「えー、例によって漫才ですがー」
「なんかテンション低いな」
「いや、そんなことはないスよ。あなたが隣にいればわた
しのテンションはいつもヨーロレイヒー」
「いきなりヨーデルを歌うな!」
「なんといいますかね、やはりこの、今までにない新しい
漫才の形式を生み出したいですし」
「たしかに新しいものを生み出すてのは大切やな」
「今までの漫才というのは、第一の目的はお客様にいかに
うけるかということでしたが、この漫才は違いますよ。なにし
ろ第一の目的は、あなたを口説いて一緒にホテル行っても
らうことですから」
「まだそんな邪な考え持っとるのか!」
「いや、ほらわたしあなたのこと大好きだしー」
「なんで目が死んでるねん」
「でもこういう台詞、ギラギラとした目で言われても嫌でしょ
うが」
「たしかにな。全身からやりたいオーラ出してるお客さんたま
におるけど、ああいうのは引くな」
「そこんとこいくとわたしなんかは、やりたいとか全然思って
ないですからね。単に一緒にホテル行きたいだけで」
「おんなじやないかい!」
「いやいや、違いますって。わたしは単にあなたと二人でホ
テル行って、差し向かいでババ抜きしたいだけですから」
「それが40過ぎのオッサンの言う台詞かい!」
「知人にあなたを紹介する時、俺と彼女はホテルで二人っき
りでババ抜きした仲なんだぜと」
「そんな紹介のされかたは死んでも嫌や!」
「ババ抜き楽しいのに」
「こだわるなー。だいたいババ抜きなんてふたりでやっても
オモロないやん」
「わかってませんね。たまに二人でやるババ抜きの面白い
ことときたら。わたしなんかいつも一人でやってますから」
「そんなモンひとりでやるなーっ。だいたいババ抜きやる
友達もおらへんのかいな」
「友達? 必要ありませんね。よく聞いてください・・・いい
ですか、この世界に必要なのは、僕と私だけなんですよ」
「あたしの居場所ないやんそれ! アナタとかキミとかオマ
エとか言えや!」
「す・・すみません・・・大至急居場所作りますんで・・・どーぞ」
「バスの補助席はいややーっ。あれ座るの窮屈やし」
「まあ住めば都ともいいますし」
「なんでやねん。あんたわたし口説くのはいいけど、そういう
とこが信じられへんねん。聞いたで。他のキャバクラにも結構
通うてるという話やんか」
「えー、あれはあれ、それはそれ、わたしはわたし、あなたは
あなた」
「変な宗教にでもはいったんか」
「口説いたっていいじゃないか、にんげんだもの」
「ええことあるかい! あんたモテへんクセに、ふらふらふら
ふらしてるんやもの。そんな人間信用でけるかいな」
「たしかに飲み屋には複数行ってますけど、口説いてるのは
あなただけですよ」
「また目が泳いでるやん」
「いや、マジでわたしの女性関係なんて、潔癖なことこの上も
ないですよ。たとえて言うと織田ユージくらい。・・・・一部不穏
当な比喩があったことをお詫びいたします」
「詫びるなそんなこと!」
「いや、なんか芸能界のダークな部分にふれた気がする。訂正
します。わたしの女性関係は潔癖です。たとえて言うとジョージ・
マイケルくらい潔癖です」
「織田ユージの後にジョージ・マイケルの名前を出すな! そっ
ちの方がよっぽど不穏当やん」
「とりあえず、わたしが女性にモテないということがわかってい
ただければ」
「アンタが女にモテるとはハナから思っとらんがな」
「本当にね、今のわたし、あなたが急に店とんだりしたら結構
煮つまりますよ」
「なんかキャバクラの他に気晴らし見つけたらいいやん」
「いや、わたしは一途な男なんです。あなたとホテルでババ
抜きするまでは・・・・・」
「それがキショい言うてるやん」
「はっきり言いますけど、わたしの脳の中では、わたしが反町、
あなたが松嶋ですから」
「脳腐っとるなー。あんたのどこが反町やねん」
「こぉ、顔が反ってるところとか・・・」
「反町もアンタも顔反ってないから。アンタの顔は丸くてデカ
くて脂でハゲやから。漬物樽の上に置いたらおいしい漬物が
