ないレスラーの一人なのです。

７３年８月にはテキサスで，日本から流出してきた〈インタータッグ選手権〉をファンクスから奪取（パートナーはＫ・Ｋ・コックス）しているのですが……そのハリケーンの訃報が，引退後に居を構えたフロリダから届きました。享年８０歳。慎んでご冥福をお祈り致します。 　〈茨城〉