この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#66ハンス・カロッサ著「美しき惑いの年」Ⅱ(証明)

2005年04月22日 | ドイツ文学
(#65よりつづく)私は寮に帰り、その夜自慢げにこの出来事を同室のものに話した。しかし同じ寝室にいた2人の上級生のうちの一人のOさんが、私の話したことはいつもの?作り話だろうと言った。確かにちょっと出来すぎたできごとだ。K君と2人で行った夜の公園に2人の女性がいて、会話を楽しんで、しかも再会を約束して帰って来た、などと言うのはまさに眉唾の話だ。信じろという方が無理だろう。

信じないのなら彼女達と約束した日時に私達と一緒に行ってみたらいいでしよう、と私はOさんに言った。Oさんは一緒に行こうと応じた。

もし私の話が嘘でないということがわかったら、どうしてくれますか?と私はOさんに聞いた。
Oさんは、もしそうなら自分が持っている本をどれでも1冊私にくれると宣言した。

彼女達と約束した日、K君が生憎他の用事ができたので深大寺公園に行けないと言って来た。私はOさんと一緒に行った。ほかの誰かも一緒だったのかも知れない。

約束した時間に暗い静かな公園の芝生に座って私達は待った。Oさんは半信半疑で横にいる。時間になっても彼女達は現れなかった。

それ見たことか言わんばかりのOさん。でもこのようなところにいると気持ちがいいね、と私に騙されても怒ってはいないんだという気配りも見せてくれる。

もう帰ろうというOさんを私はもうちょっとと引き止めたのだ彼女達は現れないのではないかと私は思った。  ところが・・・・(つづく


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