漬かりそうな顔やから」
「あなたの目にはそう見えるのかぁ・・・・」
「一億一千万人の日本人すべての目に、おなじように見えると
思うで」
「とりあえず、これからの自民党政権の行方についてですが」
「なんでそこまで強引に話題を曲げるねん!」
「四十数年、見たくない現実からは目をそらせて生きてきました」
「自慢げに言うなそんなことを!」
「・・・これで彼女、少しはホテルへ行く気になったろうか・・・・」
「ならへんならへん。ちゅーか、自分の気持ちをだれに語りかけて
るねん」
「ほら、主人公の気持ちを読者にわからせるためには独白も有効
な手段ですから」
「主人公の独白言うより、たまに電車で見かける、ぶつぶつ独り
言つぶやいているオッサンにしか見えへんで」
「まあ、わたしの通常の会話って九割以上独り言ですから」
「だから友達作れやあんたあっ!」
「・・ほら、僕ってとっつきにくい部分があるじゃないですか。高貴と
いうか孤高というか・・・」
「頭ハゲちらかして何言うてるねんコイツ。アンタのどこが高貴や
ねん。駅前で雑誌を100円で売ってるひとと同じ雰囲気かもし出
してるやんか」
「たまに空き缶拾いやらないかって誘われますけどね」
「誘われるなそんなモン!」
「わたしとしては、むしろダンボール拾いを希望してるんですが」
「・・・もぅ何も言わん。やれ。頑張って日本一のダンボール拾い
になれや」
「・・・もしも僕が、頑張って日本一のダンボール拾いになったとした
なら、その時は僕と一緒に人生を送ってくれますか」
「そういうことを真剣な目で言うな! なんであたしがダンボール
拾いと人生送らなあかんねん」
「でも、これからの環境問題を考えるうえで、ダンボールのリサイ
クルってとても重要な課題なんですよ」
「それはそうかもしれんけどな、その問題とあたしとアンタが付き
合うかということと何の関係があるねん」
「無関係というのもひとつの関係ですから」
「もうええわい!」
「どうも失礼しました~」
「なんかテンション低いな」
「いや、そんなことはないスよ。あなたが隣にいればわた
しのテンションはいつもヨーロレイヒー」
「いきなりヨーデルを歌うな!」
「なんといいますかね、やはりこの、今までにない新しい
漫才の形式を生み出したいですし」
「たしかに新しいものを生み出すてのは大切やな」
「今までの漫才というのは、第一の目的はお客様にいかに
うけるかということでしたが、この漫才は違いますよ。なにし
ろ第一の目的は、あなたを口説いて一緒にホテル行っても
らうことですから」
「まだそんな邪な考え持っとるのか!」
「いや、ほらわたしあなたのこと大好きだしー」
「なんで目が死んでるねん」
「でもこういう台詞、ギラギラとした目で言われても嫌でしょ
うが」
「たしかにな。全身からやりたいオーラ出してるお客さんたま
におるけど、ああいうのは引くな」
「そこんとこいくとわたしなんかは、やりたいとか全然思って
ないですからね。単に一緒にホテル行きたいだけで」
「おんなじやないかい!」
「いやいや、違いますって。わたしは単にあなたと二人でホ
テル行って、差し向かいでババ抜きしたいだけですから」
「それが40過ぎのオッサンの言う台詞かい!」
「知人にあなたを紹介する時、俺と彼女はホテルで二人っき
りでババ抜きした仲なんだぜと」
「そんな紹介のされかたは死んでも嫌や!」
「ババ抜き楽しいのに」
「こだわるなー。だいたいババ抜きなんてふたりでやっても
オモロないやん」
「わかってませんね。たまに二人でやるババ抜きの面白い
ことときたら。わたしなんかいつも一人でやってますから」
「そんなモンひとりでやるなーっ。だいたいババ抜きやる
友達もおらへんのかいな」
「友達? 必要ありませんね。よく聞いてください・・・いい
ですか、この世界に必要なのは、僕と私だけなんですよ」
「あたしの居場所ないやんそれ! アナタとかキミとかオマ
エとか言えや!」
「す・・すみません・・・大至急居場所作りますんで・・・どーぞ」
