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ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

映画「アメイジング・グレイス」

2011-09-06 00:42:59 | Movie
「ノブレス・オブリージュ」の意味は分かっていたつもりだが、
この映画を見て、なんというか生身のものとして腑に落ちた気がする。
富める者に付随する、社会改善の義務、というところか。
18世紀、フランス革命前後にイギリスの奴隷制度廃絶に尽くした
一人の政治家の話だ。

ウィルバーフォースは、21歳の在学中に選挙に立候補した
信仰心の厚い若手政治家。「amazing grace」を作詞した
牧師に師事していた。この牧師は、長年奴隷船の船長を務め、
「2万人を殺したも同じだ。彼らの霊と私は生きている」と
言う。「その自分を許してくれたのが神だ」と。
それほどにひどい奴隷の人権侵害、いわゆる三角貿易の時代で、
告発的事実を集め、奴隷制廃止法案を練り、演説して
法案を提出するのだが、プランター農園や奴隷船に資本のある
政治家たちや、港町選出の議員たちの賛同は全く得られず、
否決され続ける。ウィキペディアによると、最初の議案提出が
1789年。毎年毎年否決され、39万人の署名を集めても
だめで、途中リタイアしそうになりながらも活動し、
1806年に成立させる。という話。当時、24歳で首相となった
ピットとも同世代で、二人の友情も核となる。

DVDを観終わって、この手のほかの映画と何が違うか考えると、
彼が「(奴隷制度の)当事者ではない」ということだろうか。
社会変革を成し遂げた人たちの話は、例えば「ミルク」(ゲイで
初めて国会議員になったアメリカ人の話)でも、彼自身が
ゲイなのだ。この映画でも、奴隷船に乗っていて、のちに自伝を
書くチームの一員を主人公に描けば全く違う雰囲気になったに違いない。
だからこそ、ノブレス・オブリージュを貫く姿にぐっと来たのかも
しれない。この「義務」を果たせずに苦しむ姿に感動するのかも
しれない。

当たり前だが、法律をつくり、通すことができるのは、一義的には
国会議員しかいない。制度を動かしてこそ、成功なのだ。

今の日本を振り返って・・・
質問席に立って意見を言うことに満足している国会議員や、
政治や現状の批判を場当たり的にして仕事をしている気になっている
メディアに憤りを感じる人も多いかもしれない。
DVDレンタルが2日にリリースとなったので、
興味のある人は是非どうぞ。