高松に泊まっていこうと思い立った直接の理由は、予想外の快晴になったことでした。ただしそれ以外にも伏線があります。一時帰京に先立ち、高松で一杯やれたことについては満足でしたが、欲をいえば「おふくろ」以外にも寄りたかったという思いが残りました。それが動機の半分以上を占めているといっても過言ではありません。こうして実現した第二夜だったにもかかわらず、その意義が危うく失われかねないところでした。
松山でも、第二夜は目当ての「せくら」に振られるという誤算に見舞われました。しかしあれは運不運の問題だったともいえます。それに対して今回は、お粗末としか言いようのない自身の失策が原因です。再訪したいと思っていた「酒甫手」が、土曜に限り早仕舞いするという情報をすっかり失念しており、店へ向かって歩く途中で気付くというお粗末さでした。往生際の悪さを発揮し、一応行ってはみたものの、当然明かりは消えています。そうなると頼みの綱は「美人亭」ですが、あちらも遅くまで開いている店ではありません。行くとすれば一刻を争う状況です。「おふくろ」がまだ開いているのを確かめつつ、次の角を左へ曲がると、目印となる置行灯が見えてきました。店先の縄暖簾もまだ掛かっています。とはいえまだ安心はできません。恐る恐るのぞき込むと、先客が引けた店内で、女将が後片付けをしているところでした。それを見て、断られてもやむなしと覚悟するも、10時までだがとの第一声があり、辛くも滑り込むという顛末です。
教祖が古くから激賞してきた四国の聖地の一つです。自身にとっても、高松で初めて暖簾をぐぐったのがこの店でした。しかし、「おふくろ」を自ら開拓してからは、そちらを専ら贔屓にして、この店とはすっかり縁遠くなってしまいました。去年も早仕舞いにより振られており、最後に訪ねたのは八年以上も前のことです。
「おふくろ」の後塵を拝するようになったのは、自身の好みに今一つ合わなかったという理由によります。瀬戸内の魚を手頃な値段でいただけるのはよいものの、酒についてはどこにでもある普通酒です。古びた雑居ビルの奥にある店舗にも、特筆するほどの趣はありません。先達の導きがなかったとすれば、およそたどり着けなかったであろう店の一つです。少なくとも雰囲気についていえば、地元客で賑わう「おふくろ」の長いカウンターが上を行くように思われました。その結果、この店からは足が遠のき現在に至ります。しかし、「せくら」の代わりに飛び込んだ「仁平」にしてもそうですが、若かりし頃と今とでは感じ方も違ってきます。久々に暖簾をくぐったことにより、かつては気付かなかったこの店のよさを再発見することができました
長らく無沙汰をするうちに、玄関の扉と縄暖簾は新調され、テーブル席も若干改装されたようです。女将も歳をとりました。しかし、庇付きのカウンターからの眺めは往年のままです。整理整頓の行き届いた厨房と食器棚を見てふと思い出したのは、同じく教祖が絶賛する弘前の「しまや」でした。店構えは素っ気なく、いたずらに手の込んだ肴もない代わりに、毎日でもいただけそうな、思わずほっとする味わいが、あちらを彷彿させるとでも申しましょうか。教祖が長年推してきた理由の一端を、ようやく理解できたような気がします。怪我の功名といってよい成果でした。
★美人亭
高松市瓦町2-2-10
087-861-0275
1700PM-2200PM
日祝日定休
金陵二合
カレイ唐揚げ
カワハギ煮付け
松山でも、第二夜は目当ての「せくら」に振られるという誤算に見舞われました。しかしあれは運不運の問題だったともいえます。それに対して今回は、お粗末としか言いようのない自身の失策が原因です。再訪したいと思っていた「酒甫手」が、土曜に限り早仕舞いするという情報をすっかり失念しており、店へ向かって歩く途中で気付くというお粗末さでした。往生際の悪さを発揮し、一応行ってはみたものの、当然明かりは消えています。そうなると頼みの綱は「美人亭」ですが、あちらも遅くまで開いている店ではありません。行くとすれば一刻を争う状況です。「おふくろ」がまだ開いているのを確かめつつ、次の角を左へ曲がると、目印となる置行灯が見えてきました。店先の縄暖簾もまだ掛かっています。とはいえまだ安心はできません。恐る恐るのぞき込むと、先客が引けた店内で、女将が後片付けをしているところでした。それを見て、断られてもやむなしと覚悟するも、10時までだがとの第一声があり、辛くも滑り込むという顛末です。
教祖が古くから激賞してきた四国の聖地の一つです。自身にとっても、高松で初めて暖簾をぐぐったのがこの店でした。しかし、「おふくろ」を自ら開拓してからは、そちらを専ら贔屓にして、この店とはすっかり縁遠くなってしまいました。去年も早仕舞いにより振られており、最後に訪ねたのは八年以上も前のことです。
「おふくろ」の後塵を拝するようになったのは、自身の好みに今一つ合わなかったという理由によります。瀬戸内の魚を手頃な値段でいただけるのはよいものの、酒についてはどこにでもある普通酒です。古びた雑居ビルの奥にある店舗にも、特筆するほどの趣はありません。先達の導きがなかったとすれば、およそたどり着けなかったであろう店の一つです。少なくとも雰囲気についていえば、地元客で賑わう「おふくろ」の長いカウンターが上を行くように思われました。その結果、この店からは足が遠のき現在に至ります。しかし、「せくら」の代わりに飛び込んだ「仁平」にしてもそうですが、若かりし頃と今とでは感じ方も違ってきます。久々に暖簾をくぐったことにより、かつては気付かなかったこの店のよさを再発見することができました
長らく無沙汰をするうちに、玄関の扉と縄暖簾は新調され、テーブル席も若干改装されたようです。女将も歳をとりました。しかし、庇付きのカウンターからの眺めは往年のままです。整理整頓の行き届いた厨房と食器棚を見てふと思い出したのは、同じく教祖が絶賛する弘前の「しまや」でした。店構えは素っ気なく、いたずらに手の込んだ肴もない代わりに、毎日でもいただけそうな、思わずほっとする味わいが、あちらを彷彿させるとでも申しましょうか。教祖が長年推してきた理由の一端を、ようやく理解できたような気がします。怪我の功名といってよい成果でした。
★美人亭
高松市瓦町2-2-10
087-861-0275
1700PM-2200PM
日祝日定休
金陵二合
カレイ唐揚げ
カワハギ煮付け
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