「バスの補助席はいややーっ。あれ座るの窮屈やし」
「まあ住めば都ともいいますし」
「なんでやねん。あんたわたし口説くのはいいけど、そういう
とこが信じられへんねん。聞いたで。他のキャバクラにも結構
通うてるという話やんか」
「えー、あれはあれ、それはそれ、わたしはわたし、あなたは
あなた」
「変な宗教にでもはいったんか」
「口説いたっていいじゃないか、にんげんだもの」
「ええことあるかい! あんたモテへんクセに、ふらふらふら
ふらしてるんやもの。そんな人間信用でけるかいな」
「たしかに飲み屋には複数行ってますけど、口説いてるのは
あなただけですよ」
「また目が泳いでるやん」
「いや、マジでわたしの女性関係なんて、潔癖なことこの上も
ないですよ。たとえて言うと織田ユージくらい。・・・・一部不穏
当な比喩があったことをお詫びいたします」
「詫びるなそんなこと!」
「いや、なんか芸能界のダークな部分にふれた気がする。訂正
します。わたしの女性関係は潔癖です。たとえて言うとジョージ・
マイケルくらい潔癖です」
「織田ユージの後にジョージ・マイケルの名前を出すな! そっ
ちの方がよっぽど不穏当やん」
「とりあえず、わたしが女性にモテないということがわかってい
ただければ」
「アンタが女にモテるとはハナから思っとらんがな」
「本当にね、今のわたし、あなたが急に店とんだりしたら結構
煮つまりますよ」
「なんかキャバクラの他に気晴らし見つけたらいいやん」
「いや、わたしは一途な男なんです。あなたとホテルでババ
抜きするまでは・・・・・」
「それがキショい言うてるやん」
「はっきり言いますけど、わたしの脳の中では、わたしが反町、
あなたが松嶋ですから」
「脳腐っとるなー。あんたのどこが反町やねん」
「こぉ、顔が反ってるところとか・・・」
「反町もアンタも顔反ってないから。アンタの顔は丸くてデカ
くて脂でハゲやから。漬物樽の上に置いたらおいしい漬物が
漬かりそうな顔やから」
「あなたの目にはそう見えるのかぁ・・・・」
「一億一千万人の日本人すべての目に、おなじように見えると
思うで」
「とりあえず、これからの自民党政権の行方についてですが」
「なんでそこまで強引に話題を曲げるねん!」
「四十数年、見たくない現実からは目をそらせて生きてきました」
「自慢げに言うなそんなことを!」
「・・・これで彼女、少しはホテルへ行く気になったろうか・・・・」
「ならへんならへん。ちゅーか、自分の気持ちをだれに語りかけて
るねん」
「ほら、主人公の気持ちを読者にわからせるためには独白も有効
な手段ですから」
「主人公の独白言うより、たまに電車で見かける、ぶつぶつ独り
言つぶやいているオッサンにしか見えへんで」
「まあ、わたしの通常の会話って九割以上独り言ですから」
「だから友達作れやあんたあっ!」
「・・ほら、僕ってとっつきにくい部分があるじゃないですか。高貴と
いうか孤高というか・・・」
「頭ハゲちらかして何言うてるねんコイツ。アンタのどこが高貴や
ねん。駅前で雑誌を100円で売ってるひとと同じ雰囲気かもし出
してるやんか」
「たまに空き缶拾いやらないかって誘われますけどね」
「誘われるなそんなモン!」
「わたしとしては、むしろダンボール拾いを希望してるんですが」
「・・・もぅ何も言わん。やれ。頑張って日本一のダンボール拾い
になれや」
「・・・もしも僕が、頑張って日本一のダンボール拾いになったとした
なら、その時は僕と一緒に人生を送ってくれますか」
「そういうことを真剣な目で言うな! なんであたしがダンボール
拾いと人生送らなあかんねん」
「でも、これからの環境問題を考えるうえで、ダンボールのリサイ
クルってとても重要な課題なんですよ」
「それはそうかもしれんけどな、その問題とあたしとアンタが付き
合うかということと何の関係があるねん」
「無関係というのもひとつの関係ですから」
「もうええわい!」
「どうも失礼しました